戦争を終わらせるための戦争
(The war to end war から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/04 08:47 UTC 版)

「戦争を終わらせるための戦争」(せんそうをおわらせるためのせんそう、英語: The war to end war)は、第一次世界大戦を表すために使われた言葉。「すべての戦争を終わらせるための戦争」(英語: The war to end all wars[1])とも呼ばれる。もともとは理想主義的な言葉であるが、現在では軽蔑的に使われている[2]。
起源
1914年8月、第一次大戦の開戦直後、イギリスの作家で社会評論家のハーバート・ジョージ・ウェルズはロンドンの新聞紙に幾つかの記事を発表し、これは後にThe War That Will End War『戦争を終わらせる戦争』という題で本になった[3][4]。ウェルズは戦争を起こしたとして中央同盟国を非難し、ドイツの軍国主義の敗北のみが戦争の終結をもたらすと論じた[5]。1918年発表の In the Fourth Year の中で、ウェルズはより短く、"The war to end war"(戦争を終わらせるための戦争)とし、この中で彼はこの言葉が1914年の後半には流布していたとしている[6]。事実、この表現は世界大戦の最も一般的なキャッチフレーズとなった[5]。
後世、一度しかこの言葉を使っていないウッドロウ・ウィルソンにこの言葉が帰せられることになった[7]。「世界は民主主義にとって安全でなければならない[8]」という言葉とともに、人類の自由を守るためにアメリカが戦争に参加することが必要であるというウィルソンの信念として表される[7]。
その後の用法・評価
第一次世界大戦中もこの言葉は、いくらかの人間から懐疑的に考えられていた。デビッド・ロイド・ジョージは「この戦争は、次の戦争と同じように戦争を終わらせるための戦争である」と言ったといわれている[9]。この戦争が戦争を終わらせる戦争として成功しなかったことが明らかになると、この言葉はよりシニカルな言葉として捉えられるようになった。アーチボルド・パーシバル・ウェーベルはパリ講和会議に落胆して「『戦争を終わらせる戦争』の後、彼らはパリで『平和を終わらせるための平和(peace=講和条約)』を作ることにかなり成功しているように見える」と言った[10] 。ウェルズ自身、1932年発表の小説 The Bulpington of Blup の中でこの言葉を皮肉として使っている[11]。
ベトナム戦争時にはウォルター・リップマンが1967年の「ニューズウィーク」紙で「妄想はわれわれの戦争が戦争を終わらせるための戦争であるということだ」と書いており、同時期にリチャード・ニクソンはサイレント・マジョリティ演説の中で、「私はベトナムでの戦争が戦争を終わらせる戦争だとは語らない」と言っている[2]。
註
- ^ The war to end all wars BBC News 10 November 1998
- ^ a b Safire, William (2008). Safire's Political Dictionary. Oxford University Press US. pp. 792–3. ISBN 978-0-19-534334-2
- ^ Wells, H. G. (1914). The War That Will End War. London: F. & C. Palmer
- ^ Wagar, W. Warren (2004). H.G. Wells: Traversing Time. Wesleyan University Press. p. 147. ISBN 978-0-8195-6725-3
- ^ a b Rempel, Richard A., ed (2003). The Collected Papers of Bertrand Russell. Routledge. p. 10. ISBN 978-0-415-10463-0
- ^ Wells, H. G. (2008). Short Works of Herbert George Wells. BiblioBazaar, LLC. pp. 13–14. ISBN 978-1-4375-2652-3
- ^ a b Jamieson, Kathleen Hall (1990). Eloquence in an Electronic Age: The Transformation of Political Speechmaking. Oxford University Press US. p. 99. ISBN 978-0-19-506317-2
- ^ "The world must be made safe for democracy." 連邦議会に対し、ドイツへの宣戦布告を呼びかける演説にて。Woodrow Wilson, War Messages, 65th Cong., 1st Sess. Senate Doc. No. 5, Serial No. 7264, Washington, D.C., 1917; pp. 3-8, passim.
- ^ Stimpson, George William (1952). A Book about American Politics. Harper. p. 365
- ^ Pagden, Anthony (2008). Worlds at War: The 2,500-year Struggle between East and West. Oxford University Press US. p. 407. ISBN 978-0-19-923743-2
- ^ Wells, H. G. (1932). The Bulpington of Blup. pp. 161,163,173
外部リンク
ウィキメディア・コモンズに、H・G・ウェルズの The War That Will End War 全文 があります。
「The war to end war」の例文・使い方・用例・文例
- The Malay Times に掲載されていた、非常勤の下級アナリストの職に関する広告についてご連絡を差し上げています。
- ‘They are flying kites.' はあいまいな文である.
- 話し中です (《主に英国で用いられる》 The number's engaged.).
- 名詞相当語句 《たとえば The rich are not always happier than the poor. における the rich, the poor など》.
- 総称単数 《たとえば The dog is a faithful animal. の dog》.
- =《口語》 These kind of stamps are rare. この種の[こういう]切手は珍しい.
- 王立オペラ劇場 《the Covent Garden Theatre のこと》.
- 英国学士院 (The Royal Society)の会報.
- 初めて読んだ英文小説は“The Vicar of Wakefield”
- 『Scotish』は、『The Scottish Symphony』や『Scottish authors』、あるいは、『Scottish mountains』のような、より正式な言葉遣いの傾向がある
- STD(神学博士)はラテン語のSanctae Theologiae Doctorに由来する
- 『The boy threw the ball(少年がボールを投げた)』は、能動態を使う
- 『The ball was thrown(ボールは投げられた)』は簡略化された受動態である
- 1992年,「The Animals(どうぶつたち)」という本のために,まどさんの動物の詩のいくつかが皇后美(み)智(ち)子(こ)さまによって英訳された。
- 式典は,3Dコンピューターアニメ映画「I Love スヌーピー The Peanuts Movie」の米国公開の数日前に行われた。
- バンクーバー― マレーシアに拠点を置くBaronホテルグループはHoward Hotels Internationalを買収する交渉を行っている。
- Baronが企業買収に成功すれば、同社は、名声を確立したHoward Hotelsブランドやその豪華なおもてなしのノウハウを手に入れることになる。
- Howard Hotelsは、著名なカナダの非上場高級ホテルチェーンで、今のところ、世界展開を手助けしてくれる提携企業を見つけられずにいる。
- 買収がうまくいけば、BaronはHoward Hotelsの株式の65%を所有することになる。
- Edward は Victoria を継ぎて英国の王位に登る
- The war to end warのページへのリンク