庄内交通 庄内交通の概要

庄内交通

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/20 18:16 UTC 版)

庄内交通株式会社
Shonai Kotsu Co.,ltd.
種類 株式会社
市場情報 非上場
本社所在地 日本
997-0031
山形県鶴岡市錦町2-60
設立 2006年10月1日
業種 陸運業
法人番号 8390001008269
事業内容 乗合バス事業、貸切バス事業他
代表者 國井英夫 (代表取締役会長)
村 紀明 (代表取締役社長)
資本金 1億円
純利益 1億2663万3000円
(2023年3月期)[1]
総資産 13億6407万7000円
(2023年3月期)[1]
主要株主 庄交コーポレーション
外部リンク https://www.shonaikotsu.jp/
特記事項:2006年10月1日に株式会社庄交ホールディングスから陸運業等の事業を譲り受ける目的に設立。
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概要

1943年10月1日、戦時統合によって庄内地方における地方私鉄会社であった庄内電鉄[2]バス会社であった鶴岡合同自動車[3]、鶴岡出羽自動車、酒田乗合自動車、本間自動車商会の合併によって資本金150万円で庄内交通として設立される[4]。戦後、出羽三山参詣を目的とする有料道路である羽黒山有料道路湯殿山有料道路の供用を開始したほか、乗客も年々増加し運輸事業者として安定した成長を遂げた。

しかし、昭和40年代に入り庄内地方にもモータリゼーションの波が押し寄せ、その影響から乗合バスの乗客は右肩下がりとなり、1972年には給与の遅配などから組合が半月にわたりストライキを行い[5]、会社存亡の危機に立たされた。この事態を受け当時の役員は総退陣した。以後、庄内交通は主力銀行の荘内銀行からの支援を得ながら借入金の整理や事業の再編に取り組み、1975年3月31日には不採算となっていた鉄道事業の湯野浜線を廃止したほか、遊休不動産の処分も進めた。またバス事業のみでは、会社を安定的に継続させることは困難であるとの認識から、新たな収益源として社有地の再開発へと乗り出した[5]

不動産事業

この方針に則り、鶴岡市錦町にバスターミナル併設のショッピングセンター(SC)として庄交モール(現:エスモール)を建設。同SCは1978年11月にダイエー鶴岡店をキーテナントとして開業した。またSCに近接してホテルも建設し、1981年4月7日、子会社の庄交開発が第一ホテルとの提携によって運営する第一イン鶴岡(現:東京第一ホテル鶴岡)も開業した。さらに1991年10月の庄内空港開港を見据え同ホテルに接続しホテルアネックスとオフィス層からなる鶴岡SSビルを建設したほか[6]、同空港開港にあたっては全日空と庄内地区総代理店契約を締結し、グランドハンドリングおよびリムジンバス運行も開始した。これらに加え、慢性的な路線バス事業の低迷に対処するため、赤字路線を子会社を設立して移管。地域密着を図るべく、あつみ交通、庄交小型バス、羽越観光バス、松山観光バス等を設立した[5]

多角化

かつては総合生活サービス企業を標榜し多角化を進め、1988年には庄交ストアを設立。同社がダイエーとFC契約を結び、湯野浜店(鶴岡市)、亀ヶ崎店(酒田市)などを開業した。また朝日村(現:鶴岡市)に開設した庄交ファミリースキー場の運営を目的に庄交索道も設立したほか[7][8]フィットネスクラブのプラスワンの運営も開始した。 さらに1993年10月26日には、山形自動車道鶴岡インターチェンジの供用開始を見込み、近隣にドライブイン形式の大規模な物産店舗として庄内観光物産館を開業した。このほか1996年4月には、鶴岡市、金融機関等と共に設立した第三セクター「庄内フィッシング・ビレッジ」が運営する『釣りバカ日誌』の主人公・浜ちゃんをシンボルとした釣り文化の展示や物販を行う「出羽庄内釣りバカ会館」を鶴岡市伊勢原町にオープンさせたが、入館者が想定を大幅に下回り赤字がかさんだため、2001年に同館は閉館した[9]。これら以外にもゴルフ練習場など、最盛期にはグループ企業を23社ほど擁していた[5]

