ナットランナーの近年のトレンド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 15:57 UTC 版)
「ナットランナー」の記事における「ナットランナーの近年のトレンド」の解説
ナットランナーは自動車車体製造現場や自動車部品組み立て現場で用いられることが最も多く、その他にも航空宇宙産業やバイク・重機・建機組立、家電組立等、産業界の組立分野では幅広く使われている。旧来の日本の製造現場では使い勝手の良さからエアー駆動もしくは電動パルス方式のピストル型ナットランナーが主流であり、これらで締め付けの後、特に品質を求められる重要保安部位(逆S、デルタSとも言われる事がある)では、クリックレンチ(トルクレンチ、QLとも呼ばれる)で再度締め付けトルクを測定して記録(有線もしくは無線でデータを残せるものもある)、OKの場合はナットにマーキングをするという煩雑かつ技量を求められる作業が行われることが多かった。 これに対し、近年では、ダイレクト駆動方式でトランスデューサーを内蔵した電動ナットランナーが欧米を中心に主流となってきている。これは、トランスデューサー内蔵のナットランナーを用いて締付時のトルク・角度の波形(変遷のグラフ)を測定し、変遷形状が許容値から外れているものを不良として判定(NOK)をする事により、従来のボルト締めで問題になっていたボルトの斜め締め、ワッシャー忘れ、スレッドのダメージ・焼き付きなどを自動的に判定することも可能になってきているからでもある。上記機能を用いることで、旧来行われてきたクリックレンチやマーキング作業による締め付け保障の手間を排除した上で、品質マネジメントシステム規格であるIATF16949にて求められるトレーサビリティに対応して締付結果のデータを自動的にデータベースサーバーやクラウドに記録する機能を搭載するものも出てきている。 それに加えて、作業者のミスを製造ラインの下流に流出させないポカヨケ機構を搭載したものや、締め付け手順間違いを防ぐために、ナットランナーを位置検出アームに固定し連動させ、ネジ締め位置に応じてナットランナーの締付条件を自動的に切り替えたり、間違った手順での締付を防止する機能が搭載されているものもある。 また、最新のナットランナーでは、バッテリー駆動ながらBluetoothやWifiに対応して無線で制御・データ収集可能なものや、ナットランナー内部にGPSや加速度センサー・ジャイロセンサーを内蔵して位置の検出・本体の姿勢制御・手振れで生じるトルク補正が可能なナットランナーも出てきている。 近年のボルト・ネジ締結工程では、上記の機能を取り入れたナットランナーを使用することにより、技能が無い作業者でもプロフェッショナルな締め付け作業が行える上に、エルゴノミクス(人間工学)を取り入れることにより人間への負荷(体力・知力)を軽減しながら締め付けミスが出ない仕組みづくりが行われている。
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