シュレンク平衡とは? わかりやすく解説

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シュレンク平衡

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/05 15:19 UTC 版)

シュレンク平衡(シュレンクへいこう、: Schlenk equilibrium)は、グリニャール試薬[1][2]ならびにハウザー塩基英語版[3][4]の溶液中で起こる化学平衡である。名称は発見者のヴィルヘルム・シュレンクに因む。

2 RMgX MgX2 + MgR2

この過程は2当量のアルキルまたはアリールマグネシウムハライド(式の左辺)と1当量のジアルキルまたはジアリールマグネシウム化合物およびハロゲン化マグネシウム(右辺)との間の平衡である。溶液中の有機ハロゲン化マグネシウムは、特に高濃度では、二量体や高次オリゴマーも形成する。エーテル中でアルキル塩化マグネシウムは二量体として存在する[5]

平衡の位置は溶媒、温度、様々な置換基の性質によって影響を受ける。グリニャール試薬のマグネシウム中心は典型的にといった2分子のエーテル(ジエチルエーテルテトラヒドロフラン(THF)など)を配位する。したがって、組成式RMgXL2(L = エーテル)と記述するのがより正確である。モノエーテルが存在すると、平衡は典型的にアルキルまたはアリールハロゲン化マグネシウムに傾く。しかしながら、こういった溶液にジオキサンを添加すると、二ハロゲン化物MgX2(ジオキサン) の沈殿が起こり、平衡は完全に式の右辺へ傾く[6]。ジアルキルマグネシウム化合物は強力なアルキル化剤であり、有機金属化合物の合成において人気がある。

出典

  1. ^ W. Schlenk; W. Schlenk, Jr. (1929). “Über die Konstitution der Grignardschen Magnesiumverbindungen”. Chem. Ber. 62 (4): 920. doi:10.1002/cber.19290620422. 
  2. ^ Grignard Reagents: New Developments H. G. Richey (Editor) ISBN 0-471-99908-3
  3. ^ Neufeld, R.: DOSY External Calibration Curve Molecular Weight Determination as a Valuable Methodology in Characterizing Reactive Intermediates in Solution. In: eDiss, Georg-August-Universität Göttingen. 2016.
  4. ^ Neufeld, R.; Teuteberg, T. L.; Herbst-Irmer, R.; Mata, R. A.; Stalke, D. (2016). “Solution Structures of Hauser Base iPr2NMgCl and Turbo-Hauser Base iPr2NMgCl·LiCl in THF and the Influence of LiCl on the Schlenk-Equilibrium”. J. Am. Chem. Soc. 138: 4796–4806. doi:10.1021/jacs.6b00345. PMID 27011251. 
  5. ^ J. March Advanced Organic Chemistry 3rd Ed. ISBN 0-471-85472-7
  6. ^ Richard A. Andersen, Geoffrey Wilkinson (1979). “Bis[(Trimethylsilyl)Methyl] Magnesium”. Inorg. Synth. 19: 262. doi:10.1002/9780470132500.ch61. 



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