PS版の開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 03:53 UTC 版)
PlayStationへの移植に当たり、原田はプロデューサーやマーケティング、ローカライズ、さらにはキャッチコピーの考案など様々な仕事を行った。原田はこの時の役割について「なんでも屋という名の雑用係」と振り返っている。また、PS版は原田がゲームディレクターを初めて名乗った作品でもあり、原田は「メインのゲームはできていますから、そういう雑多な仕事を全て企画が引き受けるんです。ただし、全体としてのパッケージ(中略)といったことも考えなくてはならない。つまり、ゲーム全体をディレクションしなくてはいけなかったんです。まさに"旗"を立てる役ですよ。家庭用への移植の際はゲームをデザインするというよりも、「ゲーム全体をディレクションしなさい」と、当時リーダーの木元に言われました。そういう意味もあって、当時は"ゲームディレクター"と名乗ったんです。」とPS Blogとのインタビューの中で振り返っている。 PlayStation版はアーケード基板のSYSTEM12よりも性能が低かったため、背景を一枚絵するなどの工夫が施され、最終的にはアーケード版の持つ特徴や魅力の再現に成功した。 2つのおまけモードのうち、『TEKKEN FORCE MODE』は木元を中心として企画され、原田はサブプランナーを務めた。木元は昔のゲームにおける「肉を食べると主人公の体力が回復する」というシステムを『鉄拳』シリーズに取り入れることこだわり、原田の提案により回復アイテムはチキンとなった。『TEKKEN BALL MODE』は空中コンボを練習しやすくするために、原田が中心となって企画した。PS版では隠しキャラクターとしてアンナ・ウィリアムズ、ゴン、Dr.ボスコノビッチの3名が追加された。 このうち、アンナは『鉄拳』から登場しているキャラクターで、本作のアーケード版では姉であるニーナの3Pカラーとして登場していたが、PS版で独立した性能のキャラクターとして登場した。ゴンは同名の漫画の主人公であり、掲載誌『モーニング』とのタイアップである。Dr.ボスコノビッチはモーションが全て他キャラクターの流用で構成されており、おまけキャラクターという位置づけである。 PS版のうち、北米で発売されたバージョンは、アンナのエンディングが変更された。オリジナルのPS版では、ニーナがプールサイドで男からナンパされるという内容だが、ニーナの抵抗を受けた男性が彼女の腕をつかむ場面がセクシャルハラスメントにあたるという指摘を受け、急遽変更差し替えられた。 当時は業界内においてローカライズという概念が不十分だったため、日本語版と英語版に明確な区別がなく、英語の出来る人間が行っている状態だった。上層部にローカライズを指示された時点での原田の英語力は大学受験レベルだった上、インターネットの翻訳サイトも無く、原田は苦労することとなった。
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