アッシニア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/12 18:16 UTC 版)
アッシニア(仏: Assignat, フランス語発音: [asiɲa] 発音例)とは、1789年12月19日から1796年3月10日までの間、フランス革命期のフランスおよびその姉妹共和国で使用された紙幣である。もともとは土地債券で、利子付きであり、担保も設けられた公債であったが、歳入と正貨の著しい不足から、不換紙幣として強制流通されることになった。しかし激しいインフレを引き起こして、経済と革命とを大混乱させ、最終的には廃止された。カナ表記は原語の発音に忠実なアシニャのほか、アシニア、アッシニャともされる。
注釈
- ^ 当時のフランスの習慣では、土地のみならずその土地で収穫される作物(税収)の額も担保となる
- ^ a b 「土地手形」や「土地証券」などとも訳す。単数形ではマンダ・テリトリアル。
- ^ バブーフ派のマレシャルが書いた「平等派の宣言」においてマンダ・テリトリオは悪徳や強欲から生まれたもとして特に激しく非難された
- ^ フランス王立銀行のこと。日本の定義では金庫に相当する民間が出資する特殊法人。もとはルイ15世時代の財務総監ジョン・ローが開設したジェネラール銀行で、その破産によって王立となった。その後、財務総監テュルゴーに引き継がれる。
- ^ 実際に国王夫妻は貴族にも呼びかけて貴金属の国庫への供出や愛国税の導入を行ったが、負債額は桁違いであり、完全に焼け石に水であった
- ^ ラス式法またはロー・システムという。株券を実勢価格とかけ離れて売買するバブル経済で、開発ブームを煽ったが、このミシシッピ・バブルの崩壊の負債は1791年まで完済しなかった
- ^ 当時は硬貨といえども時価のため、1790年は24リーヴル相当の金の正貨。30スーのプレミアムは6.25%の値上がりを意味した。
- ^ 重農主義経済学者で、後に家族はアメリカに亡命し、デュポン財閥の祖となった。アッシニア紙幣の暴落を事前に的確に予想していたが、彼とタレーランの警告は採用されなかった。
- ^ 1790年4月17日の法令によると、国家債務者は国家が国債の償還にアッシニアで支払うことを拒否できなかったが、それ以外の個人は受け取りを拒否できた
- ^ スイス人銀行家。ジロンド派で、2度財務大臣を経験。1790年のアッシニア発行に深く関与。
- ^ このような信用紙幣が全国に蔓延して63種類にも及んだ
- ^ a b 第1期公安委員会の委員も兼任した。第2期はカンボンと共に財政委員会の専属となった。テルミドール期に財務大臣。
- ^ 風刺画で、描かれているのはイギリス海岸であるが、フランス人とおぼしき商人が金貨で買い付けを行っている。フランスにとってはこのような貴金属貨幣の流出がインフレを促進し、他方、イギリスにとっては穀物密輸が国内の物価を押し上げた
- ^ 国民公会議員で、恐怖政治期から財政委員。総裁政府期は五百人会議員および元老会議員。シェイエスらの「89年クラブ」のメンバーで旧フイヤン派。
- ^ フランとリーヴルは1:1.0125、つまり1フランと1リーヴル3ドゥニエの比率で交換されることと決まっていたが、ほぼ同じということで、名称もそのまま混同されて用いられた
- ^ 1サンチームは、1フランの100分の1を意味するので、この時の減価は1,000分の7になった計算になる
- ^ この法案はこの日に可決されていたが、総裁政府の二院で承認されて成立したは1795年11月13日で、これが法案の名前となった
- ^ 1795年憲法では総裁政府には立法権がなかったので、唯一、議案提出権をもつ五百人会に、行政府としての覚書を通牒して立法を提案することしかできなかった。また与党というものもなかったので、総裁は思い通りの議会運営をすることが困難で、議事の停滞は経済状況を悪化させた要因の一つ
- ^ 支払命令書または支払請求書。各省が発行した手形で、未納の税収を担保とするもの。
- ^ つまり例えば200フランの税金を、正貨で半分の100フラン払ったとしたら、残り半分はアッシニア紙幣で10,000フラン払えという意味
出典
- ^ a b フュレ & オズーフ 1999, p.3
- ^ 猪木正道 & 豊田堯 1957, p.248
- ^ エリス 2008, pp.66-67
- ^ ソブール & 小場瀬卓三 1953, p.113
- ^ フュレ & オズーフ 1999, pp.10-11
- ^ マチエ, 市原 & ねづ 1989, 上 pp. 200-201
- ^ マチエ, 市原 & ねづ 1989, 中 pp. 188-190
- ^ 小林 1969, p.339
- ^ 小林 1969, p.469
- ^ 猪木正道 & 豊田堯 1957, p.235
- ^ 岡本 1992, pp.268-269
- ^ a b フュレ & オズーフ 1999, pp.14-15
- ^ フュレ & オズーフ 1999, pp.15-21
- 1 アッシニアとは
- 2 アッシニアの概要
- 3 評価
- 4 脚注
- アッシニアのページへのリンク