減圧蒸留
【英】: vacuum distillation
常圧蒸留の塔底油として得られる常圧残油中には潤滑油原料、接触分解原料などの有用な高沸点留分が含まれている。この高沸点留分を得るためには、常圧下では常圧蒸留装置の操作温度域よりさらに高い温度を必要とするが、この温度域では残油の熱分解が起こり、実用的でない。そこで熱分解の起こらない温度域で高沸点留分を蒸留分別するために蒸留塔内の圧力を減圧して蒸留する操作を減圧蒸留という。この減圧蒸留操作を行う装置が減圧蒸留装置であり、通称、バキューム(vacuum)あるいはバキューム・ユニット(vacuum unit)と呼ぶ。この装置は、蒸留塔内の圧力が水銀柱で 10 ~ 60mm と真空状態であることを除けば、基本的には常圧蒸留装置と異なるところは少ない。減圧蒸留装置には蒸留塔の精留度の違いにより、粗精留を行う減圧ブラッシングまたはバキューム・フラッシャー(vacuum flasher)と精留度の高い潤滑油留分を取り出すための減圧精留がある。間接脱硫や接触分解などの原料は粗精留した留出油(通常、減圧軽油または真空軽油と呼ぶ)でよいので、通常、バキューム・フラッシャーの留出油として採取する。一方、潤滑油原料を採取する場合は、各潤滑油製品の粘度規格に適合する側線油(サイド・ストリーム)を得るための精留が必要であり、通常、減圧精留塔を使用する。減圧精留塔の側部からは、軽質、中質、重質の各留分が得られ、それぞれの留分が必要な精製工程を経たあと、潤滑油の基材となる。減圧蒸留塔の塔底油は C 重油の混合基材またはアスファルトの原料となる。なお、減圧蒸留装置も常圧蒸留装置と同様に、石油業法では特定設備として指定されている。 |

減圧蒸留(げんあつじょうりゅう)
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