2003年5月1日、庄内交通は不動産や流通部門を切り離し、バス事業など旅客部門に特化し、財務基盤の安定と収益力の増強を目的に庄交コーポレーションを設立。庄内交通はバス運行に専従する体制となった[10]2006年10月1日、庄内交通とバス事業4社および生活関連会社を統合し、あらたに純粋持株会社として庄交ホールディングス(庄交HD)を設立。庄交HDは完全子会社として庄内交通を新設した。

沿革

庄内交通本社
庄交バスターミナル(2007年1月撮影)
  • 1928年昭和3年)9月8日 - 庄内電気鉄道株式会社が設立。
  • 1929年(昭和4年)12月8日 - 湯野浜線開業。
  • 1934年(昭和9年)5月14日 - 庄内電鉄株式会社に社名変更。
  • 1943年(昭和18年)10月1日 - 庄内電鉄とバス事業者4社が合併して、新たに庄内交通株式会社を設立。
  • 1946年(昭和21年)8月5日 - 酒田営業所落成、竣工式挙行[11]
  • 1957年(昭和32年)8月15日 - 羽黒山有料道路供用開始。
  • 1963年(昭和38年)10月1日 - 湯殿山有料道路供用開始。
  • 1964年(昭和39年)11月 - 余目営業所開業[12]
  • 1968年(昭和43年)5月1日 - 八幡営業所開業[13]
  • 1975年(昭和50年)3月31日 - 湯野浜線廃止、鉄道事業より撤退[14]
  • 1976年(昭和51年)11月1日 - 温海営業所移転[15]
  • 1978年(昭和53年)11月4日 - 庄交モール(ダイエー鶴岡店、現・エスモール)開業。
  • 1981年(昭和56年)
  • 1982年(昭和57年)11月 - 二階建てバス導入[16]
  • 1988年(昭和63年)10月25日 - 渋谷 - 鶴岡・酒田間の夜行高速バス「日本海ハイウェイ夕陽号」を東京急行電鉄(当時)との共同運行で開業。
  • 1989年平成元年)8月4日 - 酒田・鶴岡 - 仙台線運行開始。
  • 1991年(平成3年)10月1日 - 庄内空港開港。空港連絡バス運行開始。
  • 1992年(平成4年)10月1日 - 赤羽・大宮 - 鶴岡・酒田間の夜行高速バス「庄内・日本海ハイウェイ夕陽号」を国際興業バスとの共同運行で開業。
  • 1993年(平成5年)10月26日 - 大型ドライブイン「庄内観光物産館ふるさと本舗」オープン[17]
  • 2002年(平成14年)
    • 8月31日 - 庄交モールの核店舗だった、ダイエー鶴岡店が閉店。
    • 10月26日 - エスモール(旧・庄交モール)をリニューアルオープン。
  • 2003年(平成15年)5月15日 - 不動産事業部を存続会社の株式会社東京第一ホテル鶴岡へ吸収させ、株式会社庄交コーポレーションとした。
  • 2005年(平成17年)8月31日 - 庄交ターミナルビルの核店舗だった、ダイエー酒田店が閉店。
  • 2006年(平成18年)10月1日 - 庄内交通とバス事業者4社、生活関連会社を統合して、庄交ホールディングスを設立。子会社として新たに庄内交通株式会社を設立。
  • 2014年(平成26年)4月1日 - バス事業者3社(庄内交通観光バスあつみ交通あさひ交通)を再合併[18]
  • 2016年(平成28年)11月4日 - 朝日営業所廃止。
  • 2017年(平成29年)
  • 2018年(平成30年)
    • 2月15日 - 鶴岡市の市街地を走る路線バスの一部区間で、中学生から大学生までの運賃を一律100円とするサービスを開始[22][23]
    • 3月31日 - この日の営業をもって平田地域の3路線と平田営業所を廃止[24]
  • 2021年令和3年)
    • 3月9日 - 山交バス・庄内バス・JR東日本の3者は、山交バスおよび庄内交通の両社が運行する乗合バス全路線、山形市コミュニティバス、高瀬線(紅花バス)、「べにちゃんバス」(高瀬線、べにちゃんバスどちらも、山交バスに運行委託)に「地域連携ICカード」を導入し、2022年春頃を目途にサービスを開始する事を発表した[25]
    • 11月4日 - 地域連携ICカードの名称が「cherica」(庄内交通発行のカードは「shoko cherica」)に決まったと発表[26]
  • 2022年(令和4年)
    • 5月14日 - 地域連携ICカード「shoko cherica」のサービス開始[27]
    • 8月1日 - 酒田庄交バスターミナルがミライニパークビルに移転。
    • 10月 - 利用者の頭打ちや減少に伴う対策として、鶴岡市内循環線の車両を小型化し、路線の細分化と本数や停留所を増やした結果、2023年には利用者が2万9千人と例年の3倍にまで大幅に増加し、需要の掘り起こしにに成功した。一日12便行われていた大型バスでの運行を止め、2022年10月からワゴン車に変更し、地域の医療機関やスーパーマーケットなど日常生活に利用しやすい路線変更を行った上で一日48便と従来の4倍に増やした結果、わずか半年で例年の利用者を大幅に更新する結果となった。鶴岡市は車社会であるため、高齢者の免許返納に伴う生活の足として増便を決断した[28][29]

