FTCによる調査
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1995年12月、ドイツのコンピュータ雑誌であるc'tはソフトウェアを逆アセンブルして解析し、このソフトウェアが本来すべき作業を行おうとすらしていないことを発見した。実際、VxDを経由したデータには手が加えられておらず、圧縮など全く行われてはいなかった。このドライバ自体は、Microsoftによる"Windows Development Kit"のサンプルコードをわずかに変更しただけのものであった。また、Windows 3.1(英語版)のスワップファイルのサイズを気づかれないように拡大し、現在の状態についてシステムに偽の情報を流すことで、システムリソースが増えているように見せかけていた。さらに悪いことには、このソフトウェアはデバッグフラグをオンにしたままコンパイルされており、Microsoftによる本来のドライバよりも動作が低速であった。PC Magazine(英語版)によるさらなるテストの結果、SoftRAMは異なったRAM容量の環境においても同じだけの動作時間を要することが判明し、PC Magazineのテクニカルライターに「使う価値が全くない」("devoid of value")と評された。Dr. Dobb's Journalによる調査でも、同じ結論が得られた。PC Worldのテストによると、このソフトウェアはハードディスクのキャッシュ容量を増やす以外のことはほとんどしておらず、これは別途ソフトウェアを購入せずとも、知識のあるユーザーであれば簡単に実現可能なことであった。さらに、Syncronys社は"Designed for Windows 95"のロゴを製品のパッケージに使用していたが、実際にはMicrosoftから許諾を得ていなかった。 米国連邦取引委員会(FTC)は1995年末に調査を開始した。この調査によって、最終的にSyncronys社のSoftRAMに対する宣伝は「誤っており、誤解を招く」と結論付けられた。またこの調査は、SoftRAM95についても「SoftRAM95はWindows 95の利用可能なRAMを増やすことはなく、また動作速度、処理能力、その他のWindows 95を使用しているコンピュータのいかなる性能をも強化することはない」と結論付けた。この調査により、1995年12月、SoftRAMおよびSoftRAM95はリコールされ、市場から回収されることとなった。顧客の中には開発元に対して法廷闘争を仕掛けるものもあった。Syncronys社は1996年、FTCと損害賠償訴訟を起こした顧客に対し和解した。FTCとの和解条件として、Syncronys社はいかなる顧客に対しても、返金を求める顧客にはこれを行わなければならないとされた。 結局、Syncronys社は1999年に別の不人気なツールをリリースしたのちに破産した。その債権者の大部分は、SoftRAMの返金を受けられなかった顧客であった。
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