科学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/30 04:23 UTC 版)
- (最狭義)自然科学・理学。
- (狭義)実験や観測に、または科学的・自然科学的方法に基づく定量的研究。およびその成果。
- (広義)自然科学、社会科学、人文科学などの総称。基礎科学・応用科学・工学・医学・形式科学などを含み得る。
- (最広義)学術・学問全般。体系化された実験・観測・知識・経験などの総称。哲学を含み得る。
歴史
種類・下位分類
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形式科学 | 自然科学(応用科学含む) | 社会科学 | 人文学・人文科学 | ||
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物理科学 | 生命科学 | ||||
基礎 | |||||
応用 |
知識の総称としての科学
「科学」(science)という語はラテン語の scientia (知識)に由来し[8]、「知識」全般を指すこの言葉は早くはフランス語に取り入れられ、17世紀初期には英語としても定着した[9]。古代では科学と哲学に区別はなく、これが分化したのは近世(特にF・ベーコン以降)だった[10]。
近代自然科学の成立以前は、自然についての理論的・哲学的学説は、自然哲学(philosophy of nature)か自然学(physica)と言った[11]。自然科学は「実験と数学による解析」という方法によって成立しているのに対し、古代~中世の自然哲学にはこの方法が欠けており「いくら自然を眺めていても、そこから自然科学が生まれることはなかった」と言う[12]。
人類は太古の昔から、自分たちをとりまく自然界の現象や自身の人体の構造について関心を抱き続けてきた。歴史上、古代オリエント、古代インド、古代中国をはじめとするさまざまな文明圏において、これらの関心対象を説明するための知識や経験が蓄積され、学問として体系化されていった[13][14][15]。古代に形成された学問の諸体系のなかでも後世に大きな影響力を残したのが古代ギリシア・古代ローマの自然哲学である。中世においてはイスラム科学が最も先進的な地位を占めていた。後進ぎみだったヨーロッパは、イスラム諸国から科学や技術を輸入し、長い年月をかけて追いついた歴史がある[16]。
20世紀の歴史学者ハーバート・バターフィールドは、17世紀のヨーロッパにおいて、自然現象を単に眺めて考察するという状態から一歩進んで、自然法則が作用する環境をさまざまな撹乱要因を取り除いて人為的に作り出す試み、すなわち実験(冒険)という手法を採用して、実証的に知識体系を進歩させていくという知的営為が形成されたとする。バターフィールドはこれを「科学革命」と名付け、人類史上における一大画期であるとして高い評価を与えた[17]。
注釈
- ^ ポパー流の視点に基づけば、「光の速度は不変である」という仮説をおくことは、観察によって反証することが可能なので、科学たりうる。一方、ジークムント・フロイトの精神分析学やカール・マルクスのマルクス経済学は、観察によって反証するすべを持たないので、科学とは呼べないことになる。
出典
- ^ a b c “『世界大百科事典 第2版』「かがく【科学 science】」”. Kotobank. 2022年6月5日閲覧。 “「かがく【科学 science】」 科学とは今日通常は自然科学を指す。人文科学,社会科学という呼び方もある。”
- ^ a b “『英辞郎』「science」”. 英辞郎 on the WEB. 2022年6月5日閲覧。 “「science」 1.〔自然現象を研究する〕自然科学 2. 〔特定の学問分野の〕科学”
- ^ a b “『英辞郎』「自然科学」”. 英辞郎 on the WEB. 2021年7月4日閲覧。 “「自然科学」 ‘natural science’ ‘science’”
- ^ “『Cambridge Dictionary』「Naturwissenschaft」”. Cambridge University Press. 2022年6月5日閲覧。 “ナトゥーアヴィッセンシャフト … 科学、自然科学(Naturwissenschaft ... science, natural sciences)”
- ^ a b c d e 『デジタル大辞泉』「科学」
- ^ 『世界大百科事典 第2版』「かがく【科学 science】」
- ^ 『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』「科学」
- ^ Harper, Douglas. "science". Online Etymology Dictionary. 2019年6月26日閲覧。
- ^ 世界大百科事典内のscientiaの言及
- ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「科学」の解説
- ^ a b 日本大百科全書(ニッポニカ)「自然哲学」の解説
- ^ 日本大百科全書(ニッポニカ)「科学」の解説 - 古代・中世の自然学
- ^ アンドレ・ピショ『科学の誕生〈上〉古代オリエント 』、せりか書房、1995年、ISBN 4796701923
- ^ アンドレ・ピショ『科学の誕生〈下〉ソクラテス以前のギリシア 』、せりか書房、1995年、ISBN 479670194X
- ^ 平田寛『図説 科学・技術の歴史―ピラミッドから進化論まで 前約3400年‐1900年頃』、朝倉書店、ISBN 4254102038
- ^ 都築洋次郎『世界科学・技術史年表』、原書房、ISBN 4562021918
- ^ ハーバート・バターフィールド著、渡辺正雄訳 『近代科学の誕生』、講談社学術文庫、1978年
- ^ “4.4 – Cultivating Scientific Skepticism - Values in Science”. Coursera. 2022年7月16日閲覧。
- ^ 伊勢田哲治『疑似科学と科学の哲学』、名古屋大学出版会、ISBN 4815804532 など
- ^ Technological progress is like an axe in the hands of a pathological criminal.
- ^ http://www.brainyquote.com/quotes/quotes/a/alberteins164554.html
- ^ 平野千博、「「科学技術」の語源と語感」 1999年 42巻 5号 p.371-379, doi:10.1241/johokanri.42.371
- ^ 佐々木力 『科学論入門』、岩波新書、1996年、ISBN 4004304571
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