ドクタートレイン
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「九州新幹線 (鹿児島ルート)」の記事における「ドクタートレイン」の解説
地上設備の検測を行う「試験車」とは異なります。 九州新幹線の列車において実施される急患搬送協力体制のこと。体調が悪くなった客が横になれるように、N700系と800系新幹線車両に設置されている多目的室を活用し、対象は新生児など周産期の緊急治療が必要な患者であるとされる。 元々日本の患者の救急搬送体制には救急車とドクターヘリ等があるが、それらは数が少なく緊急時には利用することができなくなり、更にはヘリでは急激な気圧変化が懸念され、陸上の救急車搬送では振動や長い所要時間で患者に負担をかけることになる上、長距離・長時間運転を行うスタッフにも負担になるという問題があった。そこで高度医療を担う病院が多い拠点都市相互間を、短い所要時間で頻繁に結ぶ新幹線に注目し、医療界がJR側に協力を仰ぎ実現することになった。 JR九州ではN700系と800系の多目的室を活用し、九州・山陽・東海道新幹線の電車を利用して、九州各県相互、および、九州各県から近畿地方・関東地方の病院へ転院が必要な寝たきり患者を想定して、患者を搬送している。2日前までの予約が必要であるが、JR九州は「なるべく前日や当日の要望にも応えていきたい」とし、担当窓口に電話するだけで列車から駅構内の移動まで手配できる体制になっているという。JR九州・JR西日本・JR東海が協議した結果、「車内で手術はしない」「感染力の強い病気の患者の輸送は行わない」との条件で合意した。 救急医療活動において九州新幹線を活用した例として、以下のような事例がある。 2010年1月13日、出水市内の産婦人科医院から、鹿児島市立病院に新生児科医師派遣要請があった。同院からスタッフを防災ヘリでピックアップして飛ばそうとしたが、当日は悪天候で(他に救助事案が入った場合に出動しなければならないため)、出水での長時間待機は不可能と判断された。更には救急車の出動も不可能であった。そのため当日運行されていた九州新幹線を利用して医師・看護師・器材を運び、出産後に防災ヘリが出動し新生児を市立病院に運ぶこととなった。医師らは11時19分の電車で鹿児島中央駅を出発して12時頃に出水駅に到着。1時間後に到着した防災ヘリで同病院に戻り、新生児はNICUに無事収容された。 2011年4月下旬には、鹿児島市立病院に入院していた当時1歳の男児が「気管軟化症」の治療を東京都内の病院で受けるため、保護者および同病院の医師らが同伴して鹿児島中央駅から新幹線を途中で乗り継ぎ、東海道新幹線東京駅まで移動した。東京駅からは救急車で都内の病院に到着し、無事に手術を受けることができた。 東京方面へは九州新幹線の車両が東海道新幹線に乗り入れできないため、基本的に岡山か広島始発ののぞみに乗り換えを計画して行っている。理由は、この2駅はホームの構造上移動が簡単にできるためである。
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ドクタートレイン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 07:40 UTC 版)
地上設備の検測を行う「試験車」とは異なります。 九州新幹線の列車において実施される急患搬送協力体制のこと。体調が悪くなった客が横になれるように、N700系と800系新幹線車両に設置されている多目的室を活用し、対象は新生児など周産期の緊急治療が必要な患者であるとされる。 元々日本の患者の救急搬送体制には救急車とドクターヘリ等があるが、それらは数が少なく緊急時には利用することができなくなり、更にはヘリでは急激な気圧変化が懸念され、陸上の救急車搬送では振動や長い所要時間で患者に負担をかけることになる上、長距離・長時間運転を行うスタッフにも負担になる という問題があった。そこで高度医療を担う病院が多い拠点都市相互間を、短い所要時間で頻繁に結ぶ新幹線に注目し、医療界がJR側に協力を仰ぎ実現することになった。 JR九州ではN700系と800系の多目的室を活用し、九州・山陽・東海道新幹線の電車を利用して、九州各県相互、および、九州各県から近畿地方・関東地方の病院へ転院が必要な寝たきり患者を想定して、患者を搬送している。2日前までの予約が必要であるが、JR九州は「なるべく前日や当日の要望にも応えていきたい」とし、担当窓口に電話するだけで列車から駅構内の移動まで手配できる体制になっているという。JR九州・JR西日本・JR東海が協議した結果、「車内で手術はしない」「感染力の強い病気の患者の輸送は行わない」との条件で合意した。 救急医療活動において九州新幹線を活用した例として、以下のような事例がある。 2010年1月13日、出水市内の産婦人科医院から、鹿児島市立病院に新生児科医師派遣要請があった。同院からスタッフを防災ヘリでピックアップして飛ばそうとしたが、当日は悪天候で(他に救助事案が入った場合に出動しなければならないため)、出水での長時間待機は不可能と判断された。更には救急車の出動も不可能であった。そのため当日運行されていた九州新幹線を利用して医師・看護師・器材を運び、出産後に防災ヘリが出動し新生児を市立病院に運ぶこととなった。医師らは11時19分の電車で鹿児島中央駅を出発して12時頃に出水駅に到着。1時間後に到着した防災ヘリで同病院に戻り、新生児はNICUに無事収容された。 2011年4月下旬には、鹿児島市立病院に入院していた当時1歳の男児が「気管軟化症」の治療を東京都内の病院で受けるため、保護者および同病院の医師らが同伴して鹿児島中央駅から新幹線を途中で乗り継ぎ、東海道新幹線東京駅まで移動した。東京駅からは救急車で都内の病院に到着し、無事に手術を受けることができた。 東京方面へは九州新幹線の車両がJR東海の車両規定の都合上、東海道新幹線に乗り入れできないため、基本的に岡山駅か広島駅始発の「のぞみ」に乗り換えを計画して行っている。理由は、この2駅はホームの構造上移動が簡単にできるためである(博多駅・新大阪駅はエレベータでの移動が必要になる)。
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