ブラックウォーターと他の河川の比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/02/22 07:42 UTC 版)
「ブラックウォーター (陸水学)」の記事における「ブラックウォーターと他の河川の比較」の解説
表1:アマゾン水系の河川水における、各元素・金属イオンの質量濃度(mg/L,μg/L)、電気伝導度(μS/cm マイクロジーメンス毎センチメートル)、pH の比較 Solimoes川ネグロ川 – ブラックウォーターNa (mg/L) 2.3 ± 0.8 0.380 ± 0.124 K (mg/L) 0.9 ± 0.2 0.327 ± 0.107 Mg (mg/L) 1.1 ± 0.2 0.114 ± 0.035 Ca (mg/L) 7.2 ± 1.6 0.212 ± 0.066 Cl (mg/L) 3.1 ± 2.1 1.7 ± 0.7 Si (mg/L) 4.0 ± 0.9 2.0 ± 0.5 Sr (μg/L) 37.8 ± 8.8 3.6 ± 1.0 Ba (μg/L) 22.7 ± 5.9 8.1 ± 2.1 Al (μg/L) 44 ± 37 112 ± 29 Fe (μg/L) 109 ± 76 178 ± 58 Mn (μg/L) 5.9 ± 5.1 9.0 ± 2.4 Cu (μg/L) 2.4 ± 0.6 1.8 ± 0.5 Zn (μg/L) 3.2 ± 1.5 4.1 ± 1.8 P (μg/L) 105 ± 58 25 ± 17 C (mg/L) 13.5 ± 3.1 10.5 ± 1.3 炭酸塩中のC (mg/L) 6.7 ± 0.8 1.7 ± 0.5 伝導度 57 ± 8 9 ± 2 pH 6.9 ± 0.4 5.1±0.6 ブラックウォーターと他の河川では、表1に示されるようにイオン組成が大きく異なる。ブラックウォーターは酸性が強いため、土壌中のアルミニウムがイオン化しやすい状態にあり、結果としてその質量濃度が他の河川よりも大幅に高くなっている。他にみられる大きな違いとしては、他の河川と比べて、ナトリウム、カルシウム、カリウムの濃度が非常に低いことがある。このため、それらの金属を殻の形成のために必要とする巻貝類などは、ブラックウォーターではあまりみられない。溶存イオン量が少ないことで、ブラックウォーターで流れている水の電気伝導度も雨水と同じような低い値になっている。 ブラックウォーターとそうでない河川は、生息している動植物プランクトンについても違いが有る。表2では、位置的に数メートルほどしか離れていないそれぞれの河川で捕獲されたプランクトンの数を比較している。この表で取り上げているJapura川は、ネグロ川ほど極端なブラックウォーターではないのだが、ワムシ類の豊富さや、ミジンコ類や昆虫の幼虫、ダニ類の少なさなど、他河川とのブラックウォーター特有の違いがみられる。またブラックウォーターと他河川が合流している地点では、豊富な種類の生物が棲息していることが分かる。このような合流地点は森林の外でも幼魚の餌となる甲殻類が豊富なため、この地点にやってきて産卵をする魚も多くいる 。 表2: ブラックウォーター(Japura川)から採取した水と他河川(Solimoes川)から採取した水10L中におけるプランクトンの種類別個体数ブラックウォーター合流点他河川生物種森林外森林内森林外森林内森林外森林内ボルボックス類 42 38 ワムシ類 87 5 34 ミジンコ類 6 5 8 1 貝虫類 2 11 3 7 カイアシ類カラヌス目 23 3 10 カイアシ類キクロプス目 5 27 19 1 13 1 アミ類 1 ハエ目の幼虫 1 (ミズ)ダニ類 1 1
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