ファインティングスタイル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 14:49 UTC 版)
「藤原敏男」の記事における「ファインティングスタイル」の解説
変則的な攻め方 藤原はオールラウンドプレーヤーであり、パンチ・キックともあらゆる面において優れていた。ただ、攻め方が変則的であった。独特なリズムを持ち、前へ横へと軽快なフットワークを用い、相手の虚を突いて一気に中に飛び込んで攻撃していくタイプである。中に入ってくるかと思えば横へと移動し、横へ動くかと思うといきなり飛び込んでくるので、対戦相手にとっては非常に掴まえにくく、やりにくい。 ヒット・アンド・アウェータイプの選手は、一度掴まえれば脆さが露見する場合が多いのだが、藤原は打ち合い蹴り合いに関しても、決して引けをとらない。藤原もこの独特のフットワークを自分のものにする以前は、真正面から、それも強引にパンチ・キックで勝負してきた。その基礎がしっかりしていてこそ、初めてこの変則的な攻めが成功していた。 パワーあふれるキック 堂々と一歩も下がらず攻防する中でパンチ・キックを繰り出す。どちらが得意かといえばキックだろう。藤原の回し蹴りは、腰の回転を充分に使ったまるでムチのような力強いシャープな蹴りである。右・左と伸びのある強力なキックを連続して攻撃していくときなど、ダイナミックこの上ない。藤原が強力な蹴り技を身につけたのも、打倒ムエタイを目指し、強力なタイ人の蹴りと互角に戦えるよう鍛えていったからにほかならない。毎日1時間ぶっ通しでサンドバッグを蹴り続け、また大きなタイヤでスネを鍛えたり、宇都宮から東京まで100キロメートルの道を走るなど、超人的な鍛錬を積み重ねたのである。 藤原の師、黒崎健時の命により「手(パンチ)を使ってはならぬ」という、蹴りだけの試合も行ったことがある。常に蹴りの間合いでだけで戦えるものではない。相手も必死で攻撃してくるのだから、パンチの距離に入ってきた時など、手を使えない闘いほど大変なものはない。藤原は蹴って、蹴って、蹴りまくった。結果は4RKO勝ち。「この試合ほど疲れた試合はなかった」と藤原は語る。だが、このような試合をこなしてこそ、藤原の強力な、なおかつバランスの良いキックが完成していったのである。 一発KOパンチ キックのパワーを身につけた藤原は、タイのチャンピオンクラスを倒すには、正確な、パワーあるパンチを身につけなければならないことに行き詰る。今度は徹底的にパンチを練習し、一発で相手を仕留めるスピード・パワー・タイミングと三拍子揃った強力なパンチをマスターして一発KO勝ちを続ける。全日本ライト級タイトルマッチで鈴木勝幸と戦ったとき、鈴木に追い込まれながらも右アッパーカット一発で、逆転KO勝ちを収めた強力なワンパンチは印象に深い。 戦術 見た目は八方破れ的な攻撃方法だが、藤原なりに計算を立てた上での変則的な方法である。独特のステップを用い、相手のリズムを崩して強引に自分のリズムで試合を運ぶ。相手の中へ飛び込み、引っかき回しては攻め、また引っかき回しては攻めるのである。一度藤原の術中にハマってしまうと、相手はどう攻めていいのか、いつ攻めていいのかわからず、藤原に触ることもできずに、ただパンチとキックに耐える一方という試合展開になる。 また、藤原は、 対角線上の攻撃 右ローキックから左ハイキックや右ハイキックから左ミドルキックなど攻撃技が対角線になるように攻めること 上下に技をちらす 左ジャブから右ローキック、右ストレートから左ボディブローのような攻撃をすること 縦横のコンビネーション 前蹴りと回し蹴りと組み合わせることで縦横の攻撃にすること 以上3つの基本パターンを複合的に何通りにも組み合わせ、スピードの変化に伴う攻撃を生み出し、そしてその底に潜む無限な力強い精神力が大試合で常に感動を呼んでいた。
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