Vetcronの開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 07:48 UTC 版)
しかし、ユーロスプリンター第3世代の開発直後の2006年にシーメンスは電気機関車のシリーズを一新することを決定し、併せて従来ユーロランナーとして別プラットフォームで展開されていたディーゼル機関車も統合した新シリーズが本項で記述するVectronであり、2010年に試作機がロールアウトしている。なお、Vectronの名称はベクトルを表す"vektor"と電子を表す"elektron"を組み合わせた造語である。 Vectronシリーズ発足当初は電気機関車のラインアップとして Vectron MS:交直流複電圧(4電源:AC25 kV 50 Hz/AC15 kV 16.7 Hz/DC3000 V/DC1500 V)の高出力機(6400 kW) Vectron AC:交流複電圧(2電源:AC25 kV 50 Hz/AC15 kV 16.7 Hz)の高出力機(6400 kW) Vectron AC(Medium Power):交流複電圧(2電源:AC25 kV 50 Hz/AC15 kV 16.7 Hz)の中出力機(5600 kW) Vectron DC:直流単電圧(DC3000 V)の中出力機(5200 kW) の4機種が用意され、最高速度は160 km/hと200 km/h(交流複電圧の中出力機には設定されない)が標準で設定されており、ユーロスプリンターと比較すると大幅にラインナップが増やされているが、同プラットフォームでは貨物用機と汎用機とでは車体、台車、駆動装置が別個のものとなっていたのに対し、Vectronでは車体、台車はすべて共通となって電装品もモジュール化が進められたものとなって貨物用機と汎用機と区別もなくなっている。また、各国の信号保安装置にも対応できるほか、オプションで230 km/h対応の駆動装置や貨物駅構内など非電化区間での入換運転用のディーゼル発電機ユニット(交直流複電圧機は未対応)などが用意されている。その後2018年には姉妹シリーズとして、Vectron ACの中出力機をベースにドイツ国内での貨物輸送に特化した単一仕様としてコスト削減との納期圧縮を図ったSmartronがラインアップに加えられており、概要は以下の通りとなっている。 Smartron:交流単電圧(AC15 kV 16.7 Hz)の中出力機(5600 kW) 一方、ディーゼル機関車は当初は以下の1種のみが用意されていた。 Vectron DE:ディーゼル機関、機関出力2400 kW/動輪周上出力2200 kW このDEは電気式ディーゼル機関車で、電気機関車とは前頭部などは同一であるが、車体、台車ともユーロランナーの流れを引いた専用品となっており、電気機関車と同一の車体を使用し、電気機関車からディーゼル機関車(もしくはその逆)への改造も可能するTRAXXの2Eシリーズ以降とは異なる設計思想となっている。さらに、2018年にはこのDEをベースとしたディーゼル/電気両用機関車としてVectron DMがラインアップに加えられており、以下の通り、非電化区間と電化区間を直通する列車の牽引を想定したG05と、電化区間での列車牽引および非電化の貨物駅構内での入換を想定したH01の2種が用意されている。 Vectron DM (G05):ディーゼル機関/交流単電圧(ディーゼル/AC15 kV 16.7 Hz)、出力2000 kW(ディーゼル)/2200 kW(電気) Vectron DM (H01):ディーゼル機関/交流単電圧(ディーゼル/AC15 kV 16.7 Hz)、出力950 kW(ディーゼル)/2200 kW(電気) 屋根上にパンタグラフが4基搭載されるVectron MS、チェコ国鉄の383形、ドレスデン駅、2017年 Vectron ACのうち、広軌・耐寒対応のフィンランド国鉄専用機であるSr3形、2017年 ディーゼル機関車のVectron DE、試作機が売却されたもの、ドレスデン・ノイシュタット、2021年 Vectron DEを電気/ディーゼル機関車としたVectron DMの試作機、ドレスデン駅、2021年 AC15 kV 16.7 Hzの国内専用バージョンであるSmartronの試作機、2018年
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