ブレードのデザイン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/23 00:43 UTC 版)
「ヘリコプターのローター」の記事における「ブレードのデザイン」の解説
ヘリコプターのブレードには、ウイングチップ・ボルテックス(翼端渦)による抗力を小さくするため、細長い、高アスペクト・レシオの翼が用いられている(グライダーの翼を参照)。一般的には、若干のねじり下げを付けることにより、空気流との相対速度が高く、ウイングチップ・ボルテックス(翼端渦)が生じやすい翼端の揚力を減少させている。その材料には、アルミニウム、複合材料、鉄またはチタンなどのさまざまな材料が用いられ、リーディング・エッジ(前縁)にはアブレーション・シールドが貼り付けられている。 回転翼機のブレードは、可動部分がないものが多いが、中にはそれがあるブレードも存在する。カマンK-MAXは、トレーリング・エッジ(後端)にブレードのピッチ角を制御するためのフラップを装備していた。また、ヒラーYH-32ホーネットのように、ブレードの先端にラムジェットを装備したものもあった。2010年現在、トレーリング・エッジ・フラップを用いたアクティブ・ブレード・コントロールの研究が進められている。タービュランス(乱気流)や騒音を軽減し、飛行効率を向上させるため、特別に設計された翼端を持ったヘリコプター・ブレードもある。そのような特別な翼端を持つブレードのひとつに、イギリス実験的ローター・プログラムにより開発されたBERP(British Experimental Rotor Program)ローターのブレードがある。 ブレードの翼型は、2つに分類される。 対称翼 非対称翼 対称翼のブレードは、安定性が高く、ブレードにねじれを生じさせることにより、操舵力を小さくすることが可能である。 このブレードの安定性が高いのは、迎え角の変化に応ずる圧力中心の変化が小さいためである。圧力中心とは、スパン・ライン上に伸びる、全ての空気力学的上の合力が集中する想像上の点である。今日では、複合材料を用いることによって、より薄い翼型であっても、充分な剛性が得られるようになってきている。 一方、上面と下面でキャンバーが異なる非対称の翼型が用いられる場合もある。この翼型は、比較的安定性に欠けるが、トレーリング・エッジ(後縁)をそらせることにより対称翼と同じような特性を持たせることも可能である。この種のブレードは、「リフレックシング」と呼ばれ、より高速での運用が可能となっている。 非対称翼が比較的不安定である原因の1つは、迎え角の変化に応じて圧力中心が移動するためである。揚力を生じる圧力中心がローター・ブレードの軸心点よりも後方にある場合、ローター・ディスクが後方に傾いてしまう傾向にある。迎え角が増加すると、圧力中心は前方に移動する。圧力中心が軸心点よりも前方に位置すると、ローター・ディスクは前方に傾く。ローター・ブレードの迎え角は、各回転サイクルの間、常に変化し続けため、ブレードのフラッピング、フェザリングおよびドラッギングはさらに大きくなる。
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