シンセサイザー奏者が使う電子楽器の種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/26 09:10 UTC 版)
「シンセサイザー奏者」の記事における「シンセサイザー奏者が使う電子楽器の種類」の解説
シンセサイザー奏者が使う電子楽器は鍵盤部分が付属する電子楽器に留まらない。ドラムを演奏する「ドラムマシン」や鍵盤部分がない本体だけのシンセサイザーもある。ドラムマシンは本体パネルの上面にある平たいボタンの様な形状の「パッド」と呼ばれるスイッチを叩くことで様々な打楽器音を発音させる。MIDIと呼ばれる演奏用の信号を通じて鍵盤での操作でも打楽器音を発音させることができる。 鍵盤部分がない本体だけのシンセサイザーは、ラックと呼ばれる箱状のケースに入れて使うタイプのものや床やテーブル、キーボード・スタンドに本体を置いて使うタイプのものがある。これらは直接本体を触って音階を演奏するのではなく、外部のコンピュータやキーボード状のコントローラーなどとの間にMIDIケーブルをつないで演奏する様に設計されたシンセサイザーである。その他、音をあらかじめ録音して音程や音質を変えて発音させるサンプリング・マシンもある。 さらに以下に挙げるものは電子楽器ではないが楽曲創りをする上での作業を補佐するツールとして、残響音を加えるリバーブ、反射音を作り出すエコーマシンなどのエフェクターと呼ばれる音響効果を施す周辺機器、コンピュータで電子楽器を演奏するためのシーケンサー(専用のマシンの形もあれば、コンピュータにシーケンサー・ソフトウェアをインストールして使うものもある)、楽器それぞれの音のレベル(音量)を総合的に調整するミキシング・コンソール、録音に使うレコーダー(古くはオープン・リールテープを使ったトラック・レコーダー、1990年代後半からはハードディスクを使ったハードディスク・レコーダー、2000年以降はレコーディング用のDTMソフトウェアをインストールしたパーソナル・コンピュータ)も含まれる。(この様に見ていくとシンセサイザー奏者は「音の記録=レコーディング」に関連する技術に密接なことも他の楽器奏者と大きく異なる点を持っている) シンセサイザー、サンプリング・マシン、ドラムマシンのいずれも機種によってそれぞれ出力される音の厚みや音色にクセや特徴がある。電子楽器の世界でも際立った特徴を持つ、いわゆる「味」のある音が出せる機種は「名機」と呼ばれたり、古いものでは「ビンテージ」と呼ばれる。 例えばミニ・モーグ"MINIMOOG"の様に太い音が得意のシンセサイザーもあれば、"ヤマハ DX7"の様に澄んだ音が得意のシンセサイザーもある。ドラムマシンやサンプリング・マシンは初期のものではデジタル録音される音の解析(ビット)が粗いために、発音される音がざらついて出てくるものもある。そうした音も必要に応じて効果的に使うのだ。また電子楽器では一度に発音する発音数が限られている場合もある。古い機種では1音しか出ない「モノフォック」と呼ばれるタイプのものも珍しくない。和音が演奏できる「ポリフォニック」と呼ばれるタイプのものでも4音、8音、16音など機種によってそれぞれ発音数に上限がある。 シンセサイザー奏者たちはそれら最新機種からビンテージ機種に至るまで、それぞれのシンセサイザーの特徴を知っているものであり、創作する楽曲に見合ったシンセサイザーを選び出す能力とそれらを使いこなす技能を持っている。 そうしたそれぞれの機種に内在する技術的な制限を悪材料と見るのではなく逆にうまく利用したり、制限の壁を乗り越える新たな方法を生み出すなどして豊かな音楽表現を果たすための知恵と工夫に富んでいるのがどのシンセサイザー奏者の能力にも共通する特徴と言える。 シンセサイザー奏者が行う音楽表現のための作業は多面的であるためにその定義はいまだ明確には定まっていないが、以上に述べたことから「シンセサイザー奏者」とは、(1)「楽曲や演奏を通した表現を重点に置いていること」、(2)「その表現媒体としてシンセサイザーを中心的に使っていること」、(3)「その上で設定や操作などの技術的な手法によって音響的(サウンド)表現を果たすことができること」がシンセサイザー奏者であるかどうかの分け目と見ることができ、それを「シンセサイザー奏者」の定義とすることができるだろう。 以下に挙げるアーティストは上に述べた技能・技術面から見ても「シンセサイザー奏者」と呼ぶに相応しいだろう。
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