lacリプレッサー
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lacリプレッサー
細胞の生命活動では、四六時中必要とされるタンパク質もあれば、ほんの少しだけ必要なタンパク質もある。そのため、DNAの塩基配列にはタンパク質の設計図であるコドンだけでなく、「いつ作るか」「どんな状況で作りはじめるか」という指示も含んでいる。その制御を行なうのもまた制御因子と呼ばれるタンパク質群である。
lacリプレッサーは、バクテリアで最初に発見された制御機構lacオペロンでラクトースの代謝を制御する制御因子である。

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lac リプレッサー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/28 07:54 UTC 版)
「ラクトースオペロン」の記事における「lac リプレッサー」の解説
lac リプレッサー(LacI)は38 kDaの同じポリペプチドからなる四量体で、機能的には2つの二量体である。構成単位の単量体については、1~59番のアミノ酸はヘッドピース headpiece と呼ばれるDNA結合ドメインであり、残りの部分はコアという。ヘッドピースはトリプシン消化で切り離すことができる。N末端(アミノ末端)のDNA結合モチーフはヘリックスターンヘリックスだ。コアはコアドメイン1と2に分かれ、どちらも共通の構造を持つ。それは、両側を2つずつのαヘリックスに挟まれた、6枚の並んだβシートである。この領域はコアドメイン1と2で活性化因子を挟み込むためのくぼみを作る。結合の意味は#アロステリック調節の項で紹介する。C末端(カルボキシル末端)には7残基離れた2つのロイシン反復配列を含むαヘスがある。これはオリゴマー形成ドメインで、4つの単量体が集結する際に結合させ合う。 二量体について説明する。コアのN末端側部分、活性化因子がはまり込むくぼみの縁部分、疎水性コアドメインの各結合で接触を保つ。互いのC末端領域は平行になるよう突き出す。反対側でヘッドピースは集まっている。二量体が2つ出会い、四量体を形成するが、そのとき結合させるのがC末端のαヘリックスの束だ。 lac リプレッサーLacIはプロモーターの下流すぐにあるlac オペレーター operator (lacO)に結合する。オペレーターには主力と補助が存在し、2つのサブユニットが同時に結合することでDNAをより強力に捉える。抑制がより効果的なものにする。間のDNA領域はループ形成 DNA looping する。この状態が負の制御で、RNAポリメラーゼがDNAを解くのを妨げる。 lac リプレッサーLacIはどのようにオペレーターを探し出すのだろうか。答えは強力な特異的結合能で、ほかのDNA部位に比べてオペレーター部位には4×106倍強く結合する。結合の速度定数も約1010 M-1 s-1と極めて速く、対して解離定数は約10-13 Mと低い。まず適当にDNAへ漂着したあと、それに沿って移動しながら強く引きつくオペレーター部位を探す。 オペレーターは3つで、転写開始部位付近の主力O1(+11位付近)とそれの上流下流に一つずつ補助O2(+412位付近)、O3(-82位付近)がある。O2の位置はlacZ 内だ。これらにしかない塩基配列があり、上記のようにlac リプレッサーは特定の配列への選択制だけでオペレーターを識別できる。Benno Müller-Hillらは3つをあらゆる組み合わせで失活させ、補助プロモーターの重要性を明らかにした。図1に実験結果を示す。 組み合わせ 抑制効果の比率--O3-----O1-----O2-- 1300--O3-----O1-----//-- 440--//-----O1-----O2-- 700--//-----O1-----//-- 18--O3-----//-----O2-- 1.9--O3-----//-----//-- 1.0--//-----//-----O1-- 1.0--//-----//-----//-- 1.0 図1. 3つのlacオペレーターの全組み合わせにおける失活時の影響
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