デンマーク【Denmark】
デンマーク王国
デンマーク王国
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/29 08:17 UTC 版)
デンマーク王国 Kongeriget Danmark(デンマーク語) Kongsríki Danmarkar(フェロー語) Kunngeqarfik Danmarki(グリーンランド語) デンマーク | |
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首都 かつ最大都市 |
コペンハーゲン 北緯55度43分 東経12度34分 / 北緯55.717度 東経12.567度 |
公用語 | デンマーク語、フェロー語、グリーンランド語 |
統治体制 | 議会制民主主義・立憲君主制 |
• 国王 | フレゼリク10世 |
面積 | |
• 合計 | 2,210,579 km2 (853,509 sq mi) (12位) |
人口 | |
• 2013年の推計 | 5,709,940 (110位) |
• 人口密度 | 2.5/km2 (6.5/sq mi) (236位) |
通貨 | デンマーク・クローネ、フェロー・クローネ (DKK) |
道路 | 右 |
国際電話番号 | +45(デンマーク)、+298(フェロー諸島)、+299(グリーンランド) |
デンマーク王国(デンマークおうこく、デンマーク語: Kongeriget Danmark 発音 [ˈkɔŋəʁiːəð ˈdænmɑrɡ̊] ( 音声ファイル)、フェロー語: Kongsríki Danmarkar、グリーンランド語: Kunngeqarfik Danmarki)は、北ヨーロッパに位置するデンマーク本土と、2つの自治地域(北大西洋のフェロー諸島と北アメリカのグリーンランド)から構成される単一の立憲君主制による主権国家である。デンマークは王国内において中心的地位にあり、残りのフェロー諸島とグリーンランドに対して司法権、行政権および立法権を行使する[1]。フェロー諸島自治法によれば、フェロー諸島は王国内における人民の共同体である[註 1]。グリーンランド自治法は同様の定義を有しないが、その代わり、グリーンランド人民は国際法上の人民であり自己決定権を有するものとしている[註 2]。
デンマーク王国は単一国家ではあるものの、グリーンランドおよびフェロー諸島にはそれぞれ外交の一部も含めた多大な自治権が与えられている。この連邦制に近い国家は「Rigsfællesskabet」と呼ばれる[4]。そのため、1973年にデンマーク王国(本土)と欧州連合 (EU) へ加盟したグリーンランドは1985年に単独で脱退、フェロー諸島は当初から加盟していない。北欧理事会にはそれぞれが個別に加盟している。
地域 | 人口 | 面積 (km²) | 人口密度 (人/km²) | 公用語 | 通貨 |
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5,602,536 | 43,094 | 130 | デンマーク語 | デンマーク・クローネ |
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49,709 | 1,399 | 35 | フェロー語、デンマーク語 | フェロー・クローネ |
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57,695 | 2,175,600 | 0.026 | グリーンランド語 | デンマーク・クローネ |
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5,709,940 | 2,220,093 | 2.6 |
歴史
8世紀から11世紀の間、ノース人がヘブリディーズ諸島、シェトランド諸島、オークニー諸島、フェロー諸島、アイスランド、グリーンランドを発見・定住し、ニューファンドランド島のランス・オ・メドーにあったと考えられているヴィンランドへの定住を試みた(ノース人によるアメリカ大陸の植民地化)。彼らはイングランド(デーンロウ)、アイルランド、ノルマンディーの一部を征服し定住した。また、東方ではキエフ・ルーシを建国した。ノース人は北はグリーンランドから南はコンスタンティノープルまでロシアの河川を通って貿易路を築いた。1536年、デンマークとノルウェーの同君連合であるデンマーク=ノルウェーが国家として成立した。
デンマーク=ノルウェー連合は1814年にキール条約によって解消された。この条約ではデンマークはアイスランド、フェロー諸島、グリーンランドのノルウェー属領を保持している。デンマークはまた1620年から1869年までデンマーク領インド(トランケバル)、1658年から1850年までデンマーク領黄金海岸(ガーナ)、1671年から1917年までデンマーク領西インド諸島 (Danish West Indies) (アメリカ領バージン諸島)を植民地とした。
アイスランドは1874年に内政自治権を獲得して、1918年には主権国家アイスランド王国として独立するが、元首はデンマーク王のままであった。その後、第二次大戦の混乱に乗じる形で1944年に君主制を廃止、自国の大統領を元首とする共和制に移行した。
フェロー諸島は、1948年に内政自治権を獲得した。フェロー諸島は欧州連合には加盟していない。フェロー諸島は領海域の北海油田開発を推進しており、2000年代以降は独立派が多数となっている。
グリーンランドは1979年に内政自治権を獲得しており、2009年にはさらに自治権を拡大する提案が住民投票によって承認された。グリーンランドの独立派は、豊富な天然資源により独立が経済的であると考えている。グリーンランドは1973年、デンマーク王国と欧州経済共同体(現在の欧州連合)に加盟したが、1985年には漁業政策を主な理由に単独で脱退している。
政府および政治

フォルケティングはデンマークの議会である。フォルケティングは比例多数制によって選出された175人と、グリーンランドおよびフェロー諸島から選出されたそれぞれ2人の議員によって構成されている。総選挙は少なくとも4年ごとに行われるが、首相は任期中に議会を解散することができる。
加えて、フェロー諸島およびグリーンランドはそれぞれ1948年、1979年に内政自治が認められている。デンマーク議会に2名の議員が選出されると共に、グリーンランドは31議席からなる議会「ランスティング Landsting」(あるいはグリーンランド語でInatsisartut)を有しており、フェロー諸島は固定された33名の議員によって構成される議会「レクティング Løgting」を有している。
