ハディースの「権威化」におけるシャーフィイーの影響とは? わかりやすく解説

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ハディースの「権威化」におけるシャーフィイーの影響

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/06 15:06 UTC 版)

ハディース批判」の記事における「ハディースの「権威化」におけるシャーフィイーの影響」の解説

ムハンマドの死後1世紀半ほど経ち形成され始めた初期イスラム法学派やその学者たちの間においてはムハンマドスンナとその根拠であるハディース当初ムハンマド以外の初期ムスリム言行報告するためにも使われていた)の重要性について、総意形成されていたわけではない。「アハル・ラッユ(Ahl al-Ra’y)」として知られる合理的な裁量イスラム法源として導入する流派の中では、ムハンマドスンナ多く法源1つにすぎないという考え方存在した。他の法源には、カリフ主要な初期ムスリム伝統などがある。また、「アハル・カラーム(Ahl al-Kalām)」として知られる思弁的な神学者たちは、ハディース権威否定した。彼らは、ムハンマド言行承認についての1世紀半前の報告信憑性を完全に確証させることは不可能と考えたからである。 古典的なイスラム法学における、ハディース最たる重要性確立させたのは、スンナ派シャーフィイー法学派創始者シャーフィイー西暦767-820)である。 シャーフィイーは、ハディースについてこう説く。 「預言者からの伝承については、それを裏付けるものであろうと、矛盾するものであろうと、いかなる人物の発言も意味を成さない。もし預言者からの伝承知っていたならば、いかなる人物であれ、それに従ったはずであろう」。 米コロンビア大学イスラム法専門家ジョセフ・シャハトや、ダニエル・W・ブラウンはじめとする多くイスラム学者は、イスラム法学におけるハディース権威性は、最初期ムスリムによる総意ではなくその後後世受け継がれたものであると指摘する。Schachtによればシャーフィイー著作の中でハディース重要性主張し続け必要性感じていたということは当時現れた「逸脱者・異端者」を非難する目的ではなく、自らの主張がまだ教義多数派形成しておらず、それを定着させるための努力が必要であったことを示唆しているという。 ムスリムムハンマドに従わなければならず、そのスンナに倣うべきとする信条は、クルアーンの3:32、5:9224:5464:12などの章句由来するハディースヒジュラ3世紀頃まで口伝伝えられており、ムハンマド実際教えや行動をどれだけ忠実に、また精神的に踏襲しているか疑問視する声もあったが、シャーフィイーは「ムスリム預言者に従うことを命じられている以上、神は必ずその手段を用意しているはずだという単純な命題用いて」、ハディースに従わなければならない主張したシャーフィイースンナを神の啓示(wahy)とみなし、その記録ハディース)を古典的なイスラム法シャリーア)における基礎としたが、最も主要な法源であるクルアーンの中では法に関する章句比較少なにも関わらずハディース宗教的義務詳細サラートのためのグスルウドゥといった沐浴方法など)から、正し挨拶仕方奴隷への慈悲重要性 まで、あらゆることについて指示与えている。ジョナサンACブラウンによれば、「イスラム神学法学の全系は、主にクルアーン由来とするものではない。ムハンマドスンナ第二の、しかしはるかに詳細な啓典とされ、後世イスラム学者預言者をしばしば『二つ啓示持ち主』と呼ぶようになる」。 シャーフィイー功績により、後世学者は「スンナ預言者言動由来するもの以外であると疑うことはほとんどなかった」が、後世ハディース批判者は、シャーフィイー理論対抗し初期の学派同様の主張をすることもあった(例えば、クルアーンのみが神の啓示であるとする説など)。

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