GAU-8に関する伝説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/17 04:07 UTC 版)
「GAU-8 (機関砲)」の記事における「GAU-8に関する伝説」の解説
GAU-8に関する都市伝説として、「飛行速度の低下」が挙げられる。砲の反動が機体の推進力に匹敵し、飛行速度が機関砲の発射によって落ち、撃ち続けると機体が失速して墜落してしまうというものである。中には機体が後方に進みだすといった滑稽な伝説もある。もちろん、これらの話はあくまで冗談に過ぎない。 GAU-8/Aのホームページでは砲の反動が45kNとされている。対してA-10 サンダーボルトIIの両エンジンからの最大出力は80kNであり、飛行機を止めることはできないが、わずかな速度低下を引き起こすことができる。実際にアメリカ空軍ではGAU-8の砲身先端にマズルブレーキをつけて反動を低減する仕様が試されたが、試験の結果、保有する機体にこの種の改造をする必要はないと結論付けられたという。また、発射反動は砲の取り付け位置にも影響を与えている。機関砲弾はGAU-8を正面から見て凡そ九時の方向(向かって左側)に砲身が到達した際に発射されるので、そのリコイルが丁度機体中心に来るように機関砲全体を少々左側にずらして設置している。これは、開発中にGAU-8を機体の中心に据え付けたところ、上記の発射特性のため反動で機体の姿勢が乱れた結果、着弾点がずれてしまったことに起因している。 アリゾナ州ツーソンのデビスモンサン空軍基地の第335戦術飛行隊隊長によると、GAU-8発射時の反動に起因する問題は無いという。GAU-8には機関砲格納庫と取り付けマウントの間にリコイルアダプターと呼ばれる反動吸収装置が組み込まれており、発射時の反動を軽減する働きがある。 また、A-10のエンジンに砲の発射ガスが入り込むことでエンジンがストップしてしまうのではないかという疑惑もある。これは、発射ガスに酸素が含まれていないからで、エンジン内部での燃焼の妨げになるという意見に起因するものである。 A-10の開発にあたり、実用試験の際に、発砲時の砲口炎と排煙の排出量が多量のため、操縦士の視界に与える悪影響やエンジンが発砲煙を吸うことへの懸念(故障、特に飛行中のエンジン停止の要因となる)が生じることが判明したため、初期型の就役後には砲口に発砲煙を散らすためのデフレクターであるGFU-16/A、通称" Tickler"が装着されたが、効果が低い上に乱流を発生させることによる問題が発生し、その後順次撤去された(装着したままの機体も存在している)。砲口部をフェアリングで覆う形状とすることも検討されたが、テストの結果空力特性の悪化などの問題が生じ、砲口は露出式のままとなった。発砲煙による問題に対しては、発砲時は自動式の風防前面洗浄装置とエンジンの再点火装置を連動して作動させることで対処している。 なお、GAU-8の発射ガスは実際にはほとんどがA-10の機体下部を通るように流れるため、たとえ機体にマイナスGが掛かる機動中であっても、発射ガスが機体上部のエンジンに入り込むことは稀であった。
※この「GAU-8に関する伝説」の解説は、「GAU-8 (機関砲)」の解説の一部です。
「GAU-8に関する伝説」を含む「GAU-8 (機関砲)」の記事については、「GAU-8 (機関砲)」の概要を参照ください。
- GAU-8に関する伝説のページへのリンク