その他のシリーズ的作品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/20 15:05 UTC 版)
多くの作品に共通して登場する人物に、警察庁刑事局捜査第一課特別処理係長である徳田左近がいる。迷宮入りとなりそうな事件の捜査を請け負って、全国各地を飛び回る役どころで、ミステリ、サスペンスの中短編に登場することが多い。長編では『コロポックルの河』に登場。各作品のストーリーのつながりは無い。「ケイブンシャノベルス 刑事徳田左近シリーズ」と題した単行本として『濁流は逝く者の如し』『禁呪』『幻獣』、他に『原色の蛾』『幻の白い犬を見た』『妖魔』『憑神』『雲の城』『衄られた寒月』『蟹の目』、短編で「幽鬼犬」(『幽鬼犬』)など。祖父に習った九鬼神流の杖術の使い手で、動物の生態に詳しく、しばしば事件解決の思わぬヒントとなる。囲碁も趣味の一つ。 『われは幻に棲む』の退職刑事浜村千秋も、同じく九鬼神流杖術の使い手。『峠に棲む鬼』などの逢魔麻紀子、その娘紀魅は、平家落人部落に代々伝わった明鏡流杖術を使う。 海を舞台とする作品は多く、スキューバ・ダイビングを題材にした『安楽死』、瀬戸内海の海洋汚染を背景とする『屍海峡』、海流をトリックに使う『蒼き海の伝説』など初期の推理小説や、海上保安庁職員を主人公にする『遠い渚』シリーズ、荒くれ者達の乗り組む貨物船を舞台にした『無頼船』シリーズ、世界を巡る病院船『癌病船』、最新鋭原子力潜水艦をめぐる深海における戦い『赤い鯱』などがある。海への思いは『遠い渚』(カッパノベルズ版、1980年)の「著者のことば」では「わたしは海で生まれた。小さな島であった。まわりは海だらけであった。海しかなかった。磯で遊んだり、潜ったりして育った。文字どおり、海は母であった」と述べている。また『瀬戸内殺人海流』では登場人物の海上保安庁職員に「海は生命を育んで陸に渡した。それを暗冥二に引き取るのも海の仕事です。(略)潮汐が生命を左右するのです。(略)海をあばこうとしても、無理だと思いますがね。」と語らせており、郷原宏は「これは日本語で語られた最も美しい海の文学である」と述べている。
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