しまんと (列車)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/27 08:54 UTC 版)
しまんと | |
---|---|
![]() 2700系による「しまんと」 (2021年8月 中村駅) | |
概要 | |
国 |
![]() |
種類 | 特別急行列車 |
現況 | 運行中 |
地域 | 香川県・徳島県・高知県 |
前身 | 特急「南風」 |
運行開始 | 1988年4月10日 |
運営者 |
四国旅客鉄道(JR四国) 土佐くろしお鉄道 |
路線 | |
起点 | 高松駅 |
終点 | 高知駅・中村駅・宿毛駅 |
営業距離 |
159.3 km (99.0 mi)(高松駅 - 高知駅間) 274.4 km (170.5 mi)(高松駅 - 中村駅間) 298.0 km (185.2 mi)(高松駅 - 宿毛駅間) |
平均所要時間 |
約2時間15分(高松駅 - 高知駅間) 4時間00分(高松駅→中村駅間) 4時間22分(宿毛駅→高松駅間) |
運行間隔 | 2往復 |
列車番号 | 2000D+号数 |
使用路線 |
JR四国:予讃線・土讃線 土佐くろしお鉄道:中村線・宿毛線 |
車内サービス | |
クラス | 普通車 |
座席 |
普通車指定席:1号車半室 普通車自由席:1号車半室・2号車 |
技術 | |
車両 |
2700系気動車 (JR四国高松運転所・高知運転所、土佐くろしお鉄道中村車両基地) |
軌間 | 1,067 mm (3 ft 6 in) |
電化 |
直流1,500 V(高松駅 - 琴平駅間)[注 1] 非電化(琴平駅 - 宿毛駅間) |
最高速度 | 最高130 km/h (81 mph) |
しまんとは、四国旅客鉄道(JR四国)および土佐くろしお鉄道が、高松駅 - 高知駅・中村駅・宿毛駅間を予讃線・土讃線・中村線・宿毛線経由で運行している特急列車である。
概要
香川県高松市と高知県を結ぶ列車で、本四備讃線を経由せず、本州に乗り入れていない。瀬戸内海や太平洋、吉野川沿いの大歩危・小歩危を走る風光明媚な列車としても名高い。
1988年(昭和63年)4月10日に瀬戸大橋線が開通したことにより、高松駅 - 高知駅・中村駅間を結んでいた特急「南風」のうち、高松駅発着のまま残された列車が「しまんと」として運転開始した。1989年(平成元年)以降、急行列車の「土佐」「あしずり」を編入している。
列車名は高知県南西部を流れる四万十川が由来となっている。
運行概況
2025年(令和7年)3月15日現在、高松駅 - 高知駅間で1往復(下り3号・上り2号)、高松駅 - 中村駅間で下り1本(1号)、高松駅 - 宿毛駅間で上り1本(4号)の計2往復が運転されている[1]。所要時間は高松駅 - 高知駅間が最短2時間11分(上り)・高松発中村行きが4時間(下り)・宿毛発高松行きが4時間22分(上り)である[1]。
JR四国は、土讃線の特急列車を岡山駅発着の「南風」にシフトさせているため、2025年(令和7年)3月14日までは宇多津駅・多度津駅 - 高知駅間で「南風」と併結する列車が2往復設定されていた。併結時の原則として、編成の岡山・高松側に「しまんと」、高知側に「南風」が連結されていた。このため、高知方面行きでは「南風」が先に宇多津駅に入り、「しまんと」が駅手前で信号待ちを行っていた。
かつてはゴールデンウィーク・お盆休み・年末年始といった多客時に、「しまんと」編成も「南風」に変更して1列車全車両を岡山駅発着とし、代わりに高松駅 - 宇多津駅・多度津駅間で定期「しまんと」と同じダイヤで走る臨時「しまんと」と接続させる場合もあった(この場合は宇多津駅または多度津駅で乗り換えとなっていた)。
2016年(平成28年)3月26日のダイヤ改正以降は7号の運行の時間が遅くなり「南風」21号と併結するようになっため、大杉駅に全列車停車するようになった[2]。
2024年(令和6年)3月16日のダイヤ改正で、8号の発駅が高知駅から宿毛駅に変更され、「しまんと」は2年ぶりに宿毛線に乗り入れとなった[3][4][5]。
2025年(令和7年)3月15日のダイヤ改正で、2往復が減便および「南風」との併結列車が消滅し、全列車が全区間単独運転となった[6]。
停車駅
