1,4-ジオキサンとは? わかりやすく解説

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1,4‐ジオキサン

分子式C4H8O2
その他の名称ジオキサン酸化ジエチレン、二酸化ジエチレン、エチレングリコールエチレンエーテル、Dioxane、1,4-Dioxane、Diethylene oxideEthylene glycol ethylene ether、NCI-C-03689、RCRA waste number U-108、p-Dioxane、1,4-ジエチレンジオキシド、1,4-Diethylene dioxide、Diethylene dioxide、ジエチレンエーテル、Diethylene ether、Tetrahydro-1,4-dioxin、1,4-Dioxacyclohexane
体系名:1,4-ジオキサシクロヘキサン、p-ジオキサン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロ-1,4-ジオキシン


1,4-ジオキサン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/16 02:14 UTC 版)

1,4-ジオキサン
識別情報
3D model (JSmol)
バイルシュタイン 102551
ChEBI
ChEMBL
ChemSpider
DrugBank
ECHA InfoCard 100.004.239
EC番号
  • 204-661-8
KEGG
PubChem CID
RTECS number
  • JG8225000
UNII
国連/北米番号 1165
CompTox Dashboard (EPA)
特性
化学式 C4H8O2
モル質量 88.11 g mol−1
外観 無色の液体[1]
匂い ややジエチルエーテルのような[1]
密度 1.033 g/mL
融点

11.8 °C, 285 K, 53 °F

沸点

101.1 °C, 374 K, 214 °F

への溶解度 混和
蒸気圧 29 mmHg (20 °C)[1]
磁化率 −52.16·10−6 cm3/mol
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −354 kJ/mol
標準燃焼熱 ΔcHo −2363 kJ/mol
標準モルエントロピー So 196.6 J/K·mol
危険性
労働安全衛生 (OHS/OSH):
主な危険性
ヒトに対し発がん性物質の疑い[1]
GHS表示:
Danger
H225, H302, H305, H315, H319, H332, H336, H351, H370, H372, H373
P201, P202, P210, P233, P240, P241, P242, P243, P260, P261, P264, P270, P271, P280, P281, P302+P352, P303+P361+P353, P304+P312, P304+P340, P305+P351+P338, P307+P311, P308+P313, P312, P314, P321, P332+P313, P337+P313, P362, P370+P378, P403+P233, P403+P235, P405, P501
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
Health 2: Intense or continued but not chronic exposure could cause temporary incapacitation or possible residual injury. E.g. chloroformFlammability 3: Liquids and solids that can be ignited under almost all ambient temperature conditions. Flash point between 23 and 38 °C (73 and 100 °F). E.g. gasolineInstability 1: Normally stable, but can become unstable at elevated temperatures and pressures. E.g. calciumSpecial hazards (white): no code
2
3
1
引火点 12 °C (54 °F; 285 K)
180 °C (356 °F; 453 K)
爆発限界 2.0–22%[1]
致死量または濃度 (LD, LC)
  • 5 g/kg (マウス, 経口)
  • 4 g/kg (ラット, 経口)
  • 3 g/kg (モルモット, 経口)
  • 7.6 g/kg (ウサギ, 真皮)
  • 10,109 ppm (マウス, 2 時間)
  • 12,568 ppm (ラット, 2 時間)[2]
LCLo (最低致死濃度)
1000–3000 ppm (モルモット, 3 時間)

12,022 ppm (ネコ, 7 時間)
2085 ppm (マウス, 8 時間)[2]

NIOSH(米国の健康曝露限度):
PEL
TWA 100 ppm (360 mg/m3) [skin][1]
REL
Ca C 1 ppm (3.6 mg/m3) [30-分][1]
IDLH
Ca [500 ppm][1]
関連する物質
関連物質 オキサン
トリオキサン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

1,4-ジオキサン (1,4-dioxane) は、常圧常温において無色透明の液体の有機化合物である。分子式は C4H8O2 である。ジエチルエーテルの臭気を弱くしたような臭気を持ち、非プロトン性溶媒としてよく用いられる。構造異性体1,2-ジオキサン1,3-ジオキサンがある。

1,4-ジオキサンはエーテル類に分類され、2つの酸素原子の両方がエーテル基を形成している。4つの炭素原子と1つの酸素原子を有するジエチルエーテルより極性が高い。このためジエチルエーテルはに溶けにくい一方、1,4-ジオキサンは水と混合しやすく、吸湿性もある。有機溶媒としてしばしば用いられる他、塩素系溶剤の安定化剤としても用いられることがある[3]。しかしグリニャール反応では、シュレンク平衡を不活性側に偏らせてしまうため、ほとんど用いられない。また重水を用いたNMRでは、化学シフトの内部基準物質としても用いられる。

なおダイオキシン (dioxin) も2つのエーテル基を有するが、ジオキサン (dioxane) とは全く特性の異なる化合物である。

安全性

長期間空気に晒しておくと、他のエーテル類と同じく爆発性の過酸化物を生成する[4]。ジオキサンを蒸留すると、これらの過酸化物が濃縮されて危険なことがあるため予め注意しておくべきである。可燃性液体であり、日本では消防法により危険物第4類(第一石油類)に指定されている。またPRTR法第1種指定化学物質でもある。更に後述されているがんリスクにより、労働安全衛生法第二類物質特別有機溶剤等にも指定されている。

環境中では分解しにくく、除去も困難であるとされている[3]。動物に対する急性毒性が認められており[3]、ヒトに対しても刺激性や、脳・腎臓・肝臓へ障害が起きる可能性があると考えられている[4]国際がん研究機関 (IARC) により、グループ2B(ヒトに対する発癌性が疑われる)に分類されている物質である。

脚注

  1. ^ a b c d e f g h NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0237
  2. ^ a b Dioxane”. 生活や健康に直接的な危険性がある. アメリカ国立労働安全衛生研究所英語版(NIOSH). 2025年8月16日閲覧。
  3. ^ a b c 日本国 独立行政法人 製品評価技術基盤機構 初期リスク評価書 1,4-ジオキサン(pdf)
  4. ^ a b 国際化学物質安全性カード 1,4-ジオキサン

関連項目



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