Rock Musicalとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > Rock Musicalの意味・解説 

ロック・ミュージカル

(Rock Musical から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/22 09:14 UTC 版)

ロック・ミュージカルRock musical)は、ロックを伴うミュージカルのことである。このジャンルは、ロックを語るうえで、コンセプト・アルバムなどと重なるかも知れないし、コンセプト・アルバムから生まれたロック・ミュージカルもいくつかある。ロック・ミュージカルの代表的な作品には、『ヘアー』、『グリース』、『レント』などがある。『The Who's Tommy』(1992年)[注釈 1]のように、ロック・オペラと呼ばれる作品がミュージカル化されたものもある。

歴史

ロック・ミュージカルにヒントを与えた最初のミュージカルは1957年の『ジーグフェルド・フォリーズ』の最終版だと言われる[1]。この作品には、当時50歳のビリー・デ・ウルフが歌う『The Juvenile Delinquent(非行少年)』というロックンロール・ナンバーがフィーチャーされていた。続いて、ロック・ミュージカルの先駆けになった作品に『バイ・バイ・バーディー』(1960年)がある[注釈 2]。その後、ブロードウェイにロックンロールが戻ってくるまで、7年待たねばならなかったが、ロックをミュージカルに取り込むという、これら初期の試みが、1967年の『ヘアー』にはじまるロック・ミュージカルの道を切り開いたと言えるだろう[2]

「The American Tribal Love-Rock Musical」という副題がつけられ、反戦、フリーラヴ、ヒッピーをテーマに取り上げ、ヌード・シーンも登場する『ヘアー』は、1967年、ニューヨークのパブリック・シアター[注釈 3]で初演され、1968年4月にブロードウェイに進出した[3]。ロック・ミュージカルがミュージカルの重要なジャンルとなったのは、『ヘアー』のヒット以降である。同じ1968年ウィリアム・シェイクスピアの『十二夜』の性別を入れ替えた『ユア・オウン・シング』もスタートした。

アンドルー・ロイド・ウェバー作曲、ティム・ライス作詞の『ジーザス・クライスト・スーパースター』は、元々はミュージカルではなくコンセプト・アルバムとして、1970年に発表された。この作品はしばしばロック・オペラにカテゴライズされることもある。アルバムの売り上げで、1971年に舞台化された[4]。『ジーザス・クライスト・スーパースター』のような論争を起こすほどのものではなかったが、『ゴッドスペル(Godspell)』(1970年)も宗教的テーマを扱ったミュージカルで、ポップ/ロックの影響も受けていた。

1970年代を通して、ロック・ミュージカルは発展を続け人気を獲得していった。この時期に発表されたのは、『グリース』、『ピピン』、『ロッキー・ホラー・ショー』などである。劇的かつエモーショナルなテーマを持ちながら、会話がいっさいないもの、あるいはオペラを思い起こさせるものもあったが、それはロック・オペラと呼ぶべきかも知れない。さらにロック・ミュージカルは別の方向にも広がっていった。たとえば、『ザ・ウィズ』、『レイズン(干しぶどう)』、『ドリームガールズ』、『パーリー/Purlie』などはリズム・アンド・ブルースソウルミュージックの影響が色濃いし、『マンマ・ミーア!』や『ジャージー・ボーイズ』といった既成の曲をフィーチャーしたジュークボックス・ミュージカルも現れた。

しかし、1980年代になって、ロック・ミュージカルは下火になってゆく。そんな中、『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』(1982年)、『チェス』(1986年)が健闘したが、観客の嗜好は、ノスタルジックな出し物同様、『レ・ミゼラブル』、『オペラ座の怪人』といった、いかにもヨーロッパ的なスコアの作品に向かっていく。

1990年代になって、ようやくロック・ミュージカルはルネサンスを成し遂げる。その功績は少なからず、ジョナサン・ラーソン作のトニー賞ピューリッツァー賞受賞作『レント』(1996年)の成功に負っている。続いて『バットボーイ』(1997年)や、性転換ロック・シンガーが主人公のジョン・キャメロン・ミッチェル作『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(1998年)といった、オフ・ブロードウェイのロック・ミュージカルが登場した[5]

そして、1990年代後期から2000年代にかけて、ロック・ミュージカルは復活を遂げた。エルトン・ジョン作曲の『アイーダ』(1998年2000年)、『Lestat(吸血鬼レスタト)』(2006年)や、スティーヴン・シュワルツの『ウィキッド』(2003年)が、ロック・ナンバーを交えたジュークボックス・ミュージカル同様に当たっている。最も新しいところでは、ダンカン・シークの2007年トニー賞受賞作『Spring Awakening(春のめざめ)』、2009年トニー賞楽曲賞・主演女優賞ほか三部門を受賞した『Next to Normal(en)』、グリーン・デイの同名アルバムを元に製作された『American Idiot(en)』(2010年)がある。

脚注

出典

  1. ^ Wollman, Elizabeth Lara, The Theatre Will Rock: A History of the Rock Musical from Hair to Hedwig (University of Michigan Press, 2006), p.14
  2. ^ Everett, William A. and Paul R. Laird, The Cambridge Companion to the Musical (2002) Cambridge University Press, pp. 231-33 ISBN 0521796393.
  3. ^ Kenrick, John, "Rock: 'The Age of Aquarius'" article at the Musicals101 website
  4. ^ Kenrick, John, "The 1970s: Part I - Rock Musicals" article at the Musicals101 website
  5. ^ Brasor, Philip, "A thumbnail history of the rock musical, March 9, 2006

注釈

  1. ^ 1992年にブロードウェイで上演されてトニー賞5部門を受賞したロック・ミュージカル。イングランドロックバンドザ・フーThe Who)によって1969年に発表されて全世界で500万枚以上のセールスを記録したアルバム『トミー』(Tommy)を、カリフォルニア州サンディエゴのラ・ホヤ・プレイハウス(La Jolla Playhouse)の芸術監督だったデス・マカヌフ(Des McAnuff)がミュージカル化した。
  2. ^ 『バイ・バイ・バーディ』の映画版に出演していたアン=マーグレットは、ロック・オペラの草分けと称されるザ・フーの『トミー』(1969年)を映画化した『トミー』(1975年)に出演した。
  3. ^ 1954年にジョセフ・パップが設立した。

関連項目

外部リンク


「Rock musical」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Rock Musical」の関連用語

Rock Musicalのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Rock Musicalのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのロック・ミュージカル (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS