ガソリンエンジン用規格(S・サービスカテゴリ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/02 03:41 UTC 版)
「API規格」の記事における「ガソリンエンジン用規格(S・サービスカテゴリ)」の解説
オイルの酸化安定性、デポジット防止性、サビ・腐食・磨耗防止性、洗浄性、蒸発性、せん断安定性など多くの審査項目からSA~SNまで12種類のグレードに分類される(SIとSKは他の用語との関係等から除外されている)。現在APIにおける有効(Current)な規格はSJ,SL,SM,SNでSH以前は廃止(obsolete)となっている。 SカテゴリのSはService(またはService station)もしくはspark ignition engineの頭文字から(API公式データではServiceとなっている)。使用するオイルと自動車の製造年代のマッチングについても言及しているため、SA~SGなど1980年代以前の古い自動車を対象としたグレードのオイルが市販されていることは少ない。近年設定されたSLグレードから、エンジンへの影響評価ばかりではなく、二酸化炭素や炭化水素、窒素酸化物の排出削減、オイル交換時期の延長など環境評価としての側面を打ち出したことが特徴。2000年前後に、表示されたグレードに達しない基準のエンジンオイルがアメリカ国内で市販され、規格の信頼性が問題となったが、新グレードの設定などの措置を行い対処したとしている。国産車ではエンジンオイルの指定にAPI規格を用いるため日本国内では欧州のACEA規格よりも認知度は高く、ホームセンターやカー用品店でユーザーがオイルを選ぶ基準の一つにもなっている。 現在は、新設(2010年10月より運用)のSN/RCというクラスができ、こちらが最上位の規格となっている。RCとはResource Conservingの略語で、API SN規格に加え、省燃費性、触媒への適合性(リン分の揮発性を規定)、高温デポジット抑制、エマルション保持性(E85燃料対応)が要求されており、API SN/RCは、ILSAC GF-5と同じ内容の規格とされている。なおSM規格まではRCではなくEC(ENERGY CONSERVING)が用いられていた。RCとECの基本的な内容はさほど変わらず、実質的にはRCはECから名称が変わっただけのものともいえる。しかしENERGY(エネルギー)からRESOURCE(資源)となった事から省エネルギーのみだけではなくもっと全体的な省資源までを考慮した規格であるという意味合いが強くなっている。 近年の規格と特徴規格発効特徴SL 2001年7月 ・省燃費性の向上(CO2の削減)・排出ガスの浄化(CO、HC、NOxの排出削減) ・オイル劣化防止性能の向上 SM 2004年11月 ・更なる省燃費性・触媒被毒の軽減 ・高温酸化安定性 SN 2010年10月 ・省燃費性能はSM規格対比0.5%以上の改善・デポジットの発生をSM規格対比14%以上改善 ・触媒に悪影響を与えるリンの蒸発を20%までに抑制 SN PLUS 2018年5月 ・LSPI対応(直噴エンジンで起きるスーパーノッキング防止) SP 2020年5月 ・LSPI対応・タイミングチェーンの摩耗低減性能向上
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