《紫》の正しい読み方
「紫」の正しい読み方
「紫」の音読みは「シ」、訓読みは「むらさき」だ。また、「ゆかり」や「紫陽花(あじさい)」と読むこともある。「紫」の意味解説
日本や朝鮮半島、中国の東部などに分布している、ムラサキ科ムラサキ属の多年草。半日陰の涼しい山地や草原などに生える。高さは50センチメートルほどで、夏に白く小さな花が咲く。むらさき草の根を「紫根(シコン)」といい、漢方では解熱や解毒の生薬として皮膚病などの治療に利用されている。紫根と当帰を用いた軟膏は、火傷や凍傷などに効果がある。また、紫根は染料としての価値も高い。紫根が持つ色素を「シコニン」、紫根を用いて染めた色を「紫」と言う。「紫」は「紫色」の略称。赤と青とが混ざった間色である。「紫」は古くから高貴で特別な色だとされてきた。聖徳太子が定めた冠位十二階では、「紫」は最高位となっている。また、西洋では「born in the purple(王家に生まれた、身分の高い人)」という言い回しもある。なぜ「紫」と読むのか・理由
むらさき草は群生する植物である。よって、「群がって咲く」という意味で「むらさき(群咲き)」と呼ぶようになった。清少納言の「枕草子」の冒頭に、「紫だちたる雲の細くたなびきたる」とある。「紫だちたる」の意味は「紫がかっている」だ。しかし、あわせて「群がって咲くむらさきの花のような」という意味も持つとされている。「紫」は、「糸」と「此(シ)」を組み合わせた漢字だ。中国では、かつて「茈(シ)」という草を紫色の染料として利用していた。「此」は「両足がそろわない、ちぐはぐに並ぶ」という意味を持つ。よって、「赤と青を混ぜた、ちぐはぐな中間色」という意味で「紫(シ)」となった。「紫」の類語・用例・例文
色の「紫」の類語として、「菫色」や「藤色」が挙げられる。「菫色」が「紫色」を指していることもあるが、全く同じ色であるというわけではない。「菫色」は植物のスミレからつけられた、スミレの花のような色。赤と青の間色である「紫色」に対して、「菫色」は青に近い紫だという違いがある。「藤色」は、藤の花からつけられた色名だ。淡く青みがかった紫色である。また、赤みをおびた紫色を「赤紫」、青みをおびた紫色を「青紫」と言う。「紫」は「濃い紫色の葡萄ジュース」や「江戸紫の着物」のように、ものの色を表現する際に用いられることが多い。具体例として「濃い紫色のぶどうジュースを飲んだ。」や「江戸紫の着物を選んだ。」、「青い紫陽花の花が美しかった。」などが挙げられる。「紫」の英語用例・例文
「紫」は英語で「purple」と言う。紫色の染料として用いられていた「purpura(プルプラ)」という巻貝が由来である。英語の「purple」は、一般的には赤みがかった紫色を指す。「紫色」に比べて赤に寄った色であり、日本の「京紫」に近い。日本で「紫色」が「菫色」や「藤色」などと使い分けられているように、英語でも紫の濃淡によって「violet(すみれいろ)」や「wisteria(ふじいろ)」といったさまざまな表現がある。「purple」を用いた例文として、「My favorite color is purple.(私の一番好きな色は紫だ。)」などが挙げられる。- 《紫》の正しい読み方のページへのリンク