フォトレジストのEUV露光
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 07:00 UTC 版)
「極端紫外線リソグラフィ」の記事における「フォトレジストのEUV露光」の解説
EUV光子が吸収される場合、ちょうどX線または電子線が物体に吸収される場合に生じることのように、光電子(photoelectron)と二次電子(secondary electron)がイオン化によって生成される。生成量は明確ではないが、平均で約4個の二次電子がEUV光子毎にで生成されると推測された。これらの二次電子は、数から十数eVのエネルギーを持っており、目的の化学反応を始める前にフォトレジスト(下記参照)内部の十数ナノメーターを移動する。これは、ハロゲン化銀写真フィルム中の潜像形成のための光電子泳動に非常に似ている。このやや大きな距離の要因は、ポリマーに排除体積相互作用(excluded volume interaction)があるという事実である。最近の実際のEUV印刷テストでは、たとえ光学解像度およびフォトレジスト構成が制限因子でなかったとしても、30 nmの空間を解像出来なかったと判明した。 具体的に、より高い処理能力を得るため化学増幅を利用するフォトレジスト(化学増幅型レジスト)において: e- + 酸発生剤(acid generator) -> アニオン -> 解離アニオン生成 この反応は、「電子付着(electron attachment)」や「解離性電子付着(dissociative electron attachment)」としても知られ、その時点での捕捉が最も容易であるため、基本的に電子が停止するまで減速した後生じる可能性が最も高い。電子付着の断面積は高エネルギーの電子エネルギーに反比例するが、0のエネルギーにおいて最大の制限値に接近する。他方では、最低のエネルギー(数 eVかそこら、あるいは解離性付着が支配的な領域)の平均自由行程が、10 nmをはるかに上回ことは既に知られており、それゆえこのスケールにおいて分解能が確実に達成される能力を制限している。 さらに、20 eV未満のエネルギーを持った電子は、レジストからの水素とフッ素の陰イオンの脱着が可能であり、それはEUV光学系への潜在的な損害につながる EUVフォトレジストイメージはピッチとおよそ等しい厚さのレジストを必要とすることがよくある。これはEUV吸収によりレジストの底のほうまでに少ない光しか届かなくなることによるだけでなく、二次電子からの前方散乱にもよる(低エネルギー電子線リソグラフィに似る)。反対に、薄いレジストは下層のフィルムへの損傷をもたらす入射光の多くの部分を伝達するが、にもかかわらず同じレベルの吸収を満たすためにより多くの照射を必要とする。 光子の吸収深度は電子の脱出深さを超過するので、電子の放出は結局遅くなり、それらのもつエネルギーは最終的に熱として消散される。 1 mJ/cm2のEUV照射は10.9 μC/cm2当量の光電子線量を生じる。現状の実証では10 mJ/cm2の照射を越える。109 μC/cm2の光電子線量当量である。 より小さな形状を作るためにより高線量および(または)レジストの薄膜化を採用することは、単にフォトレジストの底面層の照射増加をもたらすのみである。これは、実質的にイメージコントラストを低下せしめる光電子と二次電子の別の重要な供給源が加えられる。さらに、下層への電離放射線障害の可能性を増加させる。 分解能を不鮮明にする二次電子および光電子の範囲は、線量、表面汚染、温度などのような要因に依存する。
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