日本大学フェニックス反則タックル問題 事件発生後の経過など

日本大学フェニックス反則タックル問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/06 02:45 UTC 版)

事件発生後の経過など

辞任・解任・処分など

  • 5月10日 - 内田の8月末までの現場指導自粛を関東学生アメリカンフットボール連盟に申し入れ。
  • 5月19日 - 内田の監督職辞任表明。
  • 5月23日 - 記者会見にてコーチCの辞任、内田の日本大学常務理事職の職務停止、謹慎を表明。
  • 5月29日 - ヘッドコーチ・コーチ2名の辞任。
  • 5月30日 - 内田の日本大学の常務理事・理事職及び株式会社日本大学事業部の役員を辞任。同大学人事部長・同大学保健体育審議会事務局長の職の3か月自宅謹慎処分。
  • 6月11日 - 内田の日本大学の人事部長・保健体育審議会事務局長職の解任、本部付部長待遇に異動。
  • 7月6日 - 悪質タックルの指示について選手らに口封じを図ったとされる、アメリカンフットボール部OBでコーチでもあった井ノ口忠男常務理事が4日付で理事を辞任したことを発表。
  • 7月30日 - 内田とコーチCの懲戒解雇を決定。
  • 8月10日 - 田中英壽理事長が兼任している相撲部部長・総監督職の解任、その他大塚吉兵衛学長・常務理事・理事8名の運動部部長職(副部長、監督)の解任を発表。例外としてアメリカンフットボール部部長の加藤直人理事(副学長・文理学部長)は組織改革のために続投を表明。

対戦中止・拒否

  • 5月14日 - 法大、東大、立大による対日大戦の中止
  • 5月17日 - 明大、成蹊大による対日大戦の中止
  • 5月24日 - 関東学生アメリカンフットボール連盟の1部リーグ監督会の日大を除く15チームによる対日大戦拒否
  • 5月29日 - 2018年度シーズン終了までの公式試合の出場資格停止

関東学生アメリカンフットボール連盟の処分

5月10日、選手Aの対外試合禁止、日大指導者に厳重注意の暫定処分発表。

5月29日に緊急に都内で臨時理事会を開き、日大アメフト部の関係者の処分を決め、監督とコーチの選手Aへの指示否定の供述内容を虚偽と判断し、内田正人前監督とC前コーチを除名(永久追放)、ヘッドコーチを資格剥奪(登録の抹消)、選手Aと日大フェニックスに2018年度シーズン終了までの公式試合の出場資格停止の処分を決めた[26]

規律委員会の調査によると、日大アメフト部では内田前監督が復帰した2017年から雰囲気が変わり、「白いものも内田さんが黒といえば黒なんだ」というほど内田前監督は絶対的な権力を持つようになった。内田前監督は活躍しそうな選手をチーム全員の前で名指しして、「結果を出さなければ干すぞ」と圧力をかけ、精神的に追い込むような指導を日常的に行っていた、と規律委員会が指摘した。選手の間ではこういう指導を「はまる」と表現され、「はまった」選手が受けた精神的圧力は相当に重かったとみられる。また、規律委員会は反則行為の背景として、「内田前監督による行き過ぎた指導、それをおもんばかったコーチ、なにも言えなかったチームがあった」と結論づけていた[27]

ただし選手Aには、反省文をまとめて連盟に提出して、規律委員会との面談で再発の危険が払拭されたことが確認され、その後の連盟理事会で承認されること、日大フェニックスには、チームとして本件の原因究明を行い、実効性のある再発防止策を策定・実施して、抜本的なチーム改革と組織改革を行い、その内容をチーム改善報告書として連盟理事会に提出して、十分な改善が行われたことが検証委員会により確認され、その後の連盟理事会で承認されることを条件に、出場資格停止の処分は解除される[26]。しかし、7月31日に開かれた臨時理事会で日大アメフト部の公式戦への出場資格停止処分を解除せず、2018年秋のリーグ戦に出場することが不可能になり、2019年度シーズンは下位リーグに自動的に降格することになった。

新監督・コーチの選出

大学は6月19日に、監督とコーチの公募を発表した。募集にあたっては、日大アメリカン・フットボール部の出身者は除き、部の指導や学生への教育に情熱を持って取り組むことができ、高等教育機関での教育歴か、高校、大学、社会人などのアメリカンフットボール指導経験がある人物、などの条件が付けられた[28][29]

選考は、外部の弁護士や、スタンフォード大学フットボールコーチ河田剛、アサヒビールシルバースターヘッドコーチの有馬隼人スポーツライター青島健太など7人[30]で構成する選考委員会に委託された[31]

