グラフィックアドベンチャーの登場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 23:48 UTC 版)
「アドベンチャーゲーム」の記事における「グラフィックアドベンチャーの登場」の解説
前節で述べたような、文字だけのゲームからの発展として、ひとつには『ローグ』のような文字による擬似グラフィックスの利用やコンピュータRPGへといった分化があった。一方、Apple IIなどはこういったゲームでの利用に適した、テキストとグラフィックスを同時表示するモードを備えており、それを利用したゲームが開発された。米国では『ミステリーハウス』を皮切りにグラフィックスを伴ったゲームが開発された。ミステリーハウスの開発者は、シエラオンラインを興し、『ウィザード&プリンセス(英語版)』や『タイムゾーン』などの作品を次々に発表した。ペンギンソフトウェア(英語版)の『トランシルバニア (ゲーム)(英語版)』もこの時期を代表する作品として挙げられる。これら最初期のグラフィックス表示つきアドベンチャーは、Apple IIを主要ハードとしていた。ただし、米国ではテキストアドベンチャーも根強い人気を持っており、グラフィックアドベンチャーとテキストアドベンチャーはしばらく共存する状態が続いた。 こうしたグラフィックス表示つきのアドベンチャーは、日本国内でも数多くの作品が発表された。この時期の代表的作品には、『ミステリーハウス』(マイクロキャビン)、『スターアーサー伝説』三部作(T&E SOFT)、『デゼニランド』『サラダの国のトマト姫』(ハドソン)、『ポートピア連続殺人事件』(エニックス)などが挙げられる。これら国産アドベンチャーゲームも、米国のテキストアドベンチャーゲーム同様、基本的にキーボードから単語をコマンドとして直接入力する方式であった。ストーリーの大半は、一般的な単語や事前にヒントのある単語で進めることが出来たが、ラスト近くなど特定の場面では、事前のヒントが全くないまま、思いも寄らない単語の入力が必要な場合もあった。これはゲームの難度を極度に高める結果となり、プレイヤーは唯一の回答であるコマンドを探して頭を悩ませ、極端な場合には辞書を片手に日常的な英単語を全て打ち込んでみるといった攻略法すら行われた。メーカー側から切手などと交換に「ヒント集」を送付するなど一定の救済策はあったものの、当時のアドベンチャーゲームは「1本のソフトを終えるのに、1年くらいかかる」ものであり、「単なることば探し」と見なされる傾向も強かった。コンピュータ自体の普及率の低さもあり、当時のアドベンチャーゲームは、概して高度にマニアックなゲームジャンルであった。 キーボードから単語をコマンドとして直接入力する「コマンド入力方式」を採用しているアドベンチャーの後期の作品の中には、「単なることば探し」になってしまうことを避けるためにファンクションキーによく使う単語を事前に用意しておき、プレイヤーの負担を緩和しているものが出てきた。そして、後述の「コマンド選択方式」へと発展することになる。 日本市場におけるグラフィックス付きアドベンチャーでは、後期の作品の一部にアニメーションの技法が取り入れられた。これには、画面上の登場人物が振り向いたり、ロボットが変形するなどのフルアニメーションに近いものから、登場人物の目が時々瞬きするといった限定的なものまで、様々な形態があった。
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