指数関数 指数関数の概要

指数関数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/07/29 13:30 UTC 版)

底が e である指数関数(グラフの 1 マスは 1

a > 0 かつ a ≠ 1 なる定数 a に関して、(主に実数の上を亙る)変数 xax へ送る函数は、「a (base) とする指数函数フランス語版」と呼ばれる。冪指数を固定し、底を独立変数とする冪函数ドイツ語版 (power function) とは対照的である。「指数函数」との名称は、与えられた底に関して冪指数を変数とする函数であることを示唆するものである。

しばしば、より狭義の函数を意図して単に「指数函数」と呼ぶこともある。そのような標準的な (the) 指数函数(あるいはより明示的に「自然指数函数」)[* 2]ネイピア数 e を底とする函数 xex である。これを exp(x) のようにも書く。この函数は、導函数が自分自身に一致するなど、他の指数函数と比べて著しい性質を持つ。底 e を他の底 a に取り換えるには自然対数 ln(x) を用いて、等式

a^x = e^{x \cdot \ln a}

を適用すればよいから、以下本項では主に自然指数函数について記述し、多くの場合「指数函数」は自然指数函数の意味で用いる。

歴史と概観

The red curve is the exponential function. The black horizontal lines show where it crosses the green vertical lines.

ある量の変化(増大または減少)率がその量の現在値に比例するというような状況において、指数函数は生じてくる(指数函数的増大または指数函数的減少)。

そのような例として、連続的複利計算英語版があり、実はヤコブ・ベルヌイが (Bernoulli 1683)[2] においてこのような複利計算から今日 e と書かれる数

\lim_{n\to\infty}\left(1 + \frac{1}{n}\right)^{n}

を導いている。後の1697年にヨハン・ベルヌイが指数函数の解析学を研究している[2]。元本 1 に対して年 x の割合で金利を得る複利を考えると、得られる利息は毎月現在値に x/12 だから、総額は毎月 (1+x/12) 倍となり一年で (1+x/12)12 となる。あるいは、毎日金利を得るものとすれば (1+x/365)365 である。さらに間隔を短くして年間に金利を得る回数を限りなく増やした極限として、指数函数の定義

\exp(x) = \lim_{n\to\infty}\left(1 + \frac{x}{n}\right)^{n}

を与えた最初の人はオイラーである[3]。これは数ある指数函数の特徴付けの一つであり、ほかにも冪級数微分方程式を用いた定義などがある。

何れの定義に従ったとしても、指数函数は指数法則と呼ばれる基本的な関係式

\exp(x + y) = \exp(x) \cdot \exp(y)

を満たすから、指数函数を冪乗の記法を以って ex と書くこともある。

指数函数の変化率、即ち導函数は指数函数自身に一致する。より一般に、変化率が自分自身と(そのものではなく)比例するという性質を持つ函数は、指数函数を用いて表すことができる。函数のこのような性質は指数函数的増加や指数函数的減少と呼ばれる。

指数函数は複素数平面上の整函数に拡張される。オイラーの公式は指数函数の純虚数における値と三角函数を関係付ける。同様に、指数函数は行列変数やより一般のバナハ環に値を取る変数などに対しても定義される。あるいはリー理論における指数写像に一般化される。

厳密な定義

The exponential function (in blue), and the sum of the first n + 1 terms of the power series on the left (in red).

指数函数 ex を一意的に定義するための特徴付けは、同値な方法がいくつも知られている。中でも以下の冪級数

e^x = \sum_{n = 0}^{\infty} {x^n \over n!} = 1 + x + {x^2 \over 2!} + {x^3 \over 3!} + {x^4 \over 4!} + \cdots

で定義するのが典型的である[4]。これは他の方法で指数函数を定義した場合に導くことのできる、指数函数のテイラー級数そのものである。

あまり典型的ではないが、自然対数函数の逆函数という意味で、指数函数 ex を方程式

x = \int_1^y {dt \over t}

の解 y と定めることもできる。あるいはまた、以下の極限

e^x = \lim_{n \to \infty} \left(1 + \frac{x}{n}\right)^n

によっても同じものが定まる[3]


  1. ^ "Inverse Use of a Table of Logarithms; that is, given a logarithm, to find the number corresponding to it, (called its antilogarithm)…" – p.12 of Converse; Durrell (1911), Plane and spherical trigonometry, C.E. Merrill co. 
  2. ^ 英語で exponential function と the exponential function とを区別することがあるように、ドイツ語では一般の底に関する指数函数を exponentiellen Funktionen(指数の函数)、自然指数函数を Exponentialfunktion のように区別することもある。
  1. ^ MSDN の Exp 関数の解説
  2. ^ a b John J O'Connor; Edmund F Robertson. “The number e”. School of Mathematics and Statistics. University of St Andrews, Scotland. 2011年6月13日閲覧。
  3. ^ a b Eli Maor, e: the Story of a Number, p.156.
  4. ^ Rudin, Walter (1987). Real and complex analysis (3rd ed.). New York: McGraw-Hill. p. 1. ISBN 978-0-07-054234-1. 
  5. ^ Steiner, J., Clausen, T., Abel, N. H. (1827). "Aufgaben und Lehrsätze, erstere aufzulösen, letztere zu beweisen" [Problems and propositions, the former to solve, the later to prove]. Journal für die reine und angewandte Mathematik 2: 286–287. 
  6. ^ 安達謙三, 稲垣嘉男 『複素解析学』 東京電機大学出版局1999年、33頁。ISBN 978-4501616601
  7. ^ 8/32 http://www.suugakuno-sanpomichi.com/pdf/002.pdf


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