選考委員会は7月6日、新監督の選考基準として、選手の自主性を尊重し、相互理解を基盤とする指導力などを求めること発表した。そして、これらの選考基準を骨子に選手へのヒアリングや第三者委員会の指摘事項などを参考にしつつ選考することを明らかにした[32]。最終的に、候補者は自薦・他薦を含め69人に達した[33]。選考には主将ら学生も参加し、最終候補者にも質問した[33]。7月17日に、元立命館大学コーチの橋詰功が新監督に内定し、また、コーチにはIBMビッグブルーのサポートスタッフであった泉田武志が選出された[31]。学生は選考に対する決定権こそないが、選考委員の青島健太は、「候補者を実際に見た選手の意見はもちろん参考にした」と述べた[33]。選考委員によれば、橋詰の再建構想が学生に強い印象を与えたと言う[33]

警察と検察の動き

2018年5月末には関西学院大学の選手側が、内田正人前監督と元コーチCに対する、傷害容疑での告訴状を警視庁調布署に提出した。また、怪我をさせた選手Aについては寛大な処分を求める約数千人分の嘆願書を提出した[34]

警視庁は被害届と告訴状を受け、映像の分析や専門家や関係者からの聞き取りをして調べてきたが、部員らからの聞き取りの結果、内田前監督と元コーチCから選手Aに対して「相手にけがをさせろ」という明確な指示があったことは確認できず[35]、2019年2月5日、内田前監督と元コーチCに対しては「容疑なし」とする捜査結果の書類を東京地検立川支部に送付した[36]。一方、選手Aに対しては傷害容疑で書類送検した[36]

2019年11月15日、東京地検立川支部は、内田正人前監督と元コーチCについては、選手への指示が認められなかったとして「嫌疑不十分」により不起訴処分とした[37]。また、選手Aについては、傷害の事実は認められるものの、被害者側との示談も成立しており処罰の必要性が低いと判断し、「起訴猶予」により不起訴処分とした[37]

当事者選手のその後

選手Aは2019年11月の不起訴処分の直後に関東大学リーグ1部下位の試合で実戦復帰を果たし、大学卒業後の2020年4月、富士通に選手として加入した[38][39]

2020年12月13日甲子園ボウルにて日大・関学の対戦が当該試合以来2年ぶりに組まれ、4年生となったBも出場した[40]


