コロナ禍の中で那珂工場が出火するも過去最高益(2021年)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 01:54 UTC 版)
「ルネサスエレクトロニクス」の記事における「コロナ禍の中で那珂工場が出火するも過去最高益(2021年)」の解説
2021年2月、福島県沖で地震が発生し、ルネサスの主力である那珂工場が被災し停止した。さらにその復旧直後となる3月、那珂工場N3棟2階のメッキ装置が出火し、製造設備の2%が焼損する大きな被害を受け、那珂工場が再び停止した。 那珂工場N3棟では、2001年に稼働したトレセンティ時代のラインを2021年当時まで使い続けており、既に生産されていない非常に古い装置が多く、生産再開に必要となる中古装置の確保が問題となったが、中古装置の確保に自動車メーカーを中心とする日本の産業界が尽力したこともあり、約1か月後となる4月に生産を再開し、3か月後となる6月には生産水準が100%に回復した。 ルネサスは2020年より続くコロナ禍における「巣ごもり需要」によるゲーム・パソコンを中心とする半導体需要の増加と、それに伴って2020年夏以降に顕在化した車載半導体不足を契機として、2021年1月には車載マイコンの値上げに踏み切っており、火災の影響はあっても第1四半期業績は増収増益となった。ルネサスは出荷停止による受注残高の増加を契機として、これまでジャストインタイム(「メーカーは在庫を持たないので、メーカーが発注したら下請けは数時間から数日以内に納入しろ」と言うシステム)を要求して来た自動車メーカーに対して「半年前の確定受注」を申し渡した。 消火設備の拡充などの災害対策を含めて2021年に800億円規模の設備投資を行うことを2021年9月に発表。 2021年度は車載マイコンの主力工場である那珂工場が一時停止したものの、那珂工場の停止が引き起こしたさらなる半導体不足によって車載半導体の需要が増大したことにより、車載マイコンの売り上げ自体は大幅に上がった。また、産業・インフラ・IoT向けに強みを持つ英ダイアログ社を買収したこともあり、非車載向けマイコンの売り上げも好調だったため、2021年度の売上高は前年比38%増の9944億円、純利益は2.8倍の1272億円と、「焼け太り」とも評される驚異的な成長率となり、過去最高の業績となった。また、日本半導体ランキング2位、世界半導体ランキング15位となり、日本半導体ランキング3位(世界ランキングはランク外)となったソニーセミコンを抜き返した。
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