特殊な戦列艦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 06:50 UTC 版)
上掲の分類は一般的に使用されたものを取り上げたが、他にも特殊な事例としては以下のようなものがある。 ヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダー(スペイン、1769年) 120門3層艦の甲板を増やし、4層144門艦、後に136門としたものである。サンティシマ・トリニダーは建造当時世界で唯一の120門艦であり、1795年に改装を受けると世界で最も多数の砲を装備した戦列艦となった。しかし帆走性能は劣悪で、「El Ponderoso」(巨大なのろま、といった意味)というあだ名が付くほどであった。トラファルガーの海戦ではイギリス艦隊の集中攻撃を受けて早期に降伏している。他の4層艦としては前述のアメリカ海軍のペンシルベニアがある。 グラットン(イギリス、1795年購入) グラットンは史上唯一のカロネードのみで武装した戦列艦である。門数自体は56門と当時の戦列艦としては少ないが、通常の艦が高々36ポンド砲しか装備していなかったのに対し、グラットンは64ポンドカロネードであったため近距離での投射重量では1等艦に比肩した。 セント・ローレンス(イギリス、1814年) 米英戦争時にオンタリオ湖で建造された112門艦である。湖外に移動できないため戦争が終結すると不要となり、翌1815年退役した。その後沈められたが、現在でも湖底に残っている。設計は珍しいものではないが、唯一の淡水専用の戦列艦だといわれている。 レイジー 2層戦列艦の甲板を削減し、フリゲートに改装したものである。戦術的価値の低くなった64門艦などがこの改装を受けた。 封鎖艦 旧式の74門艦に簡単な装甲と推進器を取り付けた艦で、沿岸砲撃に利用された。主に1845年ごろのイギリスで作られ、クリミア戦争などに投入された。
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