"Control of Radio Communication"下の無線電信法
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「無線電信法」の記事における「"Control of Radio Communication"下の無線電信法」の解説
1945年(昭和20年)9月2日、東京湾上のミズーリ号で日本帝国政府は連合国軍の最高司令官SCAP(Supreme Commander for the Allied Powers)の指示に従うとの降伏文書に調印した。同日の対日指令SCAPIN 第1号の第6項(ロ)で全ての無線局を現状固定で保持することが、また9月3日付け対日指令SCAPIN 第2号第2部の第15項(ロ)では無線局の現状固定と現在人員で運用を継続するよう指示され、日本帝国政府(逓信院)はこれに従った。同年10月2日に連合国軍最高司令官総司令部GHQ/SCAPが東京日比谷に置かれ、その下部組織である民間通信局CCS(Civil Communications Section)が日本人の無線を、また米軍の第八軍司令部HEA(Headquarters Eighth Army)が進駐軍関係の無線局の許認可権を握ることになり、翌月に正式発令された。 1945年11月20日、対日指令SCAPIN 第321号 "Control of Radio Communication" により、民間通信局CCSが日本人無線局の新設・変更に関するすべての権限を持つとされた。ただし表向きには逓信院に窓口業務を行わせる、間接統治の形だっため、申請者からは直接的には民間通信局CCSの存在が見えないのである。 これ以降 "Control of Radio Communication" が無線電信法を超越するものとなった。民間通信局CCSは現状固定されている日本人の全無線局(含む放送局)リストを逓信院に提出させて、戦後の新しい日本人無線局(含む放送局)の周波数分配の策定作業に入った。また1946年(昭和21年)7月1日には逓信院が廃止となり、逓信省が復活設置され、民間通信局CCSの窓口役は逓信省が担うことになった。 1946年(昭和21年)8月29日の対日指令SCAPIN 第1166号 "Control of Radio Communication" により日本人の無線局・放送局の周波数を再編したうえで、全局をSCAP(マッカーサー最高司令官)によって一斉再免許した。SCAPIN 第1166号にはSCAP承認番号を割り付けた日本人無線局の周波数原簿が添付されたが、これは「マスターリスト」と呼ばれる。1946年9月1日をもって日本のすべての無線局・放送局が、逓信大臣による免許から、SCAP(マッカーサー最高司令官)により承認を受けたものに切替わった。以後、無線電信法は形骸化したものとなり、民間通信局CCSが日本人の無線局に対する電波行政を完全に取り仕切った。 一方、連合国軍関係の無線局は米軍の第八軍司令部HEAによる直接統治となり、中国・四国地方への進駐を担当したイギリス連邦占領軍BCOF(イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、インド)の軍用無線局やラジオ放送局に対してもこの米軍の第八軍司令部HEAが周波数や出力などを監理した。これら連合国軍に所属する軍人、および進駐軍放送やGHQ/SCAPで働く(連合国籍の)民間技術者や専門家で、母国においてアマチュア資格を有する者は、第八軍司令部HEAに申請し、アマチュア局の許可を得ることができた。なおこれら連合国に関連する無線局にはGHQ/SCAPの民間通信局CCSの権限は一切及ばない。 1949年(昭和24年)10月31日、対日指令SCAPIN 第1744号/改訂19 "Control of Radio Communication" で下表12の周波数帯の電波行政権が日本国に返還され、これらの周波数内においては再び無線電信法により運用された。しかし中波ラジオ放送の周波数は含まれておらず、放送局の新設や周波数変更はこれまで通り民間通信局CCSの承認により実施されたのである。また国際的にアマチュア業務に分配された周波数帯も含まれておらず、日本人によるアマチュア無線の再開には民間通信局CCSの承認を必要とした。 対日指令SCAPIN第1744号/改訂19(Oct.31, 1949)日本国に電波行政権が返還された周波数54-68MHz 100-108MHz 148-157MHz 188-200MHz 400-420MHz 460-470MHz 470-585MHz 610-960MHz 1350-1600MHz 1850-2300MHz 2450-2700MHz 3900-4200MHz
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