軟部組織
軟組織
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 05:24 UTC 版)
ホロタイプ標本には恐竜の化石としては特に広い領域の軟組織が保存されていた。ある程度の筋組織(サンタナラプトル、ペレカニミムス)、軟骨(ジュラヴェナトル、アウカサウルス)、内臓(ミリスキア)といったものが他の恐竜でも報告されているが、スキピオニクスはほとんどの主要な内臓群の痕跡が保存されていたという点で特異である。血液、血管、軟骨、結合組織、筋組織、角鞘、呼吸器系、消化器系が保存されていたものの、神経組織と鱗や羽毛、外皮など体の表面を覆うものは保存されていない。 軟組織は印象ではなく3次元の石化物として保存されており、驚くほど繊細な構造がリン酸カルシウムで置換されており、細胞内レベルもしくはもともとの生体分子の構成要素が残った形で変化している。
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軟組織
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 14:53 UTC 版)
体表は多くの種では剛毛で覆われるが、バビルサなど体毛をほとんど持たないものも存在する。耳は大きく、頭部の上方に直立する。眼は比較的小さいが、サイズ自体はヒトのものとほぼ同じ大きさである。また色覚などの機能も同様である。眼窩は頭部側面についている為、約310度もの広い視野を持つ。イノシシや豚において最も重要な器官の一つは鼻である。鼻先には多数の神経が集中しており、鋭敏な感覚器官となっている。また、鼻には軟骨のパッドがあり、これを使って地面を掘り返すことができる。また、嗅覚は鋭敏である。 消化器官に関しては、反芻獣やクジラ、カバ、ペッカリーなど複数の胃を持つものの多い鯨偶蹄類の中にあって、単純な形態の単胃を持つ。これはイヌ、ネコなど食肉類やヒトなども同様である。しかしそれらとは異なり、噴門付近が拡大している点が見て取れる。これは、イノシシ科の胃が食物を貯蔵する機能を備えつつある進化傾向とされる。
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軟組織
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/15 05:41 UTC 版)
中央ヨルダンのHarrana の堆積層から産出した極めて保存状態の良い標本 ERMNH HFV 197 により、プログナトドンの軟部組織形態学の特異的な詳細が調査可能となった。この化石はプログナトドンの標本としては珍しく大部分が完全で繋がっているだけでなく、外皮と最後の数個の尾椎の緩やかな屈曲という重要な部位が保存されている。最も重要なことは、化石に軟部組織の輪郭と尾ビレが保存されていることである。これは、モササウルス科が遊泳において三日月形の尾を助けに用いる進化をしたという点で、魚竜・タラットスクス亜目メトリオリンクス科・クジラと収斂した、という証拠の提供に役立った。 尾ビレは明らかに非対称である。下側のヒレは尾椎に続き、四肢の骨格および他の軟部組織に基づいて、生存時は断面が流線型をなしていたと推測されている。上側のヒレは骨格に支えられておらず、ほぼ翼状の小さい構造として最後の尾椎数個の上に保存されている。尾ビレの形状は、上側が大きく下側が小さいメジロザメ科のサメの尾ビレを上下反転させたものに類似する。 標本にはまた、特に尾ビレの輪郭の周囲にうっすらとではあるがウロコの印象化石も保存されており、明らかに菱形のウロコが明らかになっている。同様の形状のウロコは保存状態の良いプラテカルプスの標本 LACM 128319 の尾ビレにも存在する。 軟部組織構造の割合と標本の骨格要素との関係を利用して、プログナトドンの他の種のヒレの大きさと形状を推定可能であり、モササウルス科の他の属でも同様に行える可能性がある。この標本が記載された Lindgren et al. (2013)によると、プログナトドン属のより大きな標本と比較して、この標本は標準的なプログナトドンからすると奇妙なまでに小さい。従って ERNMH HFV 197 は幼体の標本であると考えられた。大型個体の増大した体重を説明するためには尾ビレの成長は非常に論理的であり、現生のサメや絶滅した魚竜といったヒレを持つ他のグループでも確認できる。このため特に大型種のプログナトドンの成体では尾ビレが体サイズに対して相対的に巨大であった可能性が高い。Lindgren et al. (2013) では、大型個体において尾ビレの上側が比率として大きく成長する可能性が高いことが特に言及されている。
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軟組織
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 07:24 UTC 版)
かなりの数のモササウルス科の化石が世界中から産出しており、表皮に関する情報は比較的早くから知られていた。世界中から見つかったモササウルス類の化石のうち、いくつかが鱗の印象化石を残していた。もしかするとすでに鱗の印象が残るモササウルスの化石は見つかっていたのかもしれないが、このようなデリケートな部位が化石に残るとは考えられておらず、長い間見過ごされてきたのかもしれない。 モササウルス類の外皮の特徴は長い間、アメリカのカンザス州コーヴ郡の上部サントニアン〜下部カンパニアンから見つかったティロサウルスの骨格標本(KUVP-1075)にもとづいて研究がなされてきた(右図) 。ヨルダンのハラナ(英語版)にある Muwaqqar層から保存状態のよいモササウルス類の化石が見つかった。この化石は、手足の指骨の間の薄い皮膜の部分を含めて、ヘビのようにオーバーラップしたダイヤ型の細かい鱗で覆われていた。現生の爬虫類のようにモササウルス類も、体の場所によって鱗の大きさや形が異なっていたことが分かっている。ハラナの標本からは2種類の鱗が識別された。 稜線がある鱗は体の上部を覆い、表面が滑らかな鱗は体の下部を覆っていた。奇襲型の捕食者は待ち伏せ型の狩りを行うことから、モササウルス類は光を反射しにくい稜線がある鱗を利用していたと考えられる。 最近、皮膚組織だけではなく内部組織まで保存された、きわめて状態のよいプラテカルプスの標本が見つかった。体内には心臓、肺、腎臓とおぼしき赤い組織が残されていた。さらに気管軟骨と網膜とおぼしき組織までが保存されていた。“腎臓”は腹部のはるか前方にあり、この配置はオオトカゲよりもむしろクジラ類に似ている。オオトカゲもふくめた現生の爬虫類では、気管支は途中で二股に分岐して肺に繋がるが、モササウルス類ではクジラのように気管支は左右独立して肺まで平行に配列する。これらの特徴はモササウルスが水中生活へ移行したことによる、内部形態の変化であると考えられる。 さらに2011年には、モササウルス科のプログナトドンの化石から白亜紀のものとされるコラーゲンが見つかった。
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軟組織
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/18 01:57 UTC 版)
2005年5月に『サイエンス』誌にて、ノースカロライナ州立大学の古生物学者メアリー・ヒグビー・シュヴァイツァー(英語版)らは、6800万年前のティラノサウルスに由来する1.15メートルの大腿骨化石の狭い空洞から軟組織を発見したと報告した。輸送のため故意に破壊したBレックスの大腿骨を酸で処理すると、しなやかで分岐した血管や、繊維質だが弾性を示す骨基質組織が確認され、そして血球に類似する微細構造が基質や血管中に見られた。また、これらの構造物はダチョウの血球や血管に類似する特徴を示していた。しかし、研究者たちはこれらの構造物が確実にBレックスに由来するとは主張せず、慎重な立場を採っている。この構造物が正真正銘Bレックスに由来する組織であった場合、タンパク質はDNAの転写翻訳によって構築されるため、保存されているタンパク質が恐竜のDNAの内容を間接的に示唆する可能性がある。なお、そういった組織状の構造が見られる恐竜はごく少数ではあるものの他にも確認されている。 ワシントン大学の古生物学者トーマス・ケイは、軟組織状構造物がバクテリアにより形成されパーミネラリゼーション(英語版)を受けたバイオフィルムが隙間を埋めているだけであり、元の標本に存在する血管自体は既に消失しているという仮説を提唱した。彼はBレックスと同地域から産出した数多くの標本を観察し、同様の事例が起きていることを発見している。また、ケイはシュヴァイツァーが血球と解釈した構造物についても鉱物と鉄が化合した球状粒子フラボイド(英語版)であると指摘し、また放射性炭素年代測定法に基づくと血管壁の粘液にはティラノサウルスの時代と比較してごく最近(20世紀中頃)のものもあることを主張した。 2016年に軟組織の正体について、シュヴァイツァーとリンゼイ・ザノらは産卵に必要なカルシウム供給のため現生鳥類が骨に蓄積させるような骨髄組織であると発表した。これは軟組織がBレックスに由来するものであるというだけでなく、Bレックスが雌個体であったことを意味している。
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