RNA産物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/13 06:36 UTC 版)
RNAポリメラーゼIIタンパク質を用いたDNAからRNAへの転写。 タンパク質をコードしていないRNA分子でも細胞内で機能を維持する。RNAの機能はその役割によって分類され、次のような役割がある。 タンパク質の合成を助ける。 反応を触媒する。 さまざまなプロセスを調整する。 タンパク質の合成には、翻訳時に正しいアミノ酸をポリペプチド鎖に付加するtRNA、タンパク質合成を導くリボソームの主要構成要素であるrRNA、タンパク質産物を作るための命令を伝えるmRNAなどの機能的なRNA分子が必要である。 調節に関わる機能性RNAの一種は、翻訳を抑制することで機能するマイクロRNA(miRNA)である。これらのmiRNAは、相補的な標的mRNAの配列に結合して、翻訳が起こらないように機能する。低分子干渉RNA(siRNA)も、転写を負に調整することで機能する。これらのsiRNA分子は、特定のmRNAの転写を妨げるために、標的となるDNA配列に結合することにより、RNA干渉の際にRNA誘導サイレンシング複合体(英語版)(RISC)内で機能する。
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RNA産物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 15:31 UTC 版)
H19遺伝子は2.3 kbのRNA産物をコードする。RNAポリメラーゼIIによって転写され、スプライシングとポリアデニル化を受けるが、翻訳は行われないようである。 多くの研究によって、H19遺伝子の最終産物はRNA鎖であることが結論付けられた。その理由は以下のとおりである。 H19のRNA産物はヒトと齧歯類の間でヌクレオチドレベルで進化的に保存されている。 既知のオープンリーディングフレームが存在せず、3つのリーディングフレーム全てに終止コドンが存在する RNA配列は進化的に高度に保存されているが、アミノ酸レベルでは保存性がみられない。 H19のRNAには、16個のヘリックスやヘアピンループなど多くの保存された二次構造が存在する可能性が示されている。 H19 RNAは細胞質のリボヌクレオタンパク質粒子に局在し、リボレギュレーター(英語版)として機能する可能性が示唆されている。 H19の機能喪失実験や過剰発現実験からは2つのことが明らかになっている。 マウスではH19の喪失は致死的ではない。 H19の過剰発現は優性致死となる。 H19の機能を喪失したマウスでは、BWSの新生児と類似した過成長の表現型がみられる。このことからは、H19 RNAの発現の唯一の機能はIGF2(インスリン様成長因子2)の発現の調節であると示唆されている。IGF2の過剰発現は過成長を引き起こし、また一般的に、IGF2はH19が存在しないときに発現する。H19を過剰発現するマウス胚は胎生14日から出生までの間で致死となる傾向がある。マウス胚でのH19の過剰発現が致死となる理由として、2つの可能性が示唆されている。 H19が通常発現している組織(肝臓や腸)での過剰発現が致死的影響を引き起こす。このことは胎児ではH19の遺伝子量が厳密に制御されていることを示唆する H19が通常発現していない組織(脳など)での過剰発現が致死的影響を引き起こす。
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