  1. ^ a b 庄内交通株式会社 第17期決算公告
  2. ^ 『解散公告』官報. 1943年10月29日 - 国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2021年7月5日閲覧。
  3. ^ 『解散公告』官報. 1943年10月25日 - 国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 2021年7月5日閲覧。
  4. ^ 『新版山形県大百科事典』p.344
  5. ^ a b c d 「特別インタビュー ポスト50年を睨む 多角化戦略を積極展開し総合生活サービス企業鮮明に 庄内交通代表取締役社長 本山彌氏」『総合交通』1993年12月号
  6. ^ 「庄内交通、社有地の再開発計画 3年後の空港開港控え」『日本経済新聞』1989年6月13日
  7. ^ 「庄内交通が2子会社設立 スキー場運営の庄交索道とスーパー運営の庄交ストア」『日経産業新聞』1988年1月11日
  8. ^ 「ダイエー FC事業拡大 新しい加盟契約で出店ペース拡大 新たに5ヵ年計画」『日経流通新聞』1988年7月23日
  9. ^ 「赤字拡大、会社解散へ 3セク運営の釣りバカ会館」『朝日新聞』山形版 2001年5月31日
  10. ^ 「庄内交通、旅客部門に特化へ、新会社設立、吸収」『朝日新聞』山形版 2003年3月18日
  11. ^ 毎日新聞 昭和21年8月2日山形版
  12. ^ 広報あまるめ第153号(昭和39年11月15日)余目町
  13. ^ 『一日から開設 庄交八幡営業所』荘内日報昭和43年5月1日1面
  14. ^ 「庄内交通 電車線、31日限りで廃止」『交通新聞』交通協力会、1975年3月28日、2面。
  15. ^ 『庄交温海営業所が移転』昭和51年10月29日荘内日報3面
  16. ^ 「豪華な2階建てバス庄内へ」荘内日報昭和57年11月3日3面
  17. ^ 『庄内交通 鶴岡に大型のドライブイン』平成5年10月23日日本経済新聞地方経済面東北B
  18. ^ 庄内交通株式会社の合併のお知らせ Archived 2014年4月27日, at the Wayback Machine.(庄内交通 2014年4月)
  19. ^ 平成29年度 新規高速バス路線 【仙台国際空港線】の運行について”. 庄内交通株式会社 (2017年1月27日). 2017年2月19日閲覧。
  20. ^ 『酒田・鶴岡(山形県)~京都・大阪・USJ線』の運行開始について”. 庄内交通株式会社 (2017年3月9日). 2017年3月14日閲覧。
  21. ^ “庄内―TDL、直行バス運行 庄内交通など、10月1日から”. 山形新聞. (2017年9月14日). http://yamagata-np.jp/news/201709/14/kj_2017091400260.php 2017年10月9日閲覧。 
  22. ^ “鶴岡市街地路線バス一部区間 学生運賃100円に”. 荘内日報. (2018年2月9日). http://www.shonai-nippo.co.jp/cgi/ad/day.cgi?p=2018:2:9 2018年2月18日閲覧。 
  23. ^ “学生100円バス15日スタート 庄交バス・中学生から大学生が対象”. 山形新聞. (2018年2月13日). http://yamagata-np.jp/news/201802/13/kj_2018021300312.php 2018年2月18日閲覧。 