  1. ^ 日大vs関学大 大学アメフト名門対決勝負つかず日刊スポーツ 2015年12月6日
  2. ^ 読モ界の早慶戦は意外な接戦 もう「ワセジョ」はダサくない NEWSポストセブン 2018年6月9日
  3. ^ 反則タックル受けた関学大選手は腰椎損傷 後遺症の可能性は低い/アメフットSANSP.COM2018年5月15日
  4. ^ 反則タックル問題で関東学生連盟が会見(全文2)内田氏、全てに信用性がないY!ニュース2018年5月30日
  5. ^ “日本大学の選手による試合中の重大な反則行為について” (プレスリリース), 一般社団法人 関東学生アメリカンフットボール連盟, (2018年5月10日), http://www.kcfa.jp/information/detail/id=2195 2018年5月12日閲覧。 
  6. ^ “本学選手による試合中の重大な反則行為について” (プレスリリース), 日本大学保健体育審議会 アメリカンフットボール部PHOENIX オフィシャルWEBサイト, (2018年5月10日), http://nu-phoenix.com/topics/6785/ 2018年5月12日閲覧。 
  7. ^ “日本大学との第51回定期戦における日本大学選手による反則行為について” (プレスリリース), 関西学院大学体育会アメリカンフットボール部, (2018年5月12日), http://www.kgfighters.com/topics_detail2/id=1217 2018年5月12日閲覧。 
  8. ^ 日大回答書、反則行為は指示せず「厳しさ」求めた 日刊スポーツ 2018年5月17日配信 2018年5月25日閲覧
  9. ^ 【日大回答書全文】内田監督の発言は「貴部選手を負傷させる意図は全くなく、士気を上げるために行った」/アメフット 産経スポーツ 2018年5月17日配信 2018年5月25日閲覧
  10. ^ “【アメフット悪質反則】関西学院大が会見 詳報”. 産経フォト (産経デジタル). (2018年5月17日). http://www.sankei.com/smp/photo/story/news/180517/sty1805170014-s.html 2018年5月18日閲覧。 
  11. ^ “アメフト関学大選手側が被害届提出 日大タックル問題”. 朝日新聞. (2018年5月21日). https://www.asahi.com/articles/ASL5P4D6NL5PPTQP008.html 2018年5月21日閲覧。 
  12. ^ “関学大被害選手の父 日大前監督と前コーチを傷害で告訴”. NHK. (2018年5月31日). https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180531/k10011460421000.html?utm_int=detail_contents_news-related_005 2018年5月31日閲覧。 
  13. ^ a b c 反則タックル問題で日大選手が会見(全文1)個人として謝罪をさせて頂いた(P1) THE PAGE 2018年5月22日配信 2018年5月30日閲覧
  14. ^ 反則タックル問題で日大選手が会見(全文1)個人として謝罪をさせて頂いた(P2) THE PAGE 2018年5月22日配信 2018年5月30日閲覧
  15. ^ 反則タックル問題で日大選手が会見(全文1)個人として謝罪をさせて頂いた(P3) THE PAGE 2018年5月22日配信 2018年5月30日閲覧
  16. ^ a b c 反則タックル問題で日大選手が会見(全文2)コーチ「けがしたらこっちの得」 THE PAGE 2018年5月22日配信 2018年5月30日閲覧
  17. ^ “【日大悪質タックル選手会見】監督らから「クオーターバック潰せ」と指示 反則の選手が説明、謝罪”. 産経ニュース. (2018年5月22日). https://www.sankei.com/affairs/news/180522/afr1805220019-n1.html 2018年5月22日閲覧。 
  18. ^ a b 反則タックル問題で日大選手が会見(全文2)コーチ「けがしたらこっちの得」 THE PAGE 2018年5月22日配信 2018年5月30日閲覧
  19. ^ 危険タックル、日大謝罪会見「司会者」に批判 「火に油」「最悪」の指摘も ハフィントンポスト 2018年5月23日配信 2018年5月30日閲覧
  20. ^ 日大アメフト、危険なタックル問題 読売新聞 2018年5月24日 2018年5月25日閲覧。
  21. ^ a b c 日大の内田前監督が会見 選手説明と食い違い 日本経済新聞 2018年5月23日配信 2018年5月30日閲覧
  22. ^ a b c d e 危険タックル、日大謝罪会見「司会者」に批判 「火に油」「最悪」の指摘も ハフィントンポスト 2018年5月23日配信 2018年5月30日閲覧
  23. ^ 日大アメフト部会見、「ぶちギレ司会者」がトレンドワード入り…ささやき女将、号泣議員と並ぶ「3大炎上会見レジェンド」のツイートも スポーツ報知 2018年5月24日配信 2018年5月30日閲覧
  24. ^ 日大悪質タックル問題を“炎上案件”にしたメディアの責任 NEWSポストセブン 2018年5月31日
  25. ^ 日大学長が対応の遅れ認め、謝罪 田中英寿理事長は会見に出席せず 産経新聞 2018年5月25日 2018年5月25日閲覧
  26. ^ a b 日大内田前監督、Cコーチの除名は厳罰/処分全文 日刊スポーツ 2018年5月29日 2018年5月29日閲覧
  27. ^ “日大アメフト部の特異体質浮き彫りに”. NHK. (2018年5月30日). https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180530/k10011457701000.html 2018年5月31日閲覧。 
  28. ^ 【アメフット】日大アメフット部、「新監督」と「コーチ」を公募 OB以外から”. sankei.com. 産経新聞社 (2018年6月19日). 2018年12月29日閲覧。
  29. ^ 日本大学保健体育事務局 (2018年6月19日). “保健体育審議会アメリカンフットボール部監督 ・コーチ 指導者募集要項 (PDF)”. 日本大学. 2018年12月29日閲覧。
  30. ^ 【日大悪質タックル】有馬隼人、青島健太氏ら7人 日大アメフット部の新指導陣選考委”. sankei.com. 産経新聞社 (2018年7月5日). 2018年12月29日閲覧。
  31. ^ a b 日大の新監督は橋詰功氏に決定 元立命大コーチ、「リッツガン」構築の戦術家”. 株式会社ベースボール・マガジン社 (2018年8月8日). 2018年12月29日閲覧。
  32. ^ 【アメフット】日大が指導者選考基準発表 自主性の尊重求める”. 産経ニュース. 産経新聞社 (2018年7月7日). 2018年12月29日閲覧。
  33. ^ a b c d “SCENE2018 日大指揮官選び 学生主導の証し アメフト悪質タックル”. 朝日新聞 朝刊: p. 21. (2018年12月29日) 
  34. ^ 【アメフット悪質反則】関学選手側が告訴状提出”. sankei.com. 産経新聞社 (2018年5月31日). 2019年11月17日閲覧。
  35. ^ 日大悪質タックル「監督指示なし」 警視庁、書類送付へ”. asahi.com. 朝日新聞社 (2018年11月13日). 2019年11月17日閲覧。
  36. ^ a b 指示なし「理解できない」日大タックル、警察結論に波紋”. asahi.com. 朝日新聞社 (2019年2月5日). 2019年11月17日閲覧。
  37. ^ a b 日大悪質タックル、前監督や選手ら不起訴 地検立川支部”. asahi.com. 朝日新聞社 (2019年11月15日). 2019年11月17日閲覧。
  38. ^ A選手、富士通に加入 日大の悪質タックル問題で反則行為―アメフット:時事ドットコム” (日本語). 時事ドットコム. 2020年4月1日閲覧。
  39. ^ アメフト悪質反則問題の日大出身・Aが富士通入り…一時は競技を離れるも昨年11月から復帰していた” (日本語). 中日スポーツ・東京中日スポーツ. 2020年4月1日閲覧。
  40. ^ 甲子園ボウルで関学大・B選手が有終の美「本気でぶつかった」 悪質タックルで被害”. 毎日新聞 (2020年12月13日). 2020年12月14日閲覧。


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