「津雲石器時代人はアイヌ人なりや」論説発表とは? わかりやすく解説

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「津雲石器時代人はアイヌ人なりや」論説発表

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/29 20:39 UTC 版)

清野謙次」の記事における「「津雲石器時代人はアイヌ人なりや」論説発表」の解説

1926年当時日本旧石器時代人の論争小金井良精アイヌ説にまとまりつつあった。彼は1919年から翌年にかけて、岡山県遺跡縄文人46体を発掘したのを皮切りにきわめて精密な計画のもとに異常な速さ日本各地古人骨入手していく。そして、1926年「津石器時代人アイヌ人なりや」という論説発表する。その論説は、彼が収集した日本各地古人骨使って人骨各部位長さ比率などを測定したもので、「現在の日本人アイヌ人は、津人と比較するとずっと似ている」と主張した。 彼は「感情入れ余地なくする為に研究の結果を正確科学趣旨基づいて数学的に取り扱うのが宜しい」といい、津人、アイヌ人および現代日本人相互の三角関係求める。すなわち、三者人骨計測しモリソン・マルチン氏変差図を作成すると「津人は幾分アイヌ人類似している。そしてアイヌ畿内人間の距離は殆どアイヌ人・津人間の距離と等しい」「元来アイヌ人といい、日本人というのは、今日体質人民対する名称である。日本石器時代人民がこの両者血を分けたけれども、日本石器時代人民と同体質のものは既に地上存在せぬ」と主張したつづいて翌月発表論文ではハインリッヒミュンター論文読み、ポニアトウスキー氏型差公式によるのがもっとも正確であると判断して三角関係図を作成し、やはり「日本人アイヌ人は、アイヌ人と津人よりもずっと似ている。津人は現代両人種よりもずっと異なっている」ことを確認する。その理由として「現代アイヌ人現代日本人も元々日本原人なるものがあり、それが進化して南北における隣接人種との混血によって成ったものだ」としている。 当時日本旧石器時代人の論争有力だった小金井アイヌ説を真っ向から否定した清野説は多く学者歓迎された。これは時局的に微妙な日本人論争を避けることができるためとも言われる実際清野論文の後は、学者らは原日本人のことを論文に「書かなくなった」。以降清野説はDNA分析主流になるまで原日本人論争の主流となったアイヌ説の小金井良精は「北方において、いかなる種族混血して、現今のごときアイヌができたのか、全く不明」であるとの批判をもっていたが、それを公にするともなく自説守り通した東京大学人類学教室大島須田)昭義は清野研究は「文化をもって石器時代人種を論じ来た者への頂門の一針」であると受け取った東大人類学教室中谷治宇二郎は「自分先史考古学研究企てている者の一人であるから人種論分からないまた、急いで分かる必要もないと思っている」という。これまでの先住民論争は「常に考古学的歴史的民族的な立場」に基づいて行われていた。旧来の方法捨てて「説は一々科学的考察元に到達されたもので、少しの予断許さない以上、当然の帰結である。清野博士獲得されたものは学説ではなく事実である」とまで極言した明治・大正期人種論にとりくんでいた形質人類学者は小金井一人であるといって過言ではなかったし、既に70歳に近い高齢小金井から次の世代への交代時期来ていた。したがって、ほぼ同時期に活動始めた清野謙次長谷部言人がともにアイヌ説を継承しなかったことは、決定的な意味を持っていた。

※この「「津雲石器時代人はアイヌ人なりや」論説発表」の解説は、「清野謙次」の解説の一部です。
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