  24. ^ 庄内交通「平田営業所」廃止について”. 庄内交通株式会社 (2018年3月23日). 2018年6月3日閲覧。
  25. ^ 山形県における「地域連携ICカード」を利用したIC乗車サービスの提供について” (PDF). 山交バス株式会社・庄内交通株式会社・東日本旅客鉄道株式会社 (2021年3月9日). 2021年3月14日閲覧。
  26. ^ 山形県における交通系「地域連携 IC カード」の名称・デザインの決定について” (PDF). 山交バス株式会社・庄内交通株式会社・山形県 (2021年11月4日). 2021年11月4日閲覧。
  27. ^ 地域連携ICカード「shoko cherica」|庄内交通”. 庄内交通. 2022年6月14日閲覧。
  28. ^ “路線バス増便で乗客急伸 「逆転の発想」が奏功”. 産経新聞. (2023年5月7日). https://www.sankei.com/article/20230507-CCKCDFRRI5MTTNI456DVCEMQ7E/ 
  29. ^ “路線バス増便で乗客急伸、山形 「逆転の発想」が奏功”. 共同通信. (2023年5月7日). https://nordot.app/1027920240089169920 
  30. ^ “近づいた!庄内⇔仙台空港 酒田・鶴岡、高速バス直行便が運行開始”. 山形新聞. (2017年4月2日). https://www.yamagata-np.jp/news/201704/02/kj_2017040200045.php 2017年11月19日閲覧。 
  31. ^ 12月1日(金)より「仙台国際空港線」のダイヤ改正を行います”. 庄内交通 (2017年11月1日). 2017年12月6日閲覧。
  32. ^ 【仙台線(一部ダイヤ改正)・仙台国際空港線(庄内交通便)】路線統合のお知らせ”. 庄内交通 (2019年2月20日). 2019年4月6日閲覧。
  33. ^ 夜行高速バス【「東京ディズニーランド(R)」線】及び【京都・大阪・USJ線】運休について”. 庄内交通 (2020年3月18日). 2020年4月4日閲覧。
  34. ^ 高速バスの運休について”. 庄内交通 (2020年4月7日). 2020年4月23日閲覧。
  35. ^ a b 鶴岡市内循環バス”. 庄内交通. 2022年11月25日閲覧。
  36. ^ 長南里香 (2022年11月21日). “乗客が3倍に増えた路線バス 発想の転換、独自戦略が奏功”. 毎日新聞デジタル (毎日新聞社). https://mainichi.jp/articles/20221121/k00/00m/020/080000c 2022年11月25日閲覧。 
  37. ^ お知らせ|庄内交通”. 庄内交通. 2022年6月30日閲覧。
  38. ^ お知らせ|庄内交通”. 庄内交通. 2022年8月18日閲覧。
  39. ^ 令和4年10月1日改正内容について”. 庄内交通 (2022年9月5日). 2022年11月25日閲覧。
  40. ^ 有料道路”. 庄内交通. 2017年3月26日閲覧。


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