ローデシア軍の戦闘力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/21 04:56 UTC 版)
「ローデシア軍」の記事における「ローデシア軍の戦闘力」の解説
実際に、ローデシア紛争においてローデシア軍は十分な航空戦力や重火器を所有していなかったにも関わらず、ソ連邦と中国から十分な装備を供給され、兵力でも優位なゲリラ部隊に対して終始8倍という高い殺傷率を維持していた。また、高度な訓練を受けていた特殊部隊では、ゲリラ部隊の35倍から50倍の殺傷率を誇っていた。 ゲリラ部隊に対して武器や装備の面で特に優勢とも言えぬ状況でローデシア軍が戦果をあげることが出来た理由の一つは、ローデシア軍の兵士が受けた軍事訓練がゲリラ部隊が受けた訓練よりも優れていたからだった。 ローデシア紛争当時にローデシア軍兵士が受けた軍事訓練はオペラント条件付けによる現代式の軍事訓練だったが、ゲリラ部隊の兵士はそのような現代式の軍事訓練を受けていなかったため、ローデシア軍とゲリラ部隊の殺傷率に大きな差が出ることとなった。 また、条件付けによる現代式の訓練を十分に受けていない兵士は、人間を殺すことに対する本能的な抵抗感を克服することが出来ないため、敵と接触しても空に向かって発砲するなど威嚇行動を本能的に行う傾向がある。ゲリラ部隊の兵士は十分な訓練を受けていなかったため、その傾向が強かったこともローデシア軍が有利になる要因だった。 ローデシア紛争の復員軍人の証言によると、ローデシア軍部隊がゲリラ部隊と接触した際の戦闘手順は、どんな時でも背嚢を捨てて敵兵に突撃することだったという。そのようなことをすればゲリラ部隊の良い標的になりそうだが、実際にはゲリラ部隊の射撃した弾丸はローデシア軍部隊の頭上を飛んで行くだけだったため、銃撃戦では常にローデシア軍が優位だったそうである。そのため、ローデシア軍兵士が銃撃戦で戦死することは滅多になかった。 さらには、1978年3月からは部隊の機動性向上のため、歩兵全員に空挺降下の資格取得が義務付けられた。特殊部隊などに至っては、迫撃砲や乗馬などの資格も要求された。 ローデシア軍の一般的な訓練期間は21週間で、3段階に分かれていた。第1段階は基礎訓練を8週間、第2段階は歩兵訓練を8週間以上、第3段階は作戦訓練を4週間以上というものだった。 ローデシア軍とアフリカ人解放組織の殺傷率に大きな差が出た二つめの理由として、文化的価値観と社会的習慣があげられる。まず前提として、白色人種は有色人種よりも人種的に優位であるとするローデシアの白人が持つ文化的価値観があげられる。そのような思想に基づき、ローデシア社会は白色人種を頂点として、人種ごとに階層化された社会であった。そのため、白色人種は有色人種を人間以下の存在であると考える社会的慣習を持っていた。ローデシアではこのように文化的価値観と社会的慣習が重なり合った(言い換えれば人種差別主義の)ため、白人兵士は殺人行為を容易に行うことが可能だったと思われる。 しかし、そのような白人優位思想は、今日の対テロ・ゲリラ作戦で重要とされる作戦区域にいる市民(ローデシアの場合はアフリカ人)の支持を勝ち取ることや、作戦はあくまで「ゲリラ対策」であって「報復」であってはいけないという原則を無視しており、それどころか公共交通や公共施設、国連が設置した難民キャンプまでをも襲撃してしまうなどの凶行によってアフリカ人市民達によるローデシア軍への反感が増し、アフリカ人解放組織によるアフリカ人市民達からの支援や兵員確保を容易にしてしまっていた。
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