シュレーゲル‐あおがえる〔‐あをがへる〕【シュレーゲル青×蛙】
シュレーゲルアオガエル
和名:シュレーゲルアオガエル |
学名:Rhacophorus shlegelii |
カエル目 |
分布:本州・四国・九州などに分布する固有種。 |
写真(上):シュレーゲルアオガエル成体 |
説明 モリアオガエルよりも里に多く見られる種類で,里山の水田には普通に見られる。ただし,両種の混棲地は多いので,場所で区別することはできない。産卵は田のあぜや,湿原の回りなどの土中になされる。そのため,モリアオガエルよりも卵塊を見かけることが少ない。卵塊を多く見られるのは,水田を耕作した際に土中から掘り出されてしまった場合である。産卵は水田に多いが,成体は森林に住み,非繁殖期に水田周辺で見かけることはほとんどない。区別点:モリアオガエル,ニホンアマガエルの項参照。卵塊は本種の方は白く,黄色味をほとんど帯びないことでモリアオガエルと区別可能。鳴き声:ケケケケ・・。モリアオガエルより高く,早い鳴き声。 |
シュレーゲルアオガエル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/11 23:41 UTC 版)
シュレーゲルアオガエル | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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シュレーゲルアオガエル
Zhangixalus schlegelii |
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保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) |
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Zhangixalus schlegelii (Günther, 1858)[2] |
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シノニム[4] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
シュレーゲルアオガエル[5] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Japanese gliding frog[4] Schlegel's flying frog[4] Schlegel's green tree frog[4] Schlegel's tree frog[4] |
シュレーゲルアオガエル(学名:Zhangixalus schlegelii)は、両生綱無尾目アオガエル科に分類されるカエル。
分布
日本の固有種で、本州(下北半島の低山地から[6])・四国・九州とその周囲の島(五島列島[7])に分布するが、対馬にはいない[8]。
分類
学名は「シュレーゲル氏のアオガエル」という意味で、名前はオランダのライデン王立自然史博物館館長だったヘルマン・シュレーゲルに由来する[9]。
タイプ産地は「Japan」[3]だが、それ以上の詳細は不明[9]。タイプ標本はイギリスの大英博物館に保管されている[9]。
同じく日本に分布するモリアオガエルの姉妹種と考えられている[9]。
以前はRhacophorus属(広義のアオガエル属)に分類されていたが、2019年に新設されたZhangixalus属(狭義のアオガエル属)に分割された[2]。一方でZhangixalus属をRhacophorus属の亜属とみなす説もある[10]。
形態
体長はオスが32-43mm、メスが43-53mmほどで、メスの方が大きい[9]。オスは咽頭下に単一の鳴嚢をもち、これを膨らませて鳴く[9]。
体色は腹側は白く背中側は緑色をしているが、保護色で褐色を帯びることもある。虹彩は黄色[8]。指の間には水かきが発達する[9]。
外見はモリアオガエルの無斑型に似ているが、やや小型で、虹彩が黄色いことで区別できる。また、ニホンアマガエルにも似ているが、より大型になること、鼻筋から目、耳にかけて褐色の線がないこと、褐色になってもまだら模様が出ないことなどで区別できる。
ひとつの卵の大きさは2.5mmほどで、幼生(オタマジャクシ)は成長すると全長49mmまでになり、尾は細くやや長い[9]。変態したばかりの時期の体長は15-16mm程度である[9]。
生態
水田や森林等に生息し、繁殖期には水田や湖沼に集まる。繁殖期はおもに4月から5月にかけてだが、地域によっては2月から8月までばらつきがある[9]。食性は肉食性で昆虫類、節足動物等を食べる。
繁殖期になるとオスは水辺の岸辺で鳴く。鳴き声はニホンアマガエルよりも小さくて高く、「コロロ・コロロ…」と聞こえる。地中の小さな穴の中で鳴く場合が多く、声の元を凝視しても姿は確認できない。1匹のメスに複数のオスが集まり抱接する[8]。畦などの水辺の岸辺に、クリーム色の泡で包まれた3cm-10cmほどの卵塊を産卵する[9]。泡の中には200個-300個ほどの卵が含まれるが、土中に産卵することも多くあまり目立たない[9]。孵化したオタマジャクシは雨で泡が溶けるとともに水中へ流れ落ち、水中生活を始める[9]。
なお、地域によってはタヌキがこの卵塊を襲うことが知られる。夜間に畦にあるこの種の卵塊の入った穴を掘り返し、中にある卵塊を食うという。翌朝に見ると、水田の縁に泡と少数の卵が残されて浮いているのが見かけられる。
保全状態評価
日本の以下の都道府県で、レッドリストの指定を受けている[11]。
一部地域では開発に伴う生息地や獲物の減少により生息数は減少していると考えられている。
しかし、日本全体では分布も広く、個体数も少なくはないため、環境省のレッドリストには指定されていない。国際自然保護連合(IUCN)でもレッドリストにて軽度懸念(LC)と評価しており、個体数は安定傾向にあるとしている[1]。
脚注・出典
- ^ a b IUCN SSC Amphibian Specialist Group. 2021. Zhangixalus schlegelii. The IUCN Red List of Threatened Species 2021: e.T59021A177226326. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2021-1.RLTS.T59021A177226326.en. Accessed on 16 July 2024.
- ^ a b Jiang, D., K. Jiang, J. Ren, J. Wu, and J. Li. 2019. “Resurrection of the genus Leptomantis, with description of a new genus to the family Rhacophoridae (Amphibia: Anura).” Asian Herpetological Research 10(1): 1–12.
- ^ a b Günther, Albert Charles Lewis Gotthilf (1958). “Neue Batrachier in der Sammlung des Britischen Museums”. Archiv für Naturgeschichte 24: 319–328 (p.325).
- ^ a b c d e Frost, Darrel R. 2024. Amphibian Species of the World: an Online Reference. Version 6.2 (accessed on 16 July 2024). Electronic Database accessible at https://amphibiansoftheworld.amnh.org/index.php. American Museum of Natural History, New York, USA. doi.org/10.5531/db.vz.0001
- ^ 日本爬虫両棲類学会 (2024) 日本産爬虫両生類標準和名リスト(2024年3月11日版). http://herpetology.jp/wamei/ (2024年7月16日アクセス).
- ^ “恐山山地森林総合調査報告書 6.野生生物 p,82”. 林野庁 (1994年3月). 2025年6月11日閲覧。
- ^ “シュレーゲルアオガエル”. kaerutanteidan.jp. 2025年2月28日閲覧。
- ^ a b c 『決定版 日本の両生爬虫類』pp146-147
- ^ a b c d e f g h i j k l m 『改訂版 日本カエル図鑑』pp160-161
- ^ Mahony, S., R. G. Kamei, R. M. Brown, and K. O. Chan. 2024. “Unnecessary splitting of genus-level clades reduces taxonomic stability in amphibians.” Vertebrate Zoology. Senckenberg 74: 249–277.
- ^ “日本のレッドデータ検索システム(シュレーゲルアオガエル)”. エンビジョン環境保全事務局. 2014年7月11日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
参考文献
- 前田憲男・松井正文『改訂版 日本カエル図鑑』文一総合出版、1999年。ISBN 978-4829921302。
- 内山りゅう・前田憲男・沼田研児・関慎太郎『決定版 日本の両生爬虫類』平凡社、2002年9月20日。 ISBN 4-582-54232-8。
関連項目
- アオガエル科
- アオガエル属
固有名詞の分類
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