《助かります》の敬語
「助かります」の敬語表現
相手からの援助や力添えに対して使う「助かります」は、日常でも頻繁に登場する丁寧な言い回しです。しかし、「助かります」には、自分が主体であるというニュアンスや、相手を労う意味合いが含まれていることから、上から目線の言葉として捉えられてしまうことがあります。そのため、目上の人に対して「助かります」と言いたい場合には、しっかりと敬意が伝わる別の敬語表現に置き換えることが必要です。そもそも「助かります」には、「〜してくれて助かります」のように感謝を伝える目的で使う場合と、「〜してくれると助かります」のように依頼をする目的で使う場合の2パターンがあります。感謝を伝える「助かります」の敬語表現としては、「ありがとうございます」「感謝いたします」「御礼申しあげます」などがあり、いずれも目上の相手を敬う気持ちと御礼の気持ちが丁寧に伝わる表現です。
一方、依頼をする「助かります」の敬語表現には、「幸いです」という言い回しがあります。威圧感のないやわらかいフレーズになり、目上の相手に行為を強要するような悪い印象がなくなります。「幸いでございます」「幸いに存じます」などの改まった言い回しでも用いられ、立場をわきまえた謙虚な姿勢を示すことができるでしょう。
「助かります」の敬語の最上級の表現
感謝を伝える「助かります」の最上級の表現には、「痛み入ります」「恐れ入ります」といったかしこまった言葉もあります。どちらも、相手の厚意や親切が自分にはもったいないという謙遜の気持ちが込められていて、感謝を伝える「助かります」の最上級の敬語にあたります。「誠に痛み入ります」「たいへん恐れ入ります」など、フォーマルな場面にも相応しい堅い言い回しもでき、身分の高い人に対しても安心して使える敬語表現です。また、依頼をする「助かります」の最上級の表現では、「幸いです」をさらに改まった言い方にした「幸甚に存じます」という特別なフレーズがあります。「幸甚」には「この上ない幸せ」「大変ありがたい」という意味があり、お願いをする目上の相手に最大級の敬意を払える言葉です。ただし、日常生活ではあまり耳にしない表現なので、会話の中ではなく、ビジネスメールや手紙などの書き言葉として用いるとよいでしょう。
「助かります」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「お忙しい中、ご協力いただきまして、誠にありがとうございます」「プロジェクトの成功にあたり、ご助力に深く感謝いたします」
「展示会の開催にお力添えをいただき、厚く御礼申しあげます」
「長きにわたる弊社へのご高配、痛み入ります」
「多大なご支援をいただき、たいへん恐れ入ります」
「ご多忙のところ申し訳ございませんが、本日中にご回答いただけましたら幸いです」
「事前にご連絡をいただけますと、幸いでございます」
「ご都合のよい日程を、いくつか教えていただければ幸いに存じます」
「今回の企画にご賛同いただけましたこと、幸甚に存じます」
「助かります」を上司に伝える際の敬語表現
上司に「助かります」と言いたい場合には、「ありがとうございます」や「〜していただけませんか」を用いるのが妥当です。特に依頼の目的で「助かります」を言い換えるケースでは、「お手数をおかけしますが」「お忙しいところ申し訳ありませんが」とクッション言葉を添えることによって、相手を尊重するやわらかい言い回しとなり、上司を気遣う気持ちも伝わるでしょう。一方で、普段からやりとりの多い直属の上司などに、「御礼申しあげます」「幸いでございます」といった堅い表現を用いると、かえって不自然になることもあります。上司の人柄や距離感を考えて、「助かります」を適切な表現に言い換えることにより、良好な関係を築ける円滑なコミュニケーションを心掛けましょう。
「助かります」の敬語での誤用表現・注意事項
感謝の目的で「助かります」を言い換える場面で、目上の人に「ありがたいです」と伝えるのは不適切です。意味合いや文法に間違いはありませんが、「〜です」という言い回しは、ややカジュアルで稚拙な印象を与えてしまうことがあるため、目上の人に使うのは失礼だと考えられています。また、「ご苦労様です」という表現も、目上の人に対して用いるのはタブーです。「助かります」と同様に、相手を労う意味合いが強いため、ビジネスシーンでは同じ立場や目下に対して使うのが無難だとされています。感謝の気持ちを込めて発したつもりの自分の言葉で、目上の相手を不愉快にさせてしまうことがないよう、言葉選びには十分に注意しましょう。
「助かります」の敬語での言い換え表現
ありがとうございます誠にありがとうございます
感謝いたします
深く感謝いたします
感謝しております
たいへん感謝しております
感謝申しあげます
心より感謝申しあげます
御礼申しあげます
厚く御礼申しあげます
心より御礼申しあげます
痛み入ります
恐れ入ります
たいへん恐れ入ります
誠に恐れ入ります
恐縮です
たいへん恐縮です
かたじけなく存じます
幸いです
幸いでございます
幸いに存じます
幸甚です
幸甚でございます
幸甚に存じます
幸甚の至りです
幸甚の至りでございます
《助かります》の敬語
「助かります」の敬語表現
そもそも、「助かります」の時点で敬語の形にはなっています。ただ、強い敬意を表しているわけではないので、ビジネスシーンや公の場では別の言い回しを使った方が無難でしょう。「助かります」のより丁寧な敬語表現としては「たいへん助かります」「まことに助かります」などが挙げられます。そのほか、意味としては「ありがとうございます」「感謝いたします」でもほとんど変わりません。そのほか、「助かります」には「~をしてもらえると嬉しい」という意味もあります。こちらの場面での、強い敬語表現としては「お願い申し上げます」「~していただけると喜ばしく存じます」などが挙げられます。あるいは、「心よりお願い申し上げます」とすると、失礼になりにくいでしょう。「幸いでございます」「ありがたく思います」といった表現も、「助かります」の強い敬語表現として活用されています。「助かります」の敬語での誤用表現・注意事項
ビジネスシーンで「助かります」が相応しくない理由として、「取引先に失礼な表現だから」という点があります。たとえば、取引先に「この度はたいへん助かりました」とメールを送ったとします。しかし、仕事とは本来、自分が労力を払って行うものです。「取引先に、自分の労力を代わってもらった」という意味になりかねないので、ビジネスシーンで「助かります」は避けられてきました。さらに、上司や先輩に対して「助かります」と言うのも誤用なので要注意です。なぜなら、「助かります」は労いの言葉だと解釈することも可能だからです。本来、労いとは目上の人間が、部下や後輩にかけるものです。下の人間が上を労うのは失礼な行為にあたります。目上の人間には、「ありがとうございます」と使うようにしましょう。「助かります」の敬語での言い換え表現
以下、感謝を伝える文脈での「助かります」の言い換え表現です。・助けていただいてありがとうございます・ありがとうございます・大変助かります・とても助かります・まことに助かります・非常に助かります・お礼申し上げます・心よりお礼申し上げます・厚くお礼申し上げます・感謝を申し上げます次に、「~をしてほしい」「~してくれたら嬉しい」という文脈での「助かります」の言い換え表現です。・~していただけたら喜ばしく思います(存じます)・~していただけたら幸いです・~していただけたらありがたいです・~していただけたら嬉しく思います・~していただけないでしょうか・~していただけますようお願い申し上げます・~勝手ながら~していただければ幸甚に存じます- 《助かります》の敬語のページへのリンク