デンマークにはグリーンランドおよびフェロー諸島の高等弁務官(デンマーク語: Rigsombudsmand)がおり、自治議会における議論をデンマークの首相に伝える。
1953年デンマーク王国憲法は単一国家の憲法であり、デンマークの3地域全てに適用される。内政自治に関する合意はこの憲法には正式に記されていない。フェロー諸島およびグリーンランドは共に内政問題のほとんどを自ら管理している。また、これらの地域はある問題が王国内の自地域のみに関することであれば、デンマーク王国の代わりに国際合意を結ぶ。
地理
植物地理学的に、デンマーク、グリーンランド、フェロー諸島は全北植物区系界に属し、周北植物区系区の北極地方、大西洋ヨーロッパ地方、中央ヨーロッパ地方にまたがっている。世界自然保護基金 (WWF) によれば、デンマーク領土は大西洋混交森 (Atlantic mixed forests) リージョンとバルト海混交森リージョン (Baltic mixed forests) の2つのエコリージョンに分類できる。フェロー諸島はフェロー諸島北方草原リージョンに含まれるが、グリーンランドにはカラリット・ヌナート (Kalaallit Nunaat) 高緯度北極ツンドラとカラリット・ヌナート低緯度北極ツンドラエコリージョンが入っている。
デンマーク王国は国土の大半が北極圏の北に位置する世界で唯一の国家である。
脚注
- ^ The Faroese home rule §1: "The Faroe Islands constitute a self-governing community of a people within the Kingdom of Denmark within the framework of this law..."[2]
- ^ The Greenlandic self-government act: "In recognition of the fact that the people of Greenland constitutes a people in international law with the right to self-determination, the law builds on a wish to promote equality and mutual respect in the partnership between Denmark and Greenland."[3]
参考文献
- ^ Harhoff, Frederik (1993) Rigsfællesskabet (Realm) (in Danish with English summary). Århus: Klim, p. 498. ISBN 87-7724-335-8
- ^ Lov om Færøernes Hjemmestyre (デンマーク語). Retsinformation.dk. "§ 1. Færøerne udgør inden for denne Lovs Rammer et selvstyrende Folkesamfund i det danske Rige. I Henhold hertil overtager det færøske Folk ved sin folkevalgte Repræsentation, Lagtinget, og en af dette oprettet Forvaltning, Landsstyret, inden for Rigsenheden Ordningen og Styrelsen af færøske Særanliggender som angivet i denne Lov."
- ^ Lov om Grønlands Selvstyre (デンマーク語). Retsinformation.dk. "I erkendelse af, at det grønlandske folk er et folk i henhold til folkeretten med ret til selvbestemmelse, bygger loven på et ønske om at fremme ligeværdighed og gensidig respekt i partnerskabet mellem Danmark og Grønland.
- ^ Skou, Kaare R. (2005) Dansk politik A-Å (in Danish). Aschehoug, p. 578. ISBN 87-11-11652-8
関連項目
- デンマーク王国共同体(デンマーク語: Rigsfællesskabet) - より詳細なデンマーク、グリーンランド、フェロー諸島の関係について記述
- オランダ王国
- ニュージーランド王国 - ニュージーランドとその自由連合国、属領の総称
デンマーク王国
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「世界遺産の一覧 (ヨーロッパ)」の記事における「デンマーク王国」の解説
詳細は「デンマークの世界遺産」を参照 画像登録名登録年分類登録基準ID備考 イェリング墳墓群 、ルーン文字石碑群と教会 1994年 文化 (3) 697 ロスキレ大聖堂 1995年 文化 (2), (4) 695 クロンボー城 2000年 文化 (4) 696 イルリサット・アイスフィヨルド 2004年 自然 (7), (8) 1149 ワッデン海 2009年(2014年拡大) 自然 (8), (9), (10) 1314 オランダ、ドイツと共有(デンマーク領内への拡大は2014年)。 ステウンス・クリント 2014年 自然 (8) 1416 モラヴィア教会の入植地クリスチャンスフェルド 2015年 文化 (3), (4) 1468 シェラン島北部のパル・フォルス式狩猟の景観 2015年 文化(文化的景観) (2), (4) 1469 グリーンランドのグヤダー:氷冠縁辺部における古代スカンジナビア人とイヌイットの農業景観 2017年 文化(文化的景観) (5) 1536 アーシヴィスイト=ニピサット、氷と海の間のイヌイットの狩場 2018年 文化(文化的景観) (5) 1557
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