ヨハネ (使徒)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/03 18:00 UTC 版)
聖ヨハネ(イオアン) | |
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![]() 福音記者ヨハネ(画:エル・グレコ) | |
使徒、福音記者 | |
崇敬する教派 | カトリック教会、非カルケドン派、正教会、聖公会、ルーテル教会 |
記念日 | 12月27日(カトリック、聖公会)、10月9日(正教会) |
守護対象 | 神学者、出版業者、作家、忠誠、愛、友情[1] |
使徒ヨハネ(しとヨハネ)は、新約聖書に登場するイエスの使徒の一人。洗礼者ヨハネと区別するために特に「使徒ヨハネ」と呼んだり、ゼベダイの子ヨハネ、福音記者ヨハネと呼ぶこともある。聖人の概念を持つ全ての教派で、聖人として崇敬されている。
日本ハリストス正教会における呼称では教会スラヴ語から転写しイオアン。聖使徒福音者神学者イオアンとも呼ばれる。英語表記ではジョン(John)である。
正教会での記憶日は10月9日(修正ユリウス暦使用教会では9月26日)。カトリック教会での記念日は12月27日。
概要
ヨハネは兄のヤコブとともにガリラヤ湖で漁師をしていたが、ナザレのイエスと出会い、その最初の弟子の一人となった。ペトロ、兄弟ヤコブとともに特に地位の高い弟子とされ、イエスの変容の場面や、ゲッセマネにおけるイエス最後の祈りの場面では、彼ら三人だけが伴われている。『ルカによる福音書』ではイエスから最後の晩餐の準備をペトロとヨハネの2人が仰せつかっている[2]。
『ヨハネによる福音書』ではイエスが十字架にかけられたときも弟子としてただ一人「愛する弟子」が十字架の下にいたと書かれている[3]。このためキリスト磔刑図においては、伝統的にイエスの母マリアとヨハネを左右に配する構図が存在する。
また、『ヨハネ福音書』ではイエスの墓が空であることを聞いてペトロとかけつけ、真っ先に墓にたどりついたのもこの弟子であり、伝統的に使徒ヨハネのことだと信じられている(これについては「イエスの愛しておられた弟子」を参照)。
ヨハネは初代教会においてペトロとともに指導的立場にあった[4]。
古い伝承では使徒たちの中で唯一殉教しなかったとされる[注釈 1]。イエスの母マリアを連れエフェソスに移り住んだヨハネは、のちにパトモス島に幽閉され、そこで黙示録を記した[5]。釈放されてエフェソスに戻り、そこで没した。福音書を書いたのはパトモス島から釈放された後、老年に達してからで、弟子プロクロスが口述したと伝えられる。またアトス山修道院を開いたのは、ヨハネに伴われたイエスの母マリアであるとする伝説もある。
著書について
教会では伝統的には『ヨハネによる福音書』、『ヨハネの手紙一』、『ヨハネの手紙二』、『ヨハネの手紙三』、『ヨハネの黙示録』が使徒ヨハネによって書かれたとされてきたが、高等批評の影響を受ける近代聖書学ではそのような見解を支持しない学者が多い。ただし、保守的な立場では今も伝統的な理解が保持される(詳細はヨハネ文書を参照)。
ヨハネおよび『ヨハネの福音書』はしばしば鷲のシンボルであらわされる。これは『エゼキエル書』1:10に登場する四つの生き物に由来し、それぞれ四人の福音記者と福音書にあてはめられている。
脚注
注釈
- ^ 何度か処刑されかけたが、いずれも生還を果たしている。
出典
関連項目
- ヨハネ - 曖昧さ回避ページ
- 石巻ハリストス正教会 - 聖堂名が「聖使徒イオアン聖堂」であり、使徒ヨハネを記憶している。
「ヨハネ (使徒)」の例文・使い方・用例・文例
- 彼らはヨハネのところに来て言った。
- 神から遣わされたヨハネという人が現れた。
- ヨハネは答えて言った・・・。
- ヨハネはまだ投獄されていなかったからである。
- ヨハネはこの方について証言した。
- ヨハネの証言はこうである。ユダヤ人達が祭司とレビ人をエルサレムからヨハネのもとに遣わして、あなたは誰ですかと尋ねさせた。
- ヨハネから聞いて、イエスについていった二人のうちの一人は、シモン・ペテロの兄弟アンデレであった。
- またヨハネは証言して言った。
- それで、ヨハネの弟子達が、あるユダヤ人が清めについて議論した。
- その翌日。またヨハネは、二人の弟子と共に立っていた。
- その翌日、ヨハネは自分の方にイエスが来られるのを見ていった、
- この事があったのは、ヨルダンの向こう岸のベタニヤであって、ヨハネはそこで、バプテスマを授けていた。
- あなたはヨハネの子シモンです。
- マタイ[マルコ, ルカ, ヨハネ]による福音書.
- ヨハネパウロ教皇.
- ヨハネス・ケプラーによって提唱された惑星運行の3つの経験論の1つ
- ヨハネの黙示録(黙示録の本のように)の聖書予言が現在遂行される途中にあると考える教理
- ユダヤ人でキリスト教の要素を2次元信条の構想に取り込んだ、バプテスマのヨハネがメシアであったと信じる2、3世紀に起源したグノーシス派宗教
- 伝統的に使徒聖ヨハネによるとされる最初の新訳聖書の書簡
- 伝統的に使徒聖ヨハネによる二番目の新訳聖書書簡
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