雲の層
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 03:00 UTC 版)
土星の大気は木星と同様に帯状の模様を見せるが、赤道近くで淡い幅広になる特徴を持つ。この帯は木星と同じ学術用語で呼ばれる。土星の細かな雲の模様は、1980年代の探査機ボイジャーが到達するまで観測された事は無かったが、その後は地球から望遠鏡を用いた観測が詳細を明らかにした。 雲は表面から中に入るほど圧力が増す。上層は温度100〜160 K、圧力0.5〜2 barでアンモニアの氷から成っている。下の圧力2.5〜9.5 bar付近の層は水の氷が雲をつくり、温度は180〜250 Kに上昇する。この層には硫化アンモニウムの氷が混合し、圧力は3〜6 bar、温度は235〜290 Kになる。そして最下層では圧力が10〜20 bar、温度は270〜330 Kになり、液化したアンモニウムの水滴が含まれるようになる。 カッシーニなどによって、土星の嵐などの気象現象が観測されている。土星大気は通常それほど激しい動きを見せないが、時に木星で見られるような非常に長持ちする楕円形状が現れる事がある。1990年にハッブル宇宙望遠鏡が、探査機ボイジャー通過の際には確認できなかった赤道付近の巨大な白い雲を発見し、1994年にも別のより小さな嵐が見つかった。1990年の嵐は大白斑という現象のひとつで、土星の約30年毎に北半球が夏至を迎える頃に発生する、それほど長く持続しないものであった。この大白斑は1876年、1903年、1933年、1960年にもそれぞれ発生し、特に1933年のものが有名である。周期性から考慮すると、次の発生は2020年前後になる。 土星に吹く風は太陽系で2番目に速い。ボイジャーの観測によると、最も速いものは偏東風で速度は1800km/hに達する。2007年、探査機カッシーニが土星の北半球で天王星のような輝く青い色の部分を発見した。これはレイリー散乱によって引き起こされたと考えられた。赤外線による観測から、土星の南極点には他の太陽系天体には見られない暖かな極渦がある事が分かった。土星の表面温度は通常-185℃前後だが、この渦は暖かい時には-122℃にもなり、土星表面で最も高い気温になると考えられている。
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