ルーツと移民の流れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 18:43 UTC 版)
トール・ヘイエルダールが唱えた南米からの植民説、ベン・フィニー(英語版)らが唱えたアジアからの植民説があるが、1975年にハワイで建造された双胴の航海カヌー、ホクレアによる数々の実験航海や、言語学的・人類学的な各種の検証により、現在では東南アジア説が定説となっている。 ポリネシア人の祖先はオーストロネシア語を話すモンゴロイド系の民族で、元々は華南や台湾にいたのだが、その一部は紀元前2500年頃に南下を開始し、フィリピンを経て紀元前2000年頃にインドネシアのスラウェシ島に到達する。ここからニューギニア島沿岸、メラネシアへと東進する間にパプア先住民やメラネシア先住民と混血し、ポリネシア人の始祖となる。この先住民は5万年前に出アフリカ後にインドを経てやってきたオーストラロイドに属す人々で、アボリジニと同祖である。従ってポリネシア人はモンゴロイドにオーストラロイドが混ざった人種である。 原ポリネシア人(ラピタ人)は進路を東に進め、紀元前1100年頃にはフィジー諸島に到達する。現在ポリネシアと呼ばれる地域への移住は紀元前950年頃からで、サモアやトンガからもラピタ人の土器が出土している。サモアに到達した時点 でラピタ人の東への移住の動きは一旦止まるのだが、その間に現在のポリネシアの文化が成立していったと考えられている。 再び東への移住を開始するのは紀元1世紀頃からで、ポリネシア人たちはエリス諸島やマルキーズ諸島、ソシエテ諸島にまず移住した。その後、ソシエテ諸島を中心に300年頃にイースター島、400年頃にハワイ諸島、1000年頃にクック諸島やニュージーランドに到達した。ポリネシア人の移住の動きはこれ以降は確認されていないのだが、ポリネシア人の主食のひとつであるサツマイモは南米原産であり、西洋人の来航前に既にポリネシア域内では広くサツマイモが栽培されていたため、古代ポリネシア人は南米までの航海を行っていたのではないかと推測されていた(ポリネシア#歴史を参照)。この説については長らく論争があり、サツマイモの到達が人類以前であるといった反証もあるが、言語学的類似などの謎も残っている。 mtDNAの研究からは、より早く東南アジアに到達した先住民であるオーストラロイドの血も引いていることがわかっている。Y染色体の研究では、ポリネシア人はパプアメラネシア人と東アジア人の混血であることが判明している(パプア・メラネシア人由来のC、MS、K*が併せてが6~7割、東アジア由来のOが2~3割ほどである)。常染色体の研究ではメラネシア人起源は21%、東アジア人起源が79%である。別の研究では、ポリネシア人はメラネシア人よりもミクロネシア人、台湾先住民、東アジア人に近縁であるとの結果が出ている。これはポリネシア人がパプア・メラネシアに長くとどまらなかったために、混血があまり進んでいないと結論される。ポリネシア人の拡散と関連するミトコンドリアDNAハプログループB4a1aは東アジア由来である。
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