コルチカムとは? わかりやすく解説

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コルチカム【colchicum】

読み方:こるちかむ

イヌサフランの別名。


コルチカム (犬サフラン)

Colchicum autumnale

Colchicum autumnale

Colchicum autumnale

ヨーロッパから西アジアそれに北アフリカ原産です。草地湿り気のある林内生え、高さは2030センチほどになります鱗茎卵形で、春に披針形だしますが、6月ごろには休眠し枯死します。9月から10月ごろ、花茎伸ばしてサフラン」に似た花を咲かせます。全アルカロイドのコルヒチン(colchicine)やデメコルシン(demecolcine)が含まれ有毒です。属名は、黒海沿岸の都市コルキスColchis)から。和名では「イヌサフラン犬サフラン)」と呼ばれます
ユリ科イヌサフラン属の多年草で、学名Colchicum autumnale。英名は Autumn crocus, Meadow saffron
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イヌサフラン

(コルチカム から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/15 00:39 UTC 版)

イヌサフラン
イヌサフランの花
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: ユリ目 Liliales
: イヌサフラン科 Colchicaceae
: イヌサフラン属 Colchicum
: C. autumnale
学名
Colchicum autumnale L. (1753)[2]

イヌサフラン学名: Colchicum autumnale)は、イヌサフラン科の植物である。かつてはユリ科に分類されていた。ヨーロッパ中南部から北アフリカ原産。種小名 autumnale〈秋の〉の通り、秋に花が咲く。花がクロッカスに似ているため、「秋のクロッカス」とも呼ばれる[3]。なお名前に「サフラン」と付き見た目もよく似ているが、アヤメ科サフランとは全く別の植物である。

分布

アイルランドアルバニアアンドライギリスイタリア(本土)、ウクライナオーストリアオランダギリシャ(本土)、クロアチアスイススペイン(本土)、スロヴェニアチェコドイツハンガリーフランス(本土)、ブルガリアベルギーポーランドルーマニアに自生する[1]

特徴

医薬品

イヌサフランの球茎(球根)や種子にはコルヒチン(colchicine)という物質が含まれている。この物質は痛風薬としても薬事法で認可、販売、処方されている。コルヒチンは人体には猛毒物質であるので専門家の処方が必要。また植物の細胞分裂に影響を与えて倍数体にする作用があり4倍体の作成や、種子を作らない3倍体品種の作成などといった品種改良に使われる。

医学・薬学方面ではイヌサフランをコルヒクム、種子をコルヒクム子、球根をコルヒクム根ということがある。

毒草

猛毒。種子や球根にアルカロイドの一種コルヒチンを含む[4]。日本の有毒植物の代表格であるトリカブトが、2006年から2016年の間に3人の死者を出しているのに対し、イヌサフランは同じ期間に11人の死者を出しており、誤食による食中毒が発生しやすい植物とされる[5]

早春に群がって出るイヌサフランの葉を食用の山菜であるギョウジャニンニクと間違えた事故もあり[4]、鱗茎はジャガイモタマネギと間違えられることがある。また、ミョウガに間違われた事例もあった。イヌサフランは上記のとおりコルヒチンを含んでおり、これを誤って摂取すると下痢、嘔吐、皮膚の知覚麻痺、呼吸困難を発症し、重症の場合は死亡することもある[6]。またサフランと似ているため、花柱を乾燥させた物がスパイスや鎮静・鎮痛・通経薬として使用できると誤認しての中毒例もある。園芸品種コルチカムは、土に植えなくても開花することで知られる園芸植物であるが、テーブルなどに置かれた球根を子どもやペットが誤って食べないように、注意する必要がある[4]

イヌサフランとギョウジャニンニクの見分け方

イヌサフランと食用のギョウジャニンニクは見た目がよく似ているが、根と匂いに違いがある。

ギョウジャニンニクの根本は赤紫色で、根っこは長いひげのように伸びる。また、葉をちぎるとニンニクの強い臭いが広がる。これに対し、イヌサフランの根元は緑色で、根っこは球根になっている。葉をちぎっても、ほとんど臭いがしない。山菜採りの時期は毎年のようにイヌサフランの誤食による死亡事故が発生しているため、注意が必要になる[7]

死亡例

2007年4月、新潟県で50代の男性がギョウジャニンニクと一緒に誤ってイヌサフランを摂食し、その後死亡した[8]

2014年9月、静岡県御殿場保健所管内で70代の男性が、ギョウジャニンニクと間違えて栽培を続けていたイヌサフランを煮物にして食べ、その後死亡した[要出典]

2015年9月、山形県で高齢の女性が観賞用として栽培していたイヌサフランを摂食し、その後死亡した[9]

2017年5月、北海道富良野保健所管内でギョウジャニンニクと誤って食べ、一人が死亡する食中毒事件が発生している[10]

2018年4月、北海道空知地方に住む70代の夫と60代の妻が自宅敷地内に生えていたギョウジャニンニクとイヌサフランをジンギスカンの具材として調理して食し、夫が2日後に死亡。妻も発症したが回復した[11]

同年7月、北海道十勝地方に住む80代の女性が、自宅敷地内で採ったイヌサフランの球根をイモと間違えて煮物にして食べ、2日後に死亡した[12]。イモと誤食し、食中毒が発生した事例は道内では初とみられる。

園芸品種

イヌサフランを園芸用に品種改良したものはコルチカムコルヒカムコルキカムとも)ということが多い。

コルチカムは球根草であるが、球根を土に植えなくても秋になると花が咲くという変わった性質がある。葉は開花後に出てくる。日当たりのよい室内などに球根を置いて、花を鑑賞してから土に植えても全く問題はない。土に植えておくと自然分球して殖えていく。

球根を犬が食べて死亡した例が報告されている。土に植えない、または室内などに球根を置いて花を咲かせる場合は特に注意が必要である。

脚注

  1. ^ a b Chadburn (2014).
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Colchicum autumnale L. イヌサフラン(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年6月10日閲覧。
  3. ^ 瀧井康勝『366日誕生花の本』日本ヴォーグ社、1990年11月30日、268頁。 
  4. ^ a b c 金田初代 2010, p. 188.
  5. ^ 食用そっくり有毒植物、10年11人死亡 見分けつく?”. 朝日新聞デジタル (2017年6月21日). 2017年7月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年9月21日閲覧。
  6. ^ 酒井英二. “自然毒のリスクプロファイル:高等植物:イヌサフラン”. 厚生労働省. 2024年9月21日閲覧。
  7. ^ 山菜と有毒な植物 注意が必要な植物の見分け方は?”. NHH 北海道 NEWS WEB (2024年5月20日). 2024年9月21日閲覧。
  8. ^ 自然毒のリスクプロファイル:高等植物:イヌサフラン”. 厚生労働省. 2018年4月25日閲覧。
  9. ^ “イヌサフランで食中毒、女性死亡 山形、自宅で栽培”. 朝日新聞. http://www.asahi.com/articles/ASH9T7RMDH9TUZHB00L.html 
  10. ^ イヌサフラン食べ80代女性が中毒死 ギョウジャニンニクと誤る 北海道・富良野保健所”. 2018年4月25日閲覧。
  11. ^ “毒草イヌサフランをジンギスカンにして食べ死亡 北海道で70代男性”. 産経新聞. (2018年4月25日). https://web.archive.org/web/20180425184022/http://www.sankei.com/affairs/news/180425/afr1804250032-n1.html 2018年4月25日閲覧。 
  12. ^ “イヌサフラン食べ死亡 十勝の80代女性「イモと間違えた」”. 北海道新聞. (2018年7月23日). https://www.hokkaido-np.co.jp/article/211384 2018年7月23日閲覧。 

参考文献

  • 金田初代、金田洋一郎(写真)『ひと目でわかる! おいしい「山菜・野草」の見分け方・食べ方』PHP研究所、2010年9月24日、188頁。ISBN 978-4-569-79145-6 

外部リンク

英語

コルチカム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/22 23:56 UTC 版)

こもれ陽の下で…」の記事における「コルチカム」の解説

結女が愛した花であり、伸一郎焼け跡生えていた一輪のコルチカムを結女の生まれ変わり思い育て増やし続けていた。紗羅の呼びかけ応じ一郎の心を救う。

※この「コルチカム」の解説は、「こもれ陽の下で…」の解説の一部です。
「コルチカム」を含む「こもれ陽の下で…」の記事については、「こもれ陽の下で…」の概要を参照ください。

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