高松駅 - 坂出駅 - 丸亀駅 - 多度津駅 - 善通寺駅 - 琴平駅 - 阿波池田駅 - 大歩危駅 - 大杉駅 - 土佐山田駅 - 後免駅 - 高知駅 - 旭駅 - 朝倉駅 - 伊野駅 - 佐川駅 - 須崎駅 - 土佐久礼駅 - 窪川駅 - 土佐佐賀駅 -(土佐上川口駅)- 土佐入野駅 - 中村駅 ← 平田駅 ← 宿毛駅
- ( )は一部の列車が停車[1]
- 土佐上川口駅:下り1号が停車。
- 高知駅→中村駅間は1号のみ運転。
- 宿毛駅→高知駅間は4号のみ運転。
- 停車駅の詳細は以下の表を参照。
- 凡例
- ●:停車
- ─・←:通過(矢印は運転方向)
会社名 | JR四国 | 土佐くろしお鉄道 | |||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
路線名 | 予讃線 | 土讃線 | 中村線 | 宿毛線 | |||||||||||||||||||||||||
運行本数 | 号数 | 高松駅 | 坂出駅 | 丸亀駅 | 多度津駅 | 善通寺駅 | 琴平駅 | 阿波池田駅 | 大歩危駅 | 大杉駅 | 土佐山田駅 | 後免駅 | 高知駅 | 旭駅 | 朝倉駅 | 伊野駅 | 佐川駅 | 須崎駅 | 土佐久礼駅 | 窪川駅 | 土佐佐賀駅 | 土佐上川口駅 | 土佐入野駅 | 中村駅 | 平田駅 | 宿毛駅 | |||
下り1本 | 1号 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||||
下り1本 上り1本 |
3号 2号 |
● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||||||||||||
上り1本 | 4号 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ← | ● | ● | ● | ● | |||
停車本数 | 下り | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 | |||
上り | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 1 | 1 | 1 | 1 |
使用車両・編成
しまんと | ||||||
← 宿毛・中村・高知 高松 →
| ||||||
| ||||||
|
現在の使用車両
高松運転所・高知運転所および土佐くろしお鉄道中村車両基地に所属する2700系気動車が使用されている[7]。2019年(令和元年)9月3日より下り1号・上り10号に2700系が投入され(9月27日までは1号は水曜日から土曜日まで、10号は火曜日から金曜日まで2700系気動車で運転)、さらに2020年(令和2年)7月18日より下り7号・上り2号に、2021年(令和3年)3月13日から全ての列車で2700系が使用されるようになった[8][9][10]。
過去の使用車両
-
2000系試作編成(TSE)
(1989年) -
2000系
(2014年3月) -
N2000系先行試作車
(1996年) -
キハ185系
(1989年) -
キハ181系
(1989年)
多客期の臨時列車
2025年(令和7年)3月14日までは運休[注 2]となる多客期に高松駅 - 宇多津駅・多度津駅間で運転される臨時「しまんと」には2700系気動車以外が充当されることもあり、多くはキハ185系気動車[注 3]を使用していたが、1998年(平成10年)には8000系電車(S編成)も使用されたほか、2016年(平成28年)夏季には8600系電車[15][16]、2018年(平成30年)のゴールデンウィークには2600系気動車も使用された[17]。
沿革
- 1988年(昭和63年)4月10日:瀬戸大橋線開通により、従来高松駅 - 高知駅・中村駅間を結んでいた特急「南風」が岡山駅発着となり、高松駅発着列車をエル特急「しまんと」と改称。当初は3往復。
- 1989年(平成元年)
- 1990年(平成2年)11月21日:「土佐」1往復の格上げを含めて計2往復を増発され、6往復になる。
- 1991年(平成3年)11月21日:1往復増発して、7往復になる。
- 1993年(平成5年)3月18日:使用車両が2000系に統一。
- 1997年(平成9年)
- 1998年(平成10年)3月14日:多度津駅 - 高知駅間で「南風」と併結する列車が2往復設定される。
- 1999年(平成11年)3月13日:多度津駅 - 高知駅間で「南風」と併結していた2往復が「南風」単独になり、1往復減便されて6往復になる[20]。
- 2001年(平成13年)3月3日:多度津駅 - 高知駅間で「南風」と併結する列車が下り3本・上り2本設定される。上り1本減便となり、下り6本・上り5本になる。
- 2002年(平成14年)3月23日:「南風」との増解結駅を宇多津駅に変更する。
- 2003年(平成15年)10月1日:宇多津駅 - 高知駅間で「南風」と併結する列車が上り2本増え、下り3本・上り4本になる。下り1本減便となり、5往復になる。
- 2005年(平成17年)
- 3月2日:土佐くろしお鉄道宿毛駅衝突事故により宿毛駅 - 中村駅間が運休になる。
- 6月13日:東宿毛駅 - 中村駅間で運行を再開(東宿毛駅は臨時停車扱い)。
- 11月1日:宿毛駅 - 東宿毛駅間で運行を再開(東宿毛駅の臨時停車扱いを終了)。
- 2007年(平成19年)3月18日:下り1本が中村行きとなる。
- 2008年(平成20年)3月15日:喫煙ルームを除き全席禁煙になる[21]。
- 2011年(平成23年)3月12日:ダイヤ改正により次のように変更[22]。
- 高知駅5時発の2号を新設。
- 「南風」26号と併結する6号が廃止となり、「南風」併結列車が3往復になる。
- エル特急の呼称を廃止。
- 喫煙ルームが廃止される。
- 2012年(平成24年)3月17日:ダイヤ改正により次のように変更[23]。
- 6号の時刻を繰り下げる。これに伴い、併結する「南風」が20号から24号となる。
- 下り1号(高松発中村行き)と上り10号(宿毛発高松行き)をそれぞれ「あしずり」と系統分離。これに伴い、「しまんと」は全列車が高知駅発着となる。
- 2013年(平成25年)3月16日:9号と「南風」25号の併結作業を宇多津駅から多度津駅に変更[24]。
- 2014年(平成26年)3月15日:1号と「あしずり」3号が統合され、「しまんと」の中村駅乗り入れが復活[25]。
- 2016年(平成28年)3月26日:7号の運行時刻を約2時間繰り下げ、「南風」17号と併結となる。これに伴い、全列車が大杉駅に停車となる[2]。
- 2019年(平成31年・令和元年)
- 2020年(令和2年)
- 2021年(令和3年)3月13日:全列車が2700系に統一[8][9][10]。
- 2022年(令和4年)3月12日︰ダイヤ改正により次のように変更[31][32]。
- 下り9号と上り6号が廃止となり4往復となる。
- 旧:10号を高知始発に変更、発車時刻を繰り上げ8号となる。「しまんと」の宿毛駅乗り入れが消滅[注 4]。
- 2024年(令和6年)3月16日:8号と「あしずり」18号が統合され宿毛始発となり、2年ぶりに「しまんと」の宿毛駅乗り入れが復活[3][4][5]。
- 2025年(令和7年)3月15日:ダイヤ改正により2往復が減便、これにより「南風」との併結列車が消滅[6]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d 『JTB小さな時刻表』2025年春号、PP.136-137
- ^ a b 平成28年3月ダイヤ改正について - ウェイバックマシン(2015年12月22日アーカイブ分) - 四国旅客鉄道(2015年12月18日)
- ^ a b 2024年3月ダイヤ改正について (PDF) - 四国旅客鉄道(2023年12月15日)
- ^ a b 令和6年(2024年)3月ダイヤ改正について (PDF) - 土佐くろしお鉄道(2023年12月15日)
- ^ a b 2025年3月ダイヤ改正について (PDF) - 四国旅客鉄道(2024年12月13日)
- ^ a b 「列車の編成ご案内」-『JTB小さな時刻表』2025年春号、営業案内87頁
- ^ a b 2021年3月ダイヤ改正について - ウェイバックマシン(2020年12月18日アーカイブ分) - 四国旅客鉄道(2020年12月18日)
- ^ a b c 「“南風”・“しまんと”の2000系による運転終了」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2021年3月13日)
- ^ a b c 「JR四国2000系の本州乗り入れ運用を終了」-『鉄道ホビダス(鉄道投稿情報局)』、ネコ・パブリッシング(2021年3月15日)
- ^ 「「らんまん」ラッピング車が“しまんと”を代走し高松へ」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2023年5月13日)
- ^ 「土讃線特急「しまんと8号」に2000系が代走」-『鉄道ホビダス(鉄道投稿情報局)』、ネコ・パブリッシング(2024年9月16日)
- ^ 「キハ185系が“しまんと”を代走」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2017年3月31日)
- ^ 「【JR四】国鉄色キハ185系 〈しまんと〉を代走」-『鉄道ホビダス(鉄道投稿情報局)』、ネコ・パブリッシング(2017年4月4日)
- ^ 「8600系による特急"しまんと"運転」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2015年8月15日)
- ^ 「【JR四】予讃線・繁忙期の話題」-『鉄道ホビダス(鉄道投稿情報局)』、ネコ・パブリッシング(2016年8月19日)
- ^ 「2600系が“しまんと”を代走」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2018年4月29日)
- ^ 「JR年表」-『JR気動車客車編成表'98年版』、P.187、ジェー・アール・アール(1998年7月、ISBN 978-4-882-83119-8)
- ^ 「JR6社が秋のダイヤ改正」-『交通新聞』、P.1、交通新聞社(1997年7月29日)
- ^ 「1999.3.13ダイヤ改正の概要」-『鉄道ジャーナル』1999年4月号(No.390)、PP.78-79、成美堂出版
- ^ 平成20年3月ダイヤ改正について - ウェイバックマシン(2007年12月23日アーカイブ分) - 四国旅客鉄道(2007年12月20日)
- ^ 平成23年3月ダイヤ改正について - ウェイバックマシン(2010年12月20日アーカイブ分) - 四国旅客鉄道(2010年12月17日)
- ^ 平成24年3月ダイヤ改正について - ウェイバックマシン(2011年12月17日アーカイブ分) - 四国旅客鉄道(2011年12月16日)
- ^ 平成25年3月ダイヤ改正について - ウェイバックマシン(2012年12月24日アーカイブ分) - 四国旅客鉄道(2012年12月21日)
- ^ 平成26年3月ダイヤ改正について - ウェイバックマシン(2013年12月25日アーカイブ分) - 四国旅客鉄道(2013年12月20日)
- ^ 平成31年3月ダイヤ改正について - ウェイバックマシン(2018年12月16日アーカイブ分) - 四国旅客鉄道(2018年12月14日)
- ^ 新型特急気動車「2700系」の営業運転について - ウェイバックマシン(2019年9月14日アーカイブ分) - 四国旅客鉄道(2019年7月29日)
- ^ 特急・快速・普通列車の運休(5月16日~6月12日) - 四国旅客鉄道(2020年5月26日閲覧)[リンク切れ]
- ^ お乗り換えとなる列車、運転区間が変更となる列車(5月16日~6月12日) - 四国旅客鉄道(2020年5月26日閲覧)[リンク切れ]
- ^ 『JR時刻表』2020年7月号、交通新聞社[要ページ番号]
- ^ 2022年3月ダイヤ改正について (PDF) - 四国旅客鉄道(2021年12月17日)
- ^ 「特急「しまんと」上下各1本減便、宿毛発高松行は運転区間短縮など」-『マイナビニュース』、マイナビ(2022年1月2日)
参考文献
- 寺本光照『国鉄・JR列車名大事典』、中央書院(2001年7月24日、ISBN 978-4-88732-093-2)
- 『JTB小さな時刻表』2025年春号 - ウェイバックマシン(2025年2月26日アーカイブ分)、JTBパブリッシング(2025年2月25日)
関連項目
外部リンク
- 車両情報<2700系特急気動車> - 四国旅客鉄道
- 土佐くろしお鉄道 特急列車 - 土佐くろしお鉄道
「しまんと (列車)」の例文・使い方・用例・文例
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