指数関数 指数関数の概要

指数関数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/10/03 14:41 UTC 版)

底が e である指数関数(グラフの 1 マスは 1

対数関数逆関数であるため、逆対数 (anti-logarithm, inverse logarithm ) と呼ばれることもある[1]

指数関数は次のように表記される。

b^x.

b を指数関数の (base ) といい、x を指数という。特に、底がネイピア数である場合 (b = e)、

\mathrm{e}^x,\,\exp\,x,

と二種類の記法がある。 後者の記法を使って一般の底の指数関数を表すには、自然対数(底を e とする対数関数)を用いる。

b^x = \exp(x \ln b).

たとえば b = 1/2 の場合には、次のような表記ができる。

{\left(\frac{1}{2}\right)}^x = \exp{\left(x \ln \frac{1}{2}\right)} = \exp(-x \ln 2) .

特に断りがない場合、指数関数といえばネイピア数であるものを指す。また解析学の立場では、底がネイピア数でないものは指数関数とは呼ばないことが多い。このことは指数関数をどのような性質から定義するかによる。

定義

正の実数 a を底とする指数関数 ax は、次の公理から一意に定まる関数として定義される。

  • ax は、R から (0, ∞) への連続関数
  • a1 = a
  • ap + q = apaq

指数関数の値 ap において、指数 p自然数(あるいは有理数)であるとき、これは a冪乗に一致する。冪乗を適当な方法を用いて拡張することにより、指数関数を定義することも可能である。

微分

底がネイピア数 e である指数関数 ex導関数ex 自身となる。

\frac{\mathrm d}{\mathrm{d}x}\mathrm{e}^x = \mathrm{e}^x.

解析学においてはこの性質を満たす関数として指数関数を定義する。つまり、指数関数 exp(x) とは、

  1. \exp(0) = 1,
  2. \left(\frac{\mathrm d}{\mathrm{d}x} - 1\right)\exp(x) = 0.

を満たす関数のことである。この関数は代数的な定義で示される性質を満たし、両者は一致することが示される。

一般の指数関数 ax の導関数は自然対数 ln を用いて、合成関数の微分公式より、

\frac{\mathrm d}{\mathrm{d}x}a^x = \frac{\mathrm d}{\mathrm{d}x}\mathrm{e}^{x \ln a} 
= \frac{\mathrm{d}(x \ln a)}{\mathrm{d}x}\frac{\mathrm d}{\mathrm{d}(x \ln a)}\mathrm{e}^{x \ln a} = (\ln a)a^x

となる。a = e とすれば ln e = 1 なので最初の公式に戻る。

一般化

複素変数への拡張

exp x の解析的な性質より、これをマクローリン展開すると、

\exp x = \sum^{\infin}_{n=0}\frac{1}{n!}x^n

となることことを踏まえ、複素数 z に対し

\exp z = \sum^{\infin}_{n=0}\frac{1}{n!}z^n

を(収束半径は∞なので)複素変数の指数関数の定義とする。これにより、定義域を、任意の実数から複素数全体へと拡張することができる。

  • \exp z\,\exp w = \exp (z+w)
  • \exp z \ne 0
  • \frac{d}{dz}\exp z = \exp z

などは、複素関数としても成り立つ。

exp(ix) を、cis x と書き、複素指数関数 (complex exponential (function) ) と呼ぶことがある。ここで i虚数単位である。 exp x のマクローリン展開より、

\operatorname{cis}x = \sum^{\infin}_{n=0}(-1)^n\frac{1}{(2n)!}x^{2n} + i\sum^{\infin}_{n=0}(-1)^n\frac{1}{(2n+1)!}x^{2n+1}

と書けるが、右辺の第 1 項は cos x のマクローリン展開、第 2 項は sin x のマクローリン展開に i を乗じたものに他ならない。即ち、cis x = cos x + isin x であり、これが cis の名前の由来である。複素指数関数は、三角関数に関する和として表現できるのである。

任意の複素数 z は、z = x + iy (x, yR) と表現できるから、

\exp z = \exp(x + iy) = \exp x\cdot \exp iy = \exp x(\cos y + i\sin y)

が成り立つ。この「逆関数」として、複素変数の対数関数を定義することもできるが、(何かしらの制限を加えない限り)一価関数とはならない。こうして定義される対数関数 log z

\log z = \int_1^z \frac{\mathrm{d}z'}{z'}

として定義される複素多価関数 log z と一致する。

一般の複素数 α≠0 を底とし、複素変数 z を指数とする指数関数は、複素変数の対数関数 log z に対して、

\alpha^z = \exp (z\,\log \alpha) = \exp (z\,(\ln |\alpha| + i \arg \alpha))

とおくことにより定義することができる。これは log α の多価性(偏角 arg α の不定性)により一般には多価関数となる。例えば、n を整数として

2^{1/2} = \exp ((1/2)\log2) = \exp ((1/2)(\ln2\,+\,2n\pi i)) = \exp (\ln\sqrt{2}) \exp(n\pi i) = \pm\sqrt{2}

となる。ただし、ez については exp(z log e) のこととは解さず、ez = exp(z) と理解するのが一般的であるようである。しかしながら、ez を多価関数と考えた場合、(e^z)^w=e^{zw} は成り立たない(e が他の複素数でも同様)ので注意しなければならない。

複素変数への拡張は他にも方法があり、マクローリン展開を用いずに微分の自己再帰性と初期条件だけを与えた正則関数を考えても同じ結論を得る事ができる。

行列の指数関数

上記のテイラー展開x に任意の正方行列 X を代入することにより、行列の指数関数 exp X が定義される。

とくに、Xn 次の一般線型群 GL(n, R)リー環 gl(n, R) すなわち n 次の実正方行列全体を亘るとすれば、この指数関数

\exp: \mathfrak{gl}(n, \mathbb{R}) \to {GL}(n, \mathbb{R})

はリー環からリー群への指数写像の一つの例を与える。

二重指数関数

二重指数関数には 2 種類の定義がある。

  1. 2 つの指数関数の項からなる関数。f(x) = \exp(ax) - \exp(bx) など。
  2. f(x) = a^{b^x} の形で表現される関数。



「指数関数」の続きの解説一覧




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

「指数関数」に関係したコラム

  • FXの移動平均線の種類

    FX(外国為替証拠金取引)で用いられる移動平均線にはいくつかの種類があります。ここでは、よく知られている移動平均線を紹介します。▼単純移動平均線単に移動平均線という場合は、単純移動平均線(Simple...

辞書ショートカット

カテゴリ一覧

全て

ビジネス

業界用語

コンピュータ

電車

自動車・バイク

工学

建築・不動産

学問

文化

生活

ヘルスケア

趣味

スポーツ

生物

食品

人名

方言

辞書・百科事典

すべての辞書の索引

「指数関数」の関連用語

指数関数のお隣キーワード

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   
検索ランキング

画像から探す




指数関数のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの指数関数 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2014 Weblio RSS