嵐と雷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 06:20 UTC 版)
木星上の嵐は、地球の雷雨と似ている。ベルトの低気圧、特に強い西向きのジェットの中に地域に時々現れる大きさ約1,000kmの塊状の雲として見える。渦とは異なって嵐は短命な現象であり、最も強いものは数ヶ月続くが、平均は3日から4日で消滅する。対流圏における水蒸気の対流が主な原因で発生すると考えられている。嵐は実際は縦長の円柱状の対流(プリューム)で、湿った空気を対流圏の深層から上層に運び、凝結して雲を形成させる。典型的な木星の嵐の垂直方向の高さは約100kmであり、気圧5から7バールの高さから、水の雲の層の底である気圧0.2から0.5バールの高さまで広がる。 木星の嵐は、常に雷を伴う。ガリレオとカッシーニによる木星の夜半球の画像は、ベルトや西向きジェットの中で、特に北緯51°、南緯56°、南緯14°の地点で恒常的に雷が発生していることを明らかとした。木星では、雷は地球より平均で何倍か強力である。しかし、頻度は少なく、面積当たりで放出されるエネルギーは地球と同程度である。極地方では雷は少ないが、木星は極での雷が観測された地球以外で最初の惑星となった。 15年から17年ごとに、木星では特に大規模な嵐が発生する。これは、150m/sにも達する最も強い西向きジェットの吹く北緯23°の地点で発生する。直近でこのような嵐が発生したのは、2007年3月から6月にかけてである。2つの嵐が北半球の55°のベルトの異なった経度の地点に現れた。これらはベルトを多いに乱し、嵐によって巻き上げられた暗い物質が雲と混ざってベルトの色を変えた。嵐はジェットそのものよりも若干速い170m/sもの速度で移動し、大気深層での強い風の存在を示唆した。
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