バラ・チェルビ バラ・チェルビの概要

バラ・チェルビ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/29 19:56 UTC 版)

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概要

『元朝秘史』によると、バラ・チェルビはジャムカと決別し劣勢にあるテムジン(後のチンギス・カン)陣営の下に兄にアルカイ・カサルとともに父親のセチェ・ドモクに連れられて帰参したという。同時期にテムジン陣営に参加し、後に著名になった人物にはクビライ(四狗の一人)、スブタイ(四狗の一人)、ブトゥ・キュレゲンらがいる[2]

バラ・チェルビがチンギス・カンのモンゴル高原統一に果たした功績は不明であるが、1206年にチンギス・カンが即位するとバラ・チェルビは右翼の千人隊長に任ぜられた[3]。一方、この時兄のアルカイ・カサルはケシク(親衛隊)の長に任ぜられているため、千人隊長には任ぜられていない(チンギス・カンの死後にはバラ・チェルビと同じく右翼の千人隊長に任命されている)。

モンゴルのインド侵攻

1219年、チンギス・カンは中央アジア遠征(ホラズム・シャー朝征服)を開始し、バラ・チェルビもまた千人隊長の一人としてこれに参加した。モンゴル軍は短期間でホラズムの主要都市を攻略し中央アジアを征服したものの、国王アラーウッディーン・ムハンマド及びジャラールッディーン・メングベルディーは南方のイランアフガニスタン方面に逃れていた。特にジャラールッディーンはモンゴル軍に抗戦し、シギ・クトク率いるモンゴル軍を撃ち破る(パルワーンの戦い)功績を挙げたため、モンゴル軍はジャラールッディーンを追撃してインダス河まで追い込んだ。

インダス河畔の戦いにおいてモンゴル軍はジャラールッディーン率いる軍を撃ち破ったものの、肝心のジャラールッディーンはインダス河を渡って逃れてしまったため、チンギス・カンはバラ・チェルビとドルベイ・ドクシンを派遣してこれを追撃させた[4]。バラ・チェルビとドルベイ・ドクシンはインダス河を渡ってヒンドゥスタン(インド)でジャラールッディーンを追撃したもののこれを捕捉することはできず、結局ヒンドゥスタンの一部を掠奪して帰還した[5]

チンギス・カンの死後、バラ・チェルビはその息子トゥルイに仕えることとなったが、その後の動向や死亡時期は不明である。『集史』によると、クビライ・カアンの時代にはバラ・チェルビの息子マクイ(Māqūī)が父の地位を受け継いだという[6]

ジャライル部セチェ・ドモク家

  • セチェ・ドモク…バラ・チェルビの父

参考文献

  • 志茂碩敏『モンゴル帝国史研究 正篇』東京大学出版会、2013年
  • 杉山正明『モンゴル帝国と大元ウルス』京都大学学術出版会、2004年
  • 村上正二訳注『モンゴル秘史 1巻』平凡社、1970年
  • 村上正二訳注『モンゴル秘史 2巻』平凡社、1972年
  • 村上正二訳注『モンゴル秘史 3巻』平凡社、1976年
  • 新元史』巻128列伝25「八剌扯児必伝」

  1. ^ 村上1972,376頁
  2. ^ 村上1970,221-234頁
  3. ^ 村上1972,376頁
  4. ^ チンギス・カンがインドに派遣した将軍について、『元朝秘史』や『元史』ではバラ・チェルビのみを記すが、『世界征服者史』はドルベイ・ドクシンのみを記し、ラシードの『集史』のみが両方の名前を挙げている。そのため、ボイル教授は実際に派遣されたのはドルベイ・ドクシンのみではないかと推測している(村上1976,p.215)
  5. ^ 志茂2013,523頁
  6. ^ 志茂2013,523頁


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