日本の学校制服 日本の学校制服の概要

日本の学校制服

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/06/19 17:14 UTC 版)

市川中学校・高等学校制服(左から中学女子、中高男子、高校女子)

日本の学校制服

女子生徒の制服各種

学校在学生(幼児・児童・生徒・学生)が着用する制服は、源流をたどっても、学校内部や教育現場での序列や役割を表すものではなく、在学生の制服には、一般社会と多少異なった意義があるものと考えられている。

一般的に言えば、学校の制服には、それを着用する生徒が所属する学校を特定する機能がある。この機能には、学校側からの生徒管理と、生徒の側からのアイデンティティ・帰属心の確立という2つの要素が含まれる。1960年代末の紛争で廃止された学校を除き、多くの旧制中学の伝統を汲む都道府県立高校で、必ずしも活動的とはいえない詰襟の制服が堅持されている根拠には、教師側によるもののほかに生徒からの支持もある。

制服の新設・廃止・変更に関しては、保護者・学校側の立場からは、学校内部の連帯感や秩序・規律を保つために有意義であり、愛校心を育むためにも伝統を守るためにも廃止・変更を避けるのが妥当であるという意見がみられる。また、「学生の伝統」として生徒側から制服維持論(私服・自由服への移行に対する異議)が出されることもある。制服を廃止したために志願者が減少してしまい、制服を再導入する高校もある。一方で着心地の悪さ、着替えの煩雑さ、機能性の面などから制服に否定的な意見も一定数見られる。近年は、魅力的な制服で志願者を集める目的から、制服をファッショナブルなものに変える学校も目立つ。

評価

現代社会においては、制服が考案・導入された当初から社会状況が大きく変化し、「存在意義がなくなっている」などの否定的な評価がされることもある。反対に生徒指導をある程度規格化して行える面から、中学校高等学校などの制服には、社会性を身に着けさせやすくする働きもあるのではないかという意見もある。

学校外でも在学生を保護するという観点から、学生・生徒の身分を社会の人々が認識しやすい制服着用について肯定的な評価がされることもある。生徒としては学校帰りなどの寄り道など、制服のまま街を歩くのに抵抗がないという人もいれば、休日などの学校外での制服着用までは強制されたくないという意見もある。その他、アメリカでは制服を導入したところ、校内の暴力事件発生件数が減った事例などがある。公立の小学校の場合、経済力から生じる児童衣服の格差から生じる差別をなくするという目的で、制服着用を求める声も多い。一方で、制服は保護者に経済的負担が及ぶこともあり、家庭の経済格差を理由に制服導入に慎重な声もある。幼稚園などで設けられている制服については、誘拐などの犯罪者が標的とする子供を発見するのを容易にしてしまう働きもあるのではないかという意見もある。

一方で、公立小学校のほとんどが私服なのに対しほとんどの中学校で制服があることと、いじめ不登校が中学校の段階になり急増していることから、制服に反対する意見もある。制服が生徒の個性を抑圧し異質なものへの寛容心を奪っているのではないかというのである。こうした背景から、日本国内においても制服を廃止、または「標準服」として強制しない中学校高等学校もある。

また、当事者たる生徒側からの評価はまちまちである。制服によって衣服選択が楽になる、デザインが良い、生徒の伝統などの肯定的評価もあれば、着心地が悪い、格好悪い、不衛生であるなどの否定的評価も見られる。生徒が自分の所属校に誇りを持つような名門校には制服支持の向きが強いといわれるが、やはり人によって評価が分かれることも多い。後年では、制服のファッション的評価の高まりから、いったん廃止された制服がリニューアルされて復活している学校もみられる(「1990年代以降」節を参照)。

種類

大阪府立泉尾高等学校の制服。創立約90年の同校だが、高等女学校からの伝統のセーラー服を止め、2003年から男女ともブレザー制服にした。なお、同校では「女子生徒でも、ズボンとネクタイ」という、ボーイッシュな組み合わせを許可している

女子生徒用の制服は女子通学服、男子生徒用の制服は詰襟学生服・ブレザー、に大別されている。なお、学校の制服全般を男女形状タイプに関係無く「学生服」、小学生向けのものは「学童服」と呼ぶ場合もある。

男子

男子の制服は下記のように大きなモデル分け自体が少ないが、詰襟学生服など細かいバリエーションが多数あるモデルもある。制服に対する興味関心の度合は学校・地域・校則・時代・モデル・形状などの要因や傾向によって大きく左右されている。

