ラドン温泉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/05 03:37 UTC 版)
温泉の含有成分としてラドンを含むものは放射能泉として分類される。ラドンおよびそれ以後の各種放射性同位体が放つ放射線が健康に寄与するとの考え方(ホルミシス効果)があり、痛風、血圧降下、循環器障害の改善や悪性腫瘍の成長を阻害するなどの効能が信じられている。 放射能泉(含放射能-ラドン泉)とは、ラドン222の濃度が673 Bq/L以上のものとし、ラジウムが100 ng/L以上含まれるものである。オーストリアや日本、ロシアをはじめ、世界中に、療養のために活用されるラドン泉やラドン洞窟が存在する。また、ラドン222の濃度が111 Bq/L以上のものを療養泉弱放射能泉とし、ラドン222の濃度が74 Bq/L以上のものを鉱泉という。 1940年にオーストリアのバート・ガスタイン(英語読みは「バドガスタイン」)のタウエルン山でラドン泉が発見され、1950年代からインスブルック大学医学部とザルツブルク大学(英語版)理学部の共同研究で、ラドン濃度と治療効果との関連性について研究が開始された。研究の結果、臨床医学的に有効である病気には、強直性脊椎炎(ベヒテレフ病)、リュウマチ性慢性多発性関節炎、変形性関節症、喘息、アトピー性皮膚炎などが挙げられ、ラドン (222Rn) 放射能レベルが300 - 3000 Bq/Lと高い世界の全ての温泉では、適応症のリストが経験的に同じようなものになるとされる。バート・ガスタインのラドン泉ではラドン222の濃度が110 Bq/L以上で放射能療養泉と呼ばれ、年間約10,000人の患者が訪れる。また、バート・ガスタインの近郊には、ガスタイン療養トンネルがあり、「トンネル療法」が実践されている。治療方式は、電動トロッコでトンネル内に入り、約2.5 km奥にある4か所の治療ステーションで一定時間ベッドに臥床する。ラドン濃度は166,500 Bq/m2で、トンネル内温度は37 - 41.5 °C、湿度は70 - 95%である。標高は1,888 - 2,238 m。 日本国内では三朝温泉(鳥取県三朝町)、有馬温泉(兵庫県神戸市)、るり渓温泉(京都府南丹市)、湯来温泉(広島市佐伯区)などがラジウム温泉として知られている。特に三朝温泉は療養泉として古くから様々な患者を受け入れている。
※この「ラドン温泉」の解説は、「ラドン」の解説の一部です。
「ラドン温泉」を含む「ラドン」の記事については、「ラドン」の概要を参照ください。
- ラドン温泉のページへのリンク