「デジタル庁」設立
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 08:40 UTC 版)
菅は、行政のDX(デジタル変革)を推進するための新しい行政機関として、「デジタル庁(英:Japan Digital Agency)」を設立する構想を掲げた。菅は首相就任前の自民党総裁選で、デジタル庁設置を自身の目玉政策として掲げていた。2020年9月16日の首相就任後の記者会見では、「複数の省庁に分かれる関連政策を取りまとめて強力に進める体制として、デジタル庁を新設する」と明言した。 そのため行政のDXを推進する担当大臣として「デジタル改革担当大臣」のポストを新設し、IT政策に精通した衆議院議員の平井卓也を充てた。「デジタル改革関係閣僚会議」も新設し、菅はこの場でデジタル庁創設に向けた基本方針をまとめるよう指示した。2021年1月招集の通常国会で関連法案を提出する意向だ。併せて、2001年に施行されたIT基本法(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法)の抜本的改正も目指すとしている。実務を主導する平井は2020年9月30日に、デジタル庁設置に向けた「デジタル改革関連法案準備室」を内閣官房内に置き、自ら室長に就任した。約50人のスタッフは経済産業省や総務省などから集めた。 デジタル庁構想より前から、行政のDXに関する動きがあった。2019年5月、国の行政手続きを原則電子化すると定めた「デジタルファースト法」が成立している。同法に基づき、同年12月に「デジタル・ガバメント実行計画」を閣議決定し、2024年度中に国の行政手続きの9割を電子化するための工程表を示した。 デジタルファースト法の付則ではIT調達予算を内閣官房に一元化することを検討事項としている。さらにデジタル・ガバメント実行計画では、内閣情報通信政策監(政府CIO)が全省庁のプロジェクトを一元的に管理すると規定している。予算権限をデジタル庁が握れば、システムの標準化などを通じて全体最適やコスト削減を実現できる可能性が広がる。必要な人材を各省庁や民間から登用できる人事権を持つことで、DXプロジェクトを強力に推進するための体制も構築しやすい。 菅政権が2021年9月の発足を目指すデジタル庁の業務概要が明らかになった。情報システム関係の予算を一括計上し、システムの統合を進め、運用経費などを令和7年(2025年)までに3割削減するとしている。作業部会がまとめたデジタル庁の業務概要によると、デジタル社会の形成に関する司令塔として、勧告権など強力な総合調整機能を持つ組織とし、国や地方自治体などの情報システムを統括するとしている。そして、国の情報システムに関係する予算をデジタル庁に一括計上し、各府省に配分する仕組みを段階的に整えるとともに、システムの統合を図ることで、運用経費などを令和7年(2025年)までに3割削減するとしている。 また、マイナンバー制度全般について、企画、立案を一元的に担う体制を構築するほか、サイバーセキュリティの専門チームを設置し、国の行政機関などに対するセキュリティ監査を行うことなども盛り込んだ。政府は、こうした内容を、年内に策定するデジタル庁の新設に向けた基本方針に盛り込む方針を示した。 2021年9月1日、デジタル庁が発足した。デジタル大臣には平井卓也を横滑りで任命し、事務方トップのデジタル監には一橋大学名誉教授の石倉洋子を充てた。
※この「「デジタル庁」設立」の解説は、「菅義偉内閣」の解説の一部です。
「「デジタル庁」設立」を含む「菅義偉内閣」の記事については、「菅義偉内閣」の概要を参照ください。
- 「デジタル庁」設立のページへのリンク