  • 学生服(学ラン) - 詰襟を用いた、旧制高等学校当時から存在する伝統的な男子の制服である。中学校では現在でも主流であるが、高等学校はブレザーなどへのモデルチェンジで大きく減少している[1]。一部大学の体育会系にも着用されている。応援団の衣装としても使われる。
  • ブレザー - 高等学校で主流のタイプであり[1]、小中学校でも採用が増えている。これにネクタイを合わせることが多い。ただ、ブレザーの高校でも応援団は学生服(学ラン)を着ることが多い。
  • イートンジャケット - カラーレスジャケットの形状で、主に濃紺色で小学校に多い。英国イートン・カレッジのイメージを流用し命名された。
  • 学生帽 - かつては詰襟学生服を採用する中学・高校で着用を義務付けていたが、1980年代半ば以降には多くの学校で着用が自由化された。
  • セーラー服 - フェリーチェインターナショナルスクール(群馬県)が、男子児童の制服としてセーラー服を採用している(夏服のシャツは男女共通。冬服の上着は男女で若干異なるが、類似したデザイン)。かつては福岡県のリンデンホール小学校が夏期のみ男子の制服としてセーラー服を採用したが、現在は別の制服に変更されている。学校制服に限らなければ、一部の幼稚園で採用されている他、西日本を中心として多くの合唱団で採用されている。セーラー服#男子生徒用の制服」も参照。

女子

女子生徒用の制服は男子生徒用の制服に比べ、デザイン・色・オプションなどの種類が豊富。女子通学服が女子受験生の学校選択の要素の1つになることもあり、学校側は女子生徒用の制服を男子生徒用の制服よりも重視する傾向がある。女子の制服ではスカートが一般的であるが、防寒・防犯・機能性などを考慮しオプションとしてスラックスにしている学校もある(全国の中学・高校の1割程度。最近になりスラックス着用を義務づける学校も出てきた)。中学生・高校生らしく見られたい生徒側と健康管理や防犯を優先する学校側との間で意見が食い違い、現実的なスラックス普及は難しいとされている。

  • ブレザー - 女子生徒に主流の制服。高等学校の新設校やモデルチェンジによって採用されることが比較的多い制服である。これにリボンを合わせることが多い[2]。一部の学校では、スラックスを組み合わせることも可能である。また、数は少ないが、スラックスを義務づけている学校もある(札幌市立南が丘中学校など[3])。
  • セーラー服 - 伝統的な女子生徒の制服。このセーラー服(クラシックな従来型)を採用している中学・高校はかつてに比べれば減ったものの、女子中高生にはまだ主流の制服と言える。また近年は、セーラーブラウスとジャケットを組み合わせた変形型・複合型などといったようなセーラー服を採用する中学・高校が出てきた。ボトムスについては大部分の学校では通年スカートを組み合わせるが、一部の学校(仙台市常盤木学園高等学校など[4])では冬期にスラックスを選択することが可能である。また、冬期のスラックス着用を義務づけている学校もある(坂井市立鳴鹿小学校安曇野市立明科中学校など)。
  • ボレロ - 前を打ち合わせない短い丈のジャケットで、主にジャンパースカートの上に着用。最近では衰退傾向にある。
  • イートンジャケット - カラーレスジャケットの形状で、主に濃紺色で小中学校に多い。英国イートン・カレッジのイメージを流用し命名された。
  • ワンピース - 冬服タイプはブレザーなどを重ね着することがある。採用校は極めて少ない。
  • ジャンパースカート - 夏服の標準的な制服であったが、モデルチェンジの折に減少傾向にある(元々ジャンパースカートはスカートの一種であるが、冬服タイプはブレザーやボレロ等の下に着用される)。
  • ベスト - 夏服や中間服のパターンだが、最近ではチェック柄のスカートが増えているところから、ニット系のベストに替わることが多い。
  • ブラウス - 制服スカートに指定のブラウスを着用する夏服(盛夏服)型。その上にニット系のベストやカーディガン等を重ね着することが多い。
  • スクールセーター - 冬場に着用するセーター女子高生の間では冬場だけでなくにも濃紺のミニスカートに白のブラウスの上から濃紺をはじめグレーベージュなどのスクールセーターを着用していることが多い。
  • 吊りスカート - 夏はブラウスの上に着用することが多い。冬はイートンジャケットなどを重ね着する。主に小学校や中学校などで見られる。
  • コート - 冬に防寒で着用する。



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