グラフィックの歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/25 19:46 UTC 版)
「シーラス・ロジック」の記事における「グラフィックの歴史」の解説
1990年代初め、Cirrus Logicは低価格パソコン向けグラフィックチップの供給メーカーであった。CirrusのMicrosoft Windows 2D GUIアクセラレータ (GDI)はローエンド市場において最も高速で、Oak Technologies(英語版)、Trident Microsystems(英語版)、Paradise(ウェスタン・デジタル)の競合VGAチップを上回っていた。例えば、Cirrus GD5422(1992年)は8ビットカラーと16ビットカラーのハードウェアアクセラレーションをサポートした。それは両方をサポートするSVGAコントローラーでは最も低価格なものの一つであった。 AT互換機はPC-9800シリーズなどとは違い、基本システムの構築には何らかのVGAチップが必須であるため、必然的に普及機やオンボード向けの低価格VGAチップは相当数が出荷された。PC-9800シリーズが全盛だった頃の日本ではグラフィックアクセラレータとして高級チップであるS3が人気を集めていたが、その頃のアメリカではむしろCirrus Logicが一番人気でありS3よりも売れていると言われていた。 1990年代中盤、PCがPCIバスに移行したとき、CirrusはS3やTrident Microsystemsの影に隠れることになった。GD5470"Mondello"のリリース日が発表されたときには、デスクトップPCグラフィックにおけるCirrusの評判は苦しい状態にあった。Rambusを用いることで格段に高速な設計になったことを示したGD5464が完成を控えていた中で、Mondelloの開発は後れを取っていた。(このためMondelloは出荷されることはなかった。) 同社の最後のグラフィックチップ、PCI/AGP 3DアクセラレータのGD546x"Laguna"シリーズはRambus RDRAMを採用した数少ないビデオカードの一つで独創的であった。GD546xで使われているタイルメモリの特許は今日のほとんどのグラフィックプロセッサで依然使われている。しかし、当時のプロセス技術によるゲート数の制限を受けた他の多くの2D/3Dチップのように、テクスチャマッピングのパースペクティブコレクト、バイリニアフィルタリング、シングルパスライトニング、グーローシェーディング、アルファブレンディングといった機能セットは次世代の3Dチップと比べて不完全であった。GD546xファミリーは当時のCPU処理の制限により、本来の性能分のトライアングルを処理しきれなかった。GD546xの本来の演算能力は約250万トライアングル毎秒(25ピクセルトライアングル)で、これは競合製品よりもはるかに高速であった。 インテルがi740で3D市場に参入したとき、Cirrus Logicは当時年間5億ドルの価値があった市場から撤退した。(インテルは何年も性能の向上に追いつくことができなかった。i740は広く受け入れられるものではなく、他のメジャーなチップの設計に劣っていた。) Cirrus Logicグラフィックカードのエミュレート実装がいくつかのエミュレータに使われている。QEMUはCirrus CLGD 5446 PCI VGAカードをエミュレートし、これはXen-HVM、KVM、Bochs(BochsはさらにCL-GD5430 ISAカード)でもエミュレート実装されている。
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