『交唱』
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ブランクヴァースによる超現実主義的な韻文戯曲であり悲劇の『交唱』(1958年出版)は1939年のイングランドが舞台である。ジェレミー・ホッブスはジャック・ブロウの変装をして、その家族を朽ち果てた先祖伝来の家バーリー・ホールに呼び集める。その動機は一度も明確に述べられていないが、家族間の対立を喚起し、華族に自分たちの過去にかんする真実に直面させたいと望んでいるように見える。その姉ミランダは舞台女優であり、今や「パトロンも金も無い。」その実利主義の兄弟エリシャとダドリーはミランダを、自分たちの財政的に恵まれた状態に対する脅威と見ている。エリシャとダドリーは、彼らを虐待する父タイタス・ホッブズとの共謀について母オーガスタを非難する。彼らはジェレミーの留守を利用して、動物の仮面をかぶり、残酷で性的に挑発的な発言をしながら、2人の女性を襲う。オーガスタはこの暴行をゲームとして取り扱う。ジェレミーは子供達が育ったアメリカにある家のミニチュアである人形の家を持って帰宅する。彼女がそれを調べていると、彼は、「[彼女の]3倍の年齢の、旅するロンドン子」によるミランダの強姦をタイタスがひそかに計画するのをオーガスタが妨げられなかったために、オーガスタ自身を「服従によって『マダム』」になったと非難する。最後の幕では、ミランダとオーガスタだけが登場する。オーガスタはミランダのより自由な生活を認めないと同時にまたうらやんでもおり、娘と服を取り替えて再び若返ったような振りをしたいと望むが、ミランダがその遊びに入ることを拒む。オーガスタは、エリシャとダドリーが車で走り去る音を聞くと、彼らが2人を棄てたことでミランダを責め、彼女の頭部を消灯の鐘で殴り続けて殺し、オーガスタも力を使い果してミランダの側に倒れて死ぬ。 この劇は1962年にストックホルムで初演されたが、そのスウェーデン語への翻訳はカール・ラグナー・ギーロウと国連の事務総長ダグ・ハマーショルド(初演の時は故人)が行った。
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