ルーツや関連する文化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/02 17:03 UTC 版)
漢字を複数の要素に分解するという発想は『三国志』に登場するエピソードなどまでさかのぼることができ、「只」のことを「ロハ」というような古くからある分字の手法と同じ感覚であるともいえる。また、文学研究者の小野恭靖は、ギャル文字の発想の源流として、江戸時代末期の「当世風流文字くどき通人ことば」という瓦版に書かれたとんち に端を発する鈍字という言葉遊びを挙げている。 ライターの速水健朗は、1970年代から1980年代にかけて日本の若年女性の間で流行した変体少女文字とギャル文字の類似性を指摘している。それによると両者は、既存の文字の形状を崩した独特の記号を使って連絡を取り合う仲間内での帰属意識を再確認するという、他者との接続自体を志向するコミュニケーション様式 に基づいたものだという。作家の藤井青銅も変体少女文字の雰囲気を携帯電話で再現したものと指摘しており、日本語学者の笹原宏之も変体少女文字に後続する長体文字(ヘタウマ文字)をJISコード内で再現しようとした試みがギャル文字といえるとしている。教育学者の藤川大祐は、前述の変体少女文字や1990年代に流行したノッポ文字・ヘタウマ字のほかにポケベルを使ったベル番遊び(数字列に語呂合わせによる意味を与えるもの)といったものの延長線上にギャル文字を位置づけ、自身の周囲の価値観に合わせて振舞おうとする若い世代に見られる同調圧力によるものとみている。評論家の荻上チキは、変体少女文字やギャル文字を、学校空間で少女たちが色ペン・シール・プリクラ帳などの文房具の装飾に熱心になるのと同様の「かわいい」ものへの欲望として位置づけている。 中国では、カウンターカルチャー的な非主流文化のひとつとして、ギャル文字と類似した火星文がある。火星文では、中国語の文章において漢字を同じ音の別の漢字や他言語の文字・記号などで代用して表記するもので、百度贴吧(日本でいう2ちゃんねるのような雰囲気の巨大掲示板群)でしばしば